- 著者
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村松 照男
- 出版者
- 公益社団法人 日本気象学会
- 雑誌
- 気象集誌. 第2輯
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.1, pp.77-90, 1983
- 被引用文献数
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51
成熟した台風における眼の直径及び絹雲の天蓋(cirrus canopy)の日変化が, GMSの画像上で観測された。台風とともに動く矩形の中に占めるTBB(等価黒体温度)の量の変化をTBB≦-70°C,-7°<TBB≦-50°C,-50°<TBB≦-30°C,-30°<TBB-0°Cの各しきい値で定量的に求めた。TBBが-70°C以下の領域では地方時の6~7時半に極大があらわれ,18~21時に極少となった。極大の起る時刻は-50°TBB≦-30°Cの領域で16~18時,-30°TBB≦0°Cの領域では21時以後となり,TBBのしきい値の上昇とともに遅れている。衛星で観測された眼径は朝の鋭い極少,午後のなだらかな極大を示し,TBB≦-70°C領域の変化と逆位相であった。対流の日変化における早朝の極大に帰因する絹雲の吹き出しによる,拡大と見かけ上の昇温のためTBBの分布にも日変化が現れ,眼径の変化となったことが解析された。<br>また,台風が島を通過する際,cirrus canopyは減少し,また,海洋性の極大に加え,午後の極大があらわれ,二重極大の現象が解析された。