著者
壬生 真人 小田嶋 博 柴田 瑠美子 西間 三馨
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.459-465, 2000-12-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

誕生月とアレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) 発症との関係について検討した. 対象は, 平成7年5月から平成10年4月に当院外来を受診, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) と診断された5歳以下の児で, 最終外来受診が平成10年4月以降の児771名. 外来カルテに基づいて, 誕生月, 外来初診月, 血清 Total IgE値, IgE RAST score (ヤケヒョウヒダニ・卵白), IgG値, 鼻汁中好酸球数について検討した. 結果は, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) は, 春に生まれた児に少なく秋に生まれた児に多かった. また, その傾向はアトピー性皮膚炎に強くみられた. 乳児の平均初診月齢は5.4ヶ月で, 外来初診総数は春に多かった. Total IgE, IgE RAST score (ヤケヒョウヒダニ・卵白), IgG, 鼻汁中好酸球の各値と誕生月に有意な関係は認められなかった. 具体的機序は不明であるが, アレルギー疾患 (気管支喘息・アトピー性皮膚炎) の発症と誕生月には関係があり, 生後数ヶ月間 (あるいは出生前から) の季節に関係する環境因子の関与が示唆された.
著者
蓮沼 英樹 市瀬 孝道 上田 佳代 小田嶋 博 金谷 久美子 清水 厚 高見 昭憲 竹内 文乃 西脇 祐司 渡部 仁成 橋爪 真弘
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.19010, 2019 (Released:2019-12-25)
参考文献数
63
被引用文献数
1

Asian dust is a phenomenon involving the long-range transport of atmospheric pollutants originating from the desert areas of China and Mongolia. In recent years, the health effects of Asian dust have raised public concerns. Numerous studies on the health effects of Asian dust have been published since the last review in 2010. Thus, a literature review was conducted to shed light on the latest epidemiologic findings. PubMed and Science Direct databases were used for the review of epidemiologic studies published between June 2009 and April 2018. We identified 53 epidemiologic studies. Mortality, ambulance transportation, hospitalization/medical examination, changes in symptomatic, functional, and examination findings, as well as birth outcomes have been reported as outcomes. When the outcomes were categorized by disease, the effects of Asian dust on respiratory, cardiovascular, and allergic diseases raised concerns. The common evidences of causation between Asian dust and these diseases were the consistency of findings and temporal sequence of association. As results of research on dose-response relationships have become available, and the possibility that the health effects of Asian dust may vary depending on its chemical composition has been pointed out, further research using the exposure level indicators of Asian dust or its chemical composition should be conducted. Furthermore, with focus on the crucial issue of reducing exposure, research related to prevention and raising awareness should be further promoted.
著者
藤本 幸雄 林 信太郎 渡部 晟 栗山 知士 西村 隆 渡部 均 阿部 雅彦 小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.Supplement, pp.S51-S74, 2008-09-18 (Released:2011-12-22)
参考文献数
130
被引用文献数
2 1

男鹿半島には白亜紀後期の基盤花崗岩類から古第三紀火山岩類,新第三紀火山岩類・海成層,第四紀層と海成段丘,火山岩及び火山地形,砂丘などが整然と分布している.そのため男鹿半島は,東北地方日本海側の9000 万年ないし6500 万年前からの地史を考える上で重要な地域になっている.風光明媚にして男性的な景観には,このような地質体の形成過程・多彩な地史が刻み込まれており,自然界の営みの中に歴史を作る人々の営為も垣間見ることができる.災害・産業・環境問題・自然認識などをはじめとして,地学は教育の重要な柱として一層の活用が求められている.ここでは近年得られた新知見を加え,地質体の形成過程・地史について解説し,合わせて地学教育上の要点を挙げてみる.
著者
山本 剛 松本 一郎 満留 昭久 原田 達夫 小田嶋 博
出版者
日本小児呼吸器疾患学会
雑誌
日本小児呼吸器疾患学会雑誌 (ISSN:09183876)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.16-22, 2003-06-01 (Released:2011-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

急性間質性肺炎に対しクロロキンを投与し著効した7ヶ月女児例を報告する。発熱・咳噺・多呼吸にて発症し, 胸部X線写真上びまん性スリガラス様陰影を呈し急性1呼吸不全に進行した。3回に及ぶステロイドパルス療法およびステロイド内服による維持療法にて症状の増悪を繰り返したため, 海外においてその効果が報告されているクロロキン療法を行った。10mg/kg/性を分2で6ヶ月間内服投与した。ステロイド内服および酸素投与が中止可能なまでに改善し, 体重増加も認め著効を示した。クロロキンは不可逆性の網膜症の合併が問題となり現在本邦では販売されていない。しかし海外の小児報告例では上記使用法にて網膜症の合併は見られていない。急性問質性肺炎をはじめとする特発性問質性肺炎は予後不良な疾患で肺移植の適応を余儀なくされる場合もある。国内では小児の肺移植は未だ困難な状況であり, 有効な薬物治療としてクロロキン療法を確立すべきである。
著者
東川 昌紀 梅野 英輔 松本 一郎 小田嶋 博 西間 三馨
出版者
日本小児呼吸器疾患学会
雑誌
日本小児呼吸器疾患学会雑誌 (ISSN:09183876)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.12-17, 1993

気管支喘息児11名に, single blind crossover法を用いて抗コリン薬であるipratropium bromide (以下I.B.) をスペーサーを用いて吸入させ, 非発作時の換気機能および高張食塩水吸入試験における効果を検討した。1) 非発作時の換気機能において, 末梢気道の指標とされるMMFやV<SUB>50</SUB>は低値を示した。2) I.B.吸入30分後には, FVCを除くパラメーターで気管支拡張作用を認めたが, MMFやV<SUB>50</SUB>においてより大きな改善が認められた。3) I.B.の前処置30分後には, 高張食塩水吸入試験の吸入閾値 (PD<SUB>20</SUB>.) は有意に低下した。以上の結果は, 抗コリン薬吸入による気管支拡張作用は末梢気道においても認められ, 喘息児の非発作時に認められる末梢気道の猿窄には, 迷走神経の持続的緊張状態が関与する可能性を示唆した。さらに, 非特異的気道過敏性の機序における迷走神経の関与が示唆された。
著者
小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-127, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
22
著者
手塚 純一郎 本村 知華子 池井 純子 井手 康二 漢人 直之 後藤 真希子 田場 直彦 林 大輔 村上 洋子 森安 善生 スビヤント ケイジ 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博 西間 三馨
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1034-1042, 2008
被引用文献数
2 1

【目的】2006年9月よりブデソニド吸入用懸濁液(パルミコート吸入液^[○!R])の販売が開始され,乳幼児でpMDI+スペーサーによる治療以外にも吸入ステロイドの選択肢が増えた.しかし,メッシュ式ネブライザーを用いた検討の報告はない.今回,ブデソニド吸入用懸濁液のメッシュ式ネブライザーでの有効性・安全性について検討した.【対象および方法】6ヵ月以上5歳未満の気管支喘息と診断された児30名を対象に,2週間の観察期間後,Pari TurboBoy^[○!R]+LC Plus nebulizer^[○!R],Pari eMotion^[○!R],Omron MicroAir NE-22U^[○!R]の3機種に10名ずつ無作為に割り付け,ブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを1日1回朝に投与した.有効性および安全性の評価を,投与前,4週後,12週後に喘息日誌と血漿コルチゾール値・身長を用いて行った.【結果】対象3群のうち,投与前の血漿コルチゾール値は,Omron MicroAir NE-22U^[○!R]で有意に高かった.投与後の血漿コルチゾール値はOmron MicroAir NE-22U^[○!R]で4週の時点で有意に低下したが基準値を超えての低下は認めなかった.他のネブライザーでは有意な変化は認めなかった.また,投与前後の有症状日数は投与後に有意に低下していたが,ネブライザー間での有意な差を認めなかった.【結論】メッシュ式ネブライザーを用いてブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを投与することは,有効かつ安全であることが示唆された.
著者
網本 裕子 新垣 洋平 村上 至孝 増本 夏子 田場 直彦 村上 洋子 手塚 純一郎 本荘 哲 本村 知華子 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1645, 2011

【背景・目的】呼気中一酸化窒素(fraction of exhaled nitric oxide:FE_<NO>)は簡便な気道炎症の評価法である.気管支喘息キャンプに参加した吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)使用者のコンプライアンスとキャンプ中の吸入指導によるFE_<NO>変化の関係を検討した.【方法】2008〜2010年のキャンプに参加した6-12歳の喘息児131人中ICS使用者50人にキャンプ前の予診時に家庭での薬剤管理状況を質問し,4群に分けた.キャンプ中の吸入指導により初日と最終日のFE_<NO>変化を薬剤管理状況別に比較検討した.【結果】年齢,性別,治療ステップ,FE_<NO>中央値いずれも4群間で差を認めなかった.FE_<NO>値は毎日ICS吸入をしている者では変化を認めなかったが,ICS吸入を忘れることがある者では最終日は初日と比較して有意に低下した.【結語】FE_<NO>値の変化はICS使用者におけるコンプライアンスをみる指標になる可能性がある.
著者
松本 一郎 小田嶋 博 西間 三馨 加野 草平 荒木 速雄 梅野 英輔 津田 恵次郎 犬塚 悟
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.435-442, 1999
被引用文献数
17

アレルギー疾患罹患率の経年的変化を調査する目的で, 1981年より1995年までの15年間, 福岡市の5小学校に入学した1年生(各年度平均533人, 総対象者数8000人)を対象に, ATS-DLD日本版・改訂版による質問票を用いたアレルギー疾患アンケート調査を同一地区, 同一手法で行い, 以下の結果を得た. 1. 気管支喘息の有病率には有意な増加を認めないが, 累積罹患率は1981年からの3年間の平均5.7%より1993年からの3年間7.7%へと経年的に有意に増加しており, 男女比は1.7:1で男子に高率であった. 2. アトピー性皮膚炎の累積罹患率は平均36.3%, 男女比は1:1.2で経年的変化は認めなかったが, 寛解児率は1987年からの2年間の平均14.3%よリ1994年からの2年間平均19.6%へと経年的に有意に増加していた. 3. アレルギー性鼻炎の累積罹患率は平均17.6%であり経年的変化は認めず, 男女比は1.5:1で男子に高率であった. 4. アレルギー性結膜炎の累積罹患率は1987年からの2年間の平均8.4%より1994年からの2年間平均11.1%へと経年的に有意に増加していた.
著者
池津 善郎 池部 敏市 小倉 英郎 小田嶋 博 黒坂 文武 佐瀬 くらら 杉内 政巳 杉山 朝美 勝呂 宏 鈴木 慎一郎 藤沢 重樹 北條 徹 松井 猛彦 松田 三千雄 山本 淳 四本 秀昭
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.633-642, 1991
被引用文献数
8

米アレルギーの関与が考えられるアトピー性皮膚炎(AD)患者に対する通常米の厳格除去効果を臨床的に検討することを目的として, 低アレルゲン米(HRS-1)の代替食療法を多施設共同で実施した. その際, 米と小麦との交叉反応性を考慮し小麦も厳格除去した. このHRS-1は, 抗原蛋白を除去するため蛋白分解酵素処理した米である. 総実施例49例のうち除外・脱落などを除いた43例を解析対象とした. 多くの症例でHRS-1摂取直後から4週にかけてAD病変の範囲・重症度指数(ADASI)の急速な低下が観察され, 2週後, 4週後, 最終判定日(平均5.6週)のADASIは, それぞれ開始時と比較して有意に低下した. 全般改善度において「改善」以上の改善率は, 2週後では39%, 4週後では67%, 最終判定日では74%であった. また, 併用ステロイド外用剤の減量効果においても「軽減」以上の症例は, 最終判定日で約半数に認められた. 3例の悪化のほかに特記すべき副作用は認められなかった. 有用性の成績は, 43例中「非常に有用」が17例(40%),「有用」が13例(30%),「やや有用」が9例(21%)であり,「有用」以上の有用率は70%であった. HRS-1は, 米アレルギーに悩む難治性重症AD患者の代替食として高い有用性のあることが認められた.