著者
内田 明彦 川上 泰 加藤 茂 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-119, 1999-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

1995~1997年に神奈川および静岡県内の河川に生息, あるいは養殖されるアユ, アマゴ, イワナ, ニジマスなどについて横川吸虫メタセルカリアの感染状況を調査した. 神奈川県内の河川から採取したアユの感染率は73.7~87.1%で, 1匹当たりのメタセルカリア数は12~348個体であった. 早川, 酒勾川で採取されたウグイは濃厚に感染 (87.0~100%) し, 1匹当たりのメタセルカリア数は27~1, 247個体であった. 早川, 藤木川産ニジマスには感染がみられなかった. 静岡県内 (狩野川本流とその支流) ではアユ (感染率80%, 寄生数25~428), ウグイ (93.8~100%, 36~1, 257), オイカワ (46.6~56.7%, 16~269), カワムツ (76.3%, 24~198) およびタカハヤ (100%, 49~165) の5種に感染がみられたが, ニゴイ, イワナ, ニジマス, アマゴからは検出されなかった. 井戸水飼育の養殖アユ212匹中3匹 (1.4%), 河川水利用の養殖アユでは223匹中142匹 (63.7%) からメタセルカリアが検出され, 感染率および1匹当たりのメタセルカリア数は晩秋に向けて増加した. しかし, 養殖ニジマス, イワナ, アマゴからはメタセルカリアは検出されなかった. 各種魚類から得られたメタセルカリアを猫に感染して得た成虫は, 形態変異がみられたが, すべて横川吸虫と同定された.
著者
内田 明彦 内田 紀久枝 川上 泰 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.715-721, 1999-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
49
被引用文献数
3 6

1990~1998年に神奈川県中央部と東京都西多摩郡日の出町に生息するタヌキNyctereutes Procyonoides umerrinusの内部寄生虫を調査した. 45頭中44頭 (97.8%) に蠕虫類の寄生が認められ, 線虫類11種 (タヌキ回虫Toxocara tanuki, クシマタヌキ鉤虫Ancylostoma kuskimaense, ミヤザキタヌキ鉤虫Artkrostoma miyazakiense, 猫糞線虫Strongyloides Planiceps, 犬鞭虫Trichuris vulpis, 犬糸状虫Dirofilaria immitis, Capillaria felis-cati, C. putorii, Tetragompmms melis, Molineus lagerae, Trichuris sp.), 吸虫類4種 (横川吸虫Metagonimus yokogauai, 浅田棘口吸虫Eckinostoma hortense, Concinnum ten, Stepkanoprora sp.), 条虫類2種 (マンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei, 瓜実条虫Dipylidium caninum) の計17種で, 1頭あたりの寄生種は2~9種であった. ヒトに感染する可能性のある種は9種であった.
著者
萩原 健一 鴾田 明子 三輪 昭子 川合 述史 村田 義彦 内田 明彦 中嶋 暉躬
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 1991-06-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
2 3

野外にて採集した9種類の日本産クモの毒腺中の化学成分のうちカテコラミン, ポリアミン等の生物活性アミンに着目し, これらの含有量を定量し比較した。その結果, クモ毒腺はカテコラミン類の含量は低いがポリアミンの含量が高いことが示された。ただし, 刺咬時の痛みが激しいことで知られているカバキコマチグモだけは例外的に, 毒腺にカテコラミン類およびセロトニンが検出され, これらが低分子の発痛物質として作用していると考えられた。毒腺抽出物を逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)により分離分析したところ, 各クモに固有のクロマトグラムパターンが得られ, クモ毒成分の多様性が示された。さらに, 逆相HPLCで分画した毒成分について, イセエビ歩脚の神経-筋標本を用いて神経伝達阻害作用をもつ物質のスクリーニングをおこなったところ, クサグモ(Agelena)の毒分画中に新たな神経毒を見いだした。
著者
内田 明彦 川上 泰 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.525-527, 1998-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

1995-1996年に相模湾および駿河湾で獲られた5, 555匹 (18種) の魚類についてアニサキス幼虫の感染状況を調べたところ, 相模湾産のカタクチイワシ6.1%, マサバ33.7%, マルアジ2.0%, ヒラソウダ23.1%および駿河湾産のマサバ21.0%, カタクチイワシ3.5%, マイワシ0.5%, シイラ33.3%から幼虫が検出された. 感染虫は大部分がAuisakis I型 (Anisakis simplex) で, Anisakis IIおよびIV型, ContracaecumBおよびD型, 旋尾線虫の幼虫も検出された.
著者
内田 明彦 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.388-390, 1999-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

1984年に山口市内で飼育されていた日本猫 (雑種, 雌, 6歳, 体重3.5kg) の瞬膜下に線虫7匹 (右瞬膜下3匹, 左瞬膜下4匹;体長9.0~18.0mm) が寄生し, すべてが雌で, 体長のクチクラには条線がみられ, 体辺縁は鋸歯状で, 尾部は短く, その先端は鈍円であった.口腔の発達は悪く, 食道は太くよく発達し, 神経輪は食道のほぼ中央に存在した.陰門は体前方1/3の位置に開口し, 子宮は未熟幼虫によって満たされていた.形態学的特徴からテラジア科Thelaziidaeの東洋眼虫Thelazia callipaedaと同定された.
著者
内田 明彦 内田 紀久枝 川上 泰 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.715-721, 1999
被引用文献数
6

1990~1998年に神奈川県中央部と東京都西多摩郡日の出町に生息するタヌキ<I>Nyctereutes Procyonoides umerrinus</I>の内部寄生虫を調査した. 45頭中44頭 (97.8%) に蠕虫類の寄生が認められ, 線虫類11種 (タヌキ回虫<I>Toxocara tanuki</I>, クシマタヌキ鉤虫<I>Ancylostoma kuskimaense</I>, ミヤザキタヌキ鉤虫<I>Artkrostoma miyazakiense</I>, 猫糞線虫<I>Strongyloides Planiceps</I>, 犬鞭虫<I>Trichuris vulpis</I>, 犬糸状虫<I>Dirofilaria immitis, Capillaria felis-cati, C. putorii, Tetragompmms melis, Molineus lagerae, Trichuris sp.</I>), 吸虫類4種 (横川吸虫<I>Metagonimus yokogauai</I>, 浅田棘口吸虫<I>Eckinostoma hortense, Concinnum ten, Stepkanoprora sp.</I>), 条虫類2種 (マンソン裂頭条虫<I>Spirometra erinaceieuropaei</I>, 瓜実条虫<I>Dipylidium caninum</I>) の計17種で, 1頭あたりの寄生種は2~9種であった. ヒトに感染する可能性のある種は9種であった.