著者
村田 洋三 熊野 公子 伴 政雄
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.83-87, 1988
被引用文献数
6

下腹部から大腿にびまん性の浸潤性紅斑を示した4例の皮膚悪性腫瘍 (Paget癌2例, エクリン汗器官癌2例) を報告する。その特異な分布形態から, われわれはこの浸潤をパンツ型浸潤と名づけた。原発巣は外陰部ないし大腿で, 浸潤性紅斑は鼠径部に始まり, 臍の高さで明らかな分界線をもって停止する。またパンツ型の浸潤が始まってからは, いずれも2年以内に死亡している。パンツ型の浸潤はリンパの逆流によって生じるものと考えられる。パンツ型の浸潤は, 予後不良の徴候であり, 原発病巣の単なる再発あるいは拡大と誤らないことが重要であると思われた。
著者
斎藤 研二 日下部 圭吾 村田 洋三 熊野 公子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.49-53, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18

65歳女性。肝細胞癌に対して経肝動脈腫瘍塞栓術 (transcatheter arteria embolization: 以下TAE) が施行された。第1回右肝動脈からのTAEでは, 皮疹は生じなかった。肝左葉の腫瘍に対して左肝動脈からの第2回TAE施行3日後, 臍上部に水疱形成を伴う有痛性紅斑が出現した。紅斑は消退したが, 6ヵ月後瘻孔を生じ手術加療を要した。TAE時の動脈造影CTにて, 肝左葉を経て腹部皮下組織に達する肝鎌状靭帯動脈が描出されており, この動脈を介して皮膚合併症が発症しているものと考えた