著者
杉本 妙子 村上 雄太郎
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では、日本語習得研究として現地調査を行い、ベトナム人が習得しにくい日本語音声、発音と聞き取りの誤用のずれ、格助詞に関わる誤用等について明らかにした。また、現地調査に基づく日越語対照研究では、ベトナム語のdi(行く)・den(着く)・授与動詞choの文法化の解明、日越語の助詞の対照と教育上の問題点の指摘等をした。さらにこれら研究成果をベトナムで継続的に発表することにより、ベトナムの本語教育研究の向上に貢献した。
著者
粟飯原萌 小林貴之 村上雄太郎 菅原祐人 花村成慶 武田智裕 古市昌一
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.307-308, 2011-03-02

本研究は,教育支援を目的としたシリアスゲーム(SG)に関するものである.対象は就学前の児童で,社会性や言語教育等の支援を目的とした電子絵本の利用を効果的に実施するため,集中力を持続させるためのHMIに関する.児童が電子絵本との間で複数の手段でインタラクションを繰り返してストーリが進行・展開することにより,集中力を維持することを特長としたHMIを提案する.本HMIでは,電子絵本中の複数の登場人物をAR,OpenCV及びマルチユーザタッチパネルを利用したユーザ認識技術を複合的に利用することにより,一人または複数の人が同時に操作することが出来る. 本稿では,方式の提案及び初期評価結果について述べる.
著者
堀江 薫 村上 雄太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、日本語、韓国語、ベトナム語という「漢字文化圏」に属し、「膠着語」(日韓語)、「孤立語」(ベトナム語)という異なる形態類型論的特徴を持つ3つの言語における、語彙・文法構造に反映した言語接触現象の実態を明らかにすることを目的として3年間の研究を行ってきた。3年間の研究活動は、(I)「ベトナムにおける現地調査」(II)「国内、国際学会における研究発表」(III)「国内外の学術誌、論文集における成果発表」という3点を中心に行われた。(I)に関しては、SARSの流行などのため、当初の計画通り毎年共同で実施することはできなかったが、平成17年3月には代表者(堀江)、分担者(村上)でホーチミン、フエにおいて共同調査、資料収集を行うことができた。(II)に関しては平成15年11月8日に「東アジア言語・東南アジア言語の多機能化の共通性と相違点」フランス語談話会ワークショップ「文法化をめぐって」(京都会館)で共同の研究発表(招聘)を行った。また、この他に、関西言語学会、日本言語学会、社会言語科学会、言語処理学会、言語科学会(JSLS)、日本認知言語学会(JCLA)等での研究発表(招請を含む)を行った。国際学会としては、国際日韓言語学会(JK)、概念構造・談話・言語学会(CSDL)、国際認知言語学会(ICLC)、国際語用論学会(IPrA)、国際文法化学会(NRG3)、国際実用日本語学会(ICPLJ)等での研究発表を行った。(III)に関しては、「11.研究発表」にあげたものをその一端とする論文発表を国内、国外において行った。これらの研究活動の結果、日韓語とベトナム語の間には、言語接触、借用語、文法化に関して形態類型論的な相違を反映した顕著な相違が見られることが分かった。他動性(transitivity)という現象を例に取ると、日韓語は「対格助詞」という助詞に関して「対象」である名詞(句)をマークする用法から「逆接」の名詞節をマークする用法を派生するプロセスが見られるのに対して、ベトナム語や中国語においては、基本的には語順によって目的語をマークするが、それに加えて、「物理的動作」を表す他動詞が「介詞」的な品詞に機能的に転じるという現象が見られるという平行性が観察された。この研究成果は「11.研究発表」の最後にあげた「堀江・村上(印刷中)」として公表することになった。