著者
柴田 政彦 寒 重之 大迫 正一 三木 健司 栁澤 琢史 助永 憲比古 恒遠 剛示 新田 一仁 岩下 成人 福井 聖 黒崎 弘倫 中野 直樹 若泉 謙太 上嶋 江利 本山 泰士 高雄 由美子 溝渕 知司
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.189-196, 2016-11-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
37

The review was performed to investigate the functional brain alterations in patients with various kinds of chronic pain including fibromyalgia, chronic low back pain, migraine and the other chronic pain conditions. In these patients functional connectivity was different not only in the sensory–motor system but also in the affective and reward system. New technology have allowed us to identify and understand the neural mechanisms contributing to chronic pain, which provides us novel targets for future research and treatment.
著者
坂本 昇太郎 高雄 由美子 上嶋 江利 柳本 富士雄 前川 信博
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.519-522, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
14
被引用文献数
2

術前5日前の凝固系検査では異常のない患者に硬膜外麻酔併用全身麻酔を行った際,硬膜外穿刺部から多量の出血を認めた症例を経験した.術直後の凝固能検査では,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は正常値であったが,プロトロンビン時間(PT),トロンボテスト(TT),ヘパプラスチンテスト(HPT)が異常値を示しており,これらの結果より,出血はビタミンK依存性凝固因子である第VII因子の低下が原因であると疑われた.本患者は,術前よりイレウス症状を呈しており,長期の絶食,セフェム系抗生物質の投与が行われていた.これらの要因が重なり,ビタミンKが欠乏したと考えられた.凝固障害の原因判明後,ただちにビタミンKおよび新鮮凍結血漿投与が行われ,出血傾向は改善され,後遺症を残すことはなかった.長期の絶食患者に抗生剤を投与する際にはビタミンK欠乏に注意が必要である.
著者
上杉 貴信 高雄 由美子 安藤 俊弘 魚川 礼子 前川 信博
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.495-498, 2009-09-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

幻肢痛が持続硬膜外ブロックを併用した鏡療法により軽減した症例を報告する.症例は37歳の男性で,腕神経叢引き抜き損傷と多発外傷に起因した難治性の幻肢痛であった.最初に鏡療法を用いて幻肢痛の軽減を試みたが,鏡療法を導入した後に,断端痛が増悪し,鏡療法を継続することが困難となった.持続頸部硬膜外ブロックを行い,断端痛を軽減させると,鏡療法が円滑に可能となった.その後,硬膜外刺激電極植込み術を行い,幻肢痛と断端痛は軽減した.
著者
菅野 亜紀 小田 剛 大田 美香 熊岡 穣 喜多 伸一 渡辺 哲也 一瀬 晃洋 高雄 由美子 前田 英一 西本 隆 高岡 裕
出版者
神戸常盤大学
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.9, pp.23-34, 2016

我々は視覚障害者向けの鍼灸、特に経絡と経穴に関する教育材料の研究に取り組んだ。この教材では、鍼灸分野における概念間の関係の体系的な理解を可能にすべく、オントロジーを用いた。オントロジーの概念図によりオントロジー教材を作成し、これを鍼灸の講義で使用した群とオントロジー教材未使用群とで経絡・経穴の試験の結果を比較し、その有効性を解析した。その結果、オントロジー教材を使用した学生の経絡・経穴の試験の得点は、オントロジー教材未使用群の学生の得点よりも有意(P < 0.001)に高く、経絡と経穴の学習にオントロジー教材有効である事が明らかになった。この結果は、オントロジーの視覚障害者教育への利用が視覚障害者の鍼灸理論の学習へも有効であることを示唆している。
著者
阿瀬井 宏佑 佐藤 仁昭 本山 泰士 上嶋 江利 高雄 由美子 溝渕 知司
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.27-31, 2020-02-25 (Released:2020-03-04)
参考文献数
12

オピオイド鎮痛薬は非がん性痛患者の痛みを和らげるが,オピオイド誘発性便秘(opioid induced constipation:OIC)が生じる.OICに対しては緩下剤で治療を行うが,治療に難渋することがある.非がん性痛患者では,がん性痛患者に比べ,オピオイドやOICに対する治療薬の投与期間が長くなることが考えられるため,副作用や経済的負担を考慮する必要がある.今回,これまでの緩下剤治療では排便コントロールが困難な非がん性痛患者で,ナルデメジンを新しく使用開始したことによる効果,副作用および費用について後ろ向き観察研究を行った.症例数は36症例(男性17症例,女性19症例)であった.便秘が改善したのは33症例(92%),改善なしが3症例(8%)であり,26症例(72%)は併用していた他の緩下剤を減量あるいは中止できた.17%で一過性下痢,8%で軟便がみられたが重篤な副作用は認めなかった.患者が負担する緩下剤内服にかかる費用については,ナルデメジン開始前は1カ月あたり平均1,148円であったが,開始後は同6,102円と5.3倍に増加した.
著者
高雄 由美子 村川 和重 森山 萬秀 柳本 富士雄 中野 範 福永 智栄 上嶋 江利 真田 かなえ 佐藤 仁昭 前川 信博
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-16, 2010-01-25 (Released:2010-08-04)
参考文献数
15

ボツリヌス毒素療法は痙性斜頸に対しての有効性が報告されているが,痙性斜頸には明らかな頭位偏奇がなく慢性的な頸肩部の疼痛や随意運動障害が症状の主体である,いわゆる重度の肩こり症例も含まれる.今回われわれは,このような患者に対するボツリヌス毒素療法を施行し効果と安全性を検討した.症例は26症例(男性12症例,女性14症例),平均年齢58.6歳であった.ボツリヌス毒素(BTX-A)100 単位を肩から頸部にかけての持続性緊張状態にある筋群の筋腹に10~20単位/カ所で施注し,4週ごとに12週まで追跡調査をした.痛みとこわばりは視覚アナログスケールで評価し,SF-36によるアンケートを実施し,副作用を問診した.頸肩の痛みやこわばりはボツリヌス毒素投与によりすべての観察期において治療前と比較して有意に軽減した.SF-36のアンケートの結果からは,治療に伴うQOLの改善があまりみられなかった.副作用は4例で頸部の不安定性が出現したが,いずれも短期間で消失し重篤な副作用は認めなかった.ボツリヌス毒素療法は重度の肩こりの症状の軽減に対して効果的な治療である.