著者
松元 まどか
出版者
玉川大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

多面的な動機づけの神経機構を明らかにするため、1.達成動機、2.自己効力感、3.自己決定感による内発的動機づけの促進の神経基盤について、機能的磁気共鳴イメージング法(fMRI)で検討してきた。1.行動を動機づける重要な要因の一つに達成目標があるが、ヒトの達成目標は質的に異なる2種類(自分の成績を超える「習得目標」と他者の成績を超える「遂行目標」)に大別される。それぞれの目標を設定して課題を行っている際の脳活動をfMRIで調べた。習得目標で課題を行っている際には動機付けが高く、遂行目標で課題を行っている際には、動機付けは成績と正の相関を示した。さらに、前頭前野外側部、腹側線条体が動機づけの大きさに応じて活動すること、また、側頭頭頂接合部が遂行目標のときよりも習得目標のときに強く活動することが明らかになった(2011年の北米神経科学大会、神経経済学学会において発表)。2.自分の行動によって特定の結果をうまく導くことができるという期待感は自己効力感と呼ばれており、その高低が動機づけに影響することが分かっているが、その神経基盤は不明である。前頭葉内側部-線条体-視床-前頭葉内側部という神経ループに着目し、自己効力感およびその動機づけへの影響の神経基盤を明らかにするため、自己効力感を調べるのに適した課題の検討を行った。3.外的報酬による内発的動機づけの低減効果(アンダーマイニング効果)において、前頭前野と線条体との相互作用が重要であることを2010年に報告したが、逆に内発的動機づけを促進する神経機構については、よく分かっていない。心理学的な先行研究から、この促進には自己決定感の有無が重要な役割を果たすことが示唆されているので、自己決定感の有無を制御した動機づけ課題を考案、課題プログラムの検討を行った。
著者
松元 健二 松元 まどか 村山 航 出馬 圭世
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.164-170, 2011-03-31 (Released:2017-04-15)
参考文献数
20

The prefrontal cortices play important roles in cognitive control of behavior. The medial prefrontal cortex guides actions on the basis of the representation of action-outcome contingency, because many neurons represent action-outcome contingency when represented information is examined in a visually cued go/no-go task with asymmetrical rewards with reversals. Also, the medial prefrontal cortex evaluates the correctness of actions on the basis of classifying the outcome of actions, because both success- and failure-responsive neurons were observed in an action-learning task. On the other hand, the lateral prefrontal cortex regulates the relationship between actions and rewards by comparing the values of intrinsic and extrinsic rewards, because the lateral prefrontal cortex shows the activity corresponding to the undermining effect of extrinsic rewards on intrinsic motivation in a task that could be voluntarily engaged in. Both the medial and lateral prefrontal cortices may interact to link between goal-directed behaviors and intrinsic motivation through the cortico-basal ganglia loops.