著者
小野 倫太郎 本村 知華子 高松 伸枝 近藤 康人 赤峰 裕子 松崎 寛司 村上 洋子 網本 裕子 田場 直彦 本荘 哲 柴田 瑠美子 小田 嶋博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-155, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は10歳女児.柑橘類を摂取後の運動負荷でアナフィラキシーを起したエピソードを3回認めた.柑橘類による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis:FDEIA)を疑い,負荷試験を行った.オレンジ摂取と運動負荷の組み合わせは陰性であったが,アスピリン内服とオレンジ摂取の組み合わせで眼瞼腫脹,喘鳴を認め,オレンジによるFDEIAと診断した.フルーツアレルギーではOral allergy syndrome(OAS)の症例が多く,FDEIAは稀である.本症例ではイムノブロット法にて9kDa,39kDa,53kDaの抗原を認め,オレンジによるインヒビションにて39kDa,53kDaの抗原が特異抗原アレルゲンと考えた.本症例はスギ特異的IgE抗体強陽性であったが,スギ抗原とは共通抗原性は認めなかった.オレンジ抗原として知られるCit s群とは異なる39kDa,53kDa蛋白が原因となるFDEIAは報告がない.
著者
手塚 純一郎 本村 知華子 池井 純子 井手 康二 漢人 直之 後藤 真希子 田場 直彦 林 大輔 村上 洋子 森安 善生 スビヤント ケイジ 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博 西間 三馨
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1034-1042, 2008
被引用文献数
2 1

【目的】2006年9月よりブデソニド吸入用懸濁液(パルミコート吸入液^[○!R])の販売が開始され,乳幼児でpMDI+スペーサーによる治療以外にも吸入ステロイドの選択肢が増えた.しかし,メッシュ式ネブライザーを用いた検討の報告はない.今回,ブデソニド吸入用懸濁液のメッシュ式ネブライザーでの有効性・安全性について検討した.【対象および方法】6ヵ月以上5歳未満の気管支喘息と診断された児30名を対象に,2週間の観察期間後,Pari TurboBoy^[○!R]+LC Plus nebulizer^[○!R],Pari eMotion^[○!R],Omron MicroAir NE-22U^[○!R]の3機種に10名ずつ無作為に割り付け,ブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを1日1回朝に投与した.有効性および安全性の評価を,投与前,4週後,12週後に喘息日誌と血漿コルチゾール値・身長を用いて行った.【結果】対象3群のうち,投与前の血漿コルチゾール値は,Omron MicroAir NE-22U^[○!R]で有意に高かった.投与後の血漿コルチゾール値はOmron MicroAir NE-22U^[○!R]で4週の時点で有意に低下したが基準値を超えての低下は認めなかった.他のネブライザーでは有意な変化は認めなかった.また,投与前後の有症状日数は投与後に有意に低下していたが,ネブライザー間での有意な差を認めなかった.【結論】メッシュ式ネブライザーを用いてブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを投与することは,有効かつ安全であることが示唆された.
著者
網本 裕子 新垣 洋平 村上 至孝 増本 夏子 田場 直彦 村上 洋子 手塚 純一郎 本荘 哲 本村 知華子 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1641-1645, 2011

【背景・目的】呼気中一酸化窒素(fraction of exhaled nitric oxide:FE_<NO>)は簡便な気道炎症の評価法である.気管支喘息キャンプに参加した吸入ステロイド(inhaled corticosteroids:ICS)使用者のコンプライアンスとキャンプ中の吸入指導によるFE_<NO>変化の関係を検討した.【方法】2008〜2010年のキャンプに参加した6-12歳の喘息児131人中ICS使用者50人にキャンプ前の予診時に家庭での薬剤管理状況を質問し,4群に分けた.キャンプ中の吸入指導により初日と最終日のFE_<NO>変化を薬剤管理状況別に比較検討した.【結果】年齢,性別,治療ステップ,FE_<NO>中央値いずれも4群間で差を認めなかった.FE_<NO>値は毎日ICS吸入をしている者では変化を認めなかったが,ICS吸入を忘れることがある者では最終日は初日と比較して有意に低下した.【結語】FE_<NO>値の変化はICS使用者におけるコンプライアンスをみる指標になる可能性がある.