著者
野間 研一 村川 和重 石本 栄作 石田 克浩 石田 博厚 和泉 良平
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.236-240, 1991-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
4

Ramsay Hunt症候群は,顔面神経麻痺,内耳神経症状,外耳道,耳介周辺部の疱疹を三兆候としているが,帯状疱疹と顔面神経麻痺出現の時期についての詳細な報告は見当たらない.我々は,ウイルス性髄膜炎を併発した,三叉神経第2枝帯状疱疹例に対し,早期より抗ウイルス剤の投与および神経ブロック療法を施行し,順調に経過していたにもかかわらず,発症3週間後に遅発性顔面神経麻痺を生じた症例を経験した.顔面神経麻痺出現時には,すでに皮疹および疼痛はほぼ消失しており,VZV感染と顔面神経麻痺の因果関係は明確にできなかった.また,従来は,Ramsay Hunt症候群の治療として抗ウイルス剤の投与や星状神経節ブロックが施行されているが,今回の症例では,顔面神経麻痺出現前より,これらの治療を行なっていたが,その出現を防止できなかった.
著者
高雄 由美子 村川 和重 森山 萬秀 柳本 富士雄 中野 範 福永 智栄 上嶋 江利 真田 かなえ 佐藤 仁昭 前川 信博
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-16, 2010-01-25 (Released:2010-08-04)
参考文献数
15

ボツリヌス毒素療法は痙性斜頸に対しての有効性が報告されているが,痙性斜頸には明らかな頭位偏奇がなく慢性的な頸肩部の疼痛や随意運動障害が症状の主体である,いわゆる重度の肩こり症例も含まれる.今回われわれは,このような患者に対するボツリヌス毒素療法を施行し効果と安全性を検討した.症例は26症例(男性12症例,女性14症例),平均年齢58.6歳であった.ボツリヌス毒素(BTX-A)100 単位を肩から頸部にかけての持続性緊張状態にある筋群の筋腹に10~20単位/カ所で施注し,4週ごとに12週まで追跡調査をした.痛みとこわばりは視覚アナログスケールで評価し,SF-36によるアンケートを実施し,副作用を問診した.頸肩の痛みやこわばりはボツリヌス毒素投与によりすべての観察期において治療前と比較して有意に軽減した.SF-36のアンケートの結果からは,治療に伴うQOLの改善があまりみられなかった.副作用は4例で頸部の不安定性が出現したが,いずれも短期間で消失し重篤な副作用は認めなかった.ボツリヌス毒素療法は重度の肩こりの症状の軽減に対して効果的な治療である.