著者
村田 洋三 熊野 公子 伴 政雄
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.83-87, 1988
被引用文献数
6

下腹部から大腿にびまん性の浸潤性紅斑を示した4例の皮膚悪性腫瘍 (Paget癌2例, エクリン汗器官癌2例) を報告する。その特異な分布形態から, われわれはこの浸潤をパンツ型浸潤と名づけた。原発巣は外陰部ないし大腿で, 浸潤性紅斑は鼠径部に始まり, 臍の高さで明らかな分界線をもって停止する。またパンツ型の浸潤が始まってからは, いずれも2年以内に死亡している。パンツ型の浸潤はリンパの逆流によって生じるものと考えられる。パンツ型の浸潤は, 予後不良の徴候であり, 原発病巣の単なる再発あるいは拡大と誤らないことが重要であると思われた。
著者
有馬 豪 小林 尚美 内海 俊明 松永 佳世子
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.68-74, 2014
被引用文献数
4

近年,手術困難な悪性腫瘍に対する患者のquality of life(QOL)向上という緩和治療目的でMohsの変法が施行されている。しかし,Mohsの変法のデメリットとしてpasteによる疼痛と,正常皮膚へ付着すると潰瘍を形成することがあげられる。2010年より我々はMohs pasteの塗布時間を1時間以内に短縮し,乳癌皮膚浸潤の2症例に対しMohsの変法を施行した。2症例ともに疼痛に耐えることができ患者のQOLを改善できた。また,2012年より亜鉛華デンプン外用療法を乳癌皮膚浸潤の3症例に施行した。3症例ともに疼痛がなく,正常皮膚にも障害を起こすことなく患者のQOLを改善できた。Mohsの変法だけでなく,亜鉛華デンプン外用療法も患者のQOL改善に寄与しうると考えた。
著者
中村 考伸 出光 俊郎 塚原 理恵子 小山 尚俊 中村 哲史 飯田 絵理 正木 真澄 梅本 尚可 加倉井 真樹 山田 朋子 堂本 隆志 中川 秀己 伊東 慶悟
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.350-354, 2013

33歳,女性。10年前から左足底に褐色斑があり,受診した。初診時,左足底に径7×5 mm大の黒褐色斑があり,辺縁不整で色調に濃淡がみられた。ダーモスコピーではparallel furrow patternとirregular fibrillar patternを示した。臨床的にはmelanoma <i>in situ</i>を疑う所見であったが,ダーモスコピーでは良性病変を示唆する結果であり,切除生検を施行した。病理組織では表皮内にメラノサイトが孤立性,あるいは胞巣を形成し,一部は付属器浸潤もみられるなどmelanoma <i>in situ</i>の可能性が否定できず,切除瘢痕辺縁から5 mm離して,再切除を施行した。<br> 病理組織像を再検討したところ,Saidaの提唱したpseudomelanomaに一致する良性の色素性母斑の可能性が高いと診断した。類似の診断名としてはmelanocytic acral nevus with intraepidermal ascent of cells(MANIAC)などが報告されている。足の色素性病変におけるダーモスコピー上の良性所見と組織学的にメラノーマに類似する所見の解離についてはさらに周知しておく必要がある。
著者
横井 郁美 宗廣 明日香 森上 純子 米田 耕造 岡田 将生 濱本 有介 窪田 泰夫
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin cancer : official organ of the Japanese Society for Skin Cancer = 皮膚悪性腫瘍研究会機関誌 (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.165-169, 2011-09-30

53歳,女性。幼小児期に左側頭部の脱毛斑に気付くも放置。49歳時に左側頭葉の脳出血を発症し,開頭血腫除去,人工骨・硬膜による再建術を受けた。この時,既に脱毛班部に径3cmの腫瘤が存在していた。当科初診時,左側頭部に6×5×1.5 cmの凹凸不整な紅色腫瘤と腫瘤から連続した黄色脱毛局面を認めた。臨床,組織学的に腫瘤はケラトアカントーマ型有棘細胞癌(KA type SCC),脱毛斑は脂腺母斑で,両者は切片上連続していた。脂腺母斑を母地としたKA type SCC(T3N0M0, stage II)と診断した。辺縁6mm離し骨膜上で切除,分層植皮術を施行。術後,緑膿菌感染を発症し保存治療を行うも効果は乏しかった。感染は人工骨・硬膜に波及し硬膜外膿瘍を形成。感染した人工骨・硬膜除去し,広背筋皮弁で再建した。経過は良好で手術1年後の現在,再発は無い。
著者
中山 恵二 三神 寛 濱松 優 青木 雅子 西 原潔 中村 進一
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.297-299, 1991
被引用文献数
1

75歳女性の腹部に発生したエックリン汗管癌の1例を報告した。数年前より毎年暑くなると腹部に紅斑が出現。涼しくなると, 軽快することを繰返していた。初診時, 腹部に27×36mmの中心に潰瘍を形成する楕円形の結節を認めた。病理組織学的所見: 腫瘍細胞は表皮直下から一部脂肪織にかけて充実性に増殖しており, 細胞の大小不同, 核の異型性など悪性像を示し, 小管腔構造を伴って小胞巣を形成しながら増生していた。
著者
丹羽 祐介 長谷川 敏男 宿谷 涼子 大熊 慶湖 平澤 祐輔 池田 志斈
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin cancer : official organ of the Japanese Society for Skin Cancer = 皮膚悪性腫瘍研究会機関誌 (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.90-93, 2010-05-15

73歳,女。約半年前より外陰部の腫瘤に気付いた。徐々に腫瘤が増大したので近医を受診し,皮膚生検にて有棘細胞癌の診断を受け,当科に紹介受診した。初診時,左大陰唇に5cm大の広基性隆起性腫瘤が存在した。また,外陰部全体が紅白色の萎縮性局面を呈し,陰核の消失,膣口の狭小化を伴っていた。腫瘍の周囲から2cm離し,肛門周囲と尿道周囲では1cm離して,腫瘍拡大切除術,および分層植皮術を施行した。同時に施行したセンチネルリンパ節生検術にて,両鼠径リンパ節に転移が検出されたため,両側鼠径リンパ節郭清術を併せて施行した。病理組織検査では,腫瘍部は角化傾向の強い異型細胞が増殖しており有棘細胞癌と診断した。腫瘍辺縁部では液状変性や真皮上層の帯状リンパ球浸潤,透明帯がみられたため,臨床所見と併せ硬化性萎縮性苔癬と診断した。外陰部に生じた硬化性萎縮性苔癬は有棘細胞癌の発生母地となり得るので,注意深く経過観察する必要がある。
著者
熊野 公子
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.278-281, 2011

50年前にイギリスのDr.シシリー・ソンダースがブロンプトン・カクテルを創作し,これを発端に,学問的なターミナルケアが始まりました。単なる経験論でなく,多数例での実践を踏まえて,科学的に検証し始めました。<br> 現在,ターミナルケアから緩和医療へと呼称が変化しています。緩和医療は,あらゆる時期のあらゆる苦痛からの解放を目指します。その対象となるのは,決して癌だけではなく,すべての疾患で,すべての患者に必要なものです。結局,緩和医療は医療の根本そのものであったのです。これを医療の回帰性と呼びます。この回帰性に医師が気付き始め,医学自体の方向性に変化が生じています。<br> 一方,皮膚科は専門領域の外の研究会に出席し,告知,身体的以外の痛み,終末期の家族への対応,などを学ぶべきです。<br> 皮膚科は緩和医療と接するところが少なくないにも拘わらず,皮膚科視野に立った緩和医療の研究は皆無です。今,緩和皮膚科学を考えるべき時です。
著者
菅原 光雄 佐伯 英明 沢田 幸正
出版者
The Japanese Skin Cancer Society
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.425-427, 1990

61歳の男性。初診の約1年前に左下腿内側に掻痒感あり, 同じ頃同部を打撲。その後同部に皮下腫瘍が発生し, 2ヵ月で鶏卵大となった。1989年9月1日当科初診, 9月19日の生検で本症と診断された。患者の希望で左下腿腫瘍の摘出術を行ったが, 同年11月15日に死亡した。剖検で, 両側の肺, 右側の腎, 左肩甲骨および脳に多臓器転移が認められた。