著者
村山 航
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.118-130, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
50
被引用文献数
33 17

妥当性とは曖昧な構成概念を扱う心理学にとって, もっとも重要な概念の1つである。妥当性というと「基準連関妥当性」「構成概念妥当性」「内容的妥当性」という3つのタイプがあると一般に説明されることが多い(妥当性の三位一体観)。しかし, 1980年代以降の妥当性研究では, こうした妥当性のタイプ分けは適切ではなく, 「構成概念妥当性」という考え方にすべての妥当性は収斂するという考え方が主流である(単一的な妥当性概念)。本稿の前半では, こうした妥当性概念の歴史的変遷について, 思想的な背景や近年の議論などを踏まえた解説を行った。本稿の後半では, 妥当性に関するより実践的なトピックを取り上げ, 心理測定学的な観点から議論を行った。具体的には, 1. 「内容の幅の広い項目群を用いた尺度作成」というアイディアと伝統的な心理測定学的モデルの矛盾, 2. 「個人間相関」と「個人内相関」を区別することの重要性とその関係, そして3. 心理学における「尺度の不定性」が結果の解釈などに与える影響などについて議論を行った。
著者
村山 航
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.236-242, 2018-03-31 (Released:2018-06-16)
参考文献数
17
被引用文献数
1

When researchers analyze data from an experiment with multiple experimental stimuli, they tend to aggregate responses to the experimental stimuli before performing a statistical test (e.g., t-test, analysis of variance). This common practice, however, ignores sampling errors of experimental stimuli, resulting in a substantial increase in Type-1 error rate. This article reviews the relevant literature and provides conceptual explanations about the mechanisms underlying the inflation of Type-1 error rate. The article also illustrates how linear mixed-effects model with random-stimulus effects can address the issue, with the emphasis on the correct model specification when using linear mixed-effects model.
著者
吉田 寿夫 村山 航
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.32-43, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
30
被引用文献数
13 5

これまで, 「学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していない」ということが, 学習方略の研究者によって示唆されてきた。本研究では, こうした実態について定量的に検証するとともに, なぜこうしたことが起きるのかに関して, 「コスト感阻害仮説」, 「テスト有効性阻害仮説」, 「学習有効性の誤認識仮説」という3つの仮説を提唱し, 各々の妥当性について検討を行った。また, その際, 先行研究の方法論的な問題に対処するために, 学習方略の専門家から収集したデータを活用するとともに, 各学習者内での方略間変動に着目した分析を行った。中学生(N=715)と専門家(N=4)を対象にした数学の学習方略に関する質問紙調査を行い, それらのデータを分析した結果, 実際に学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していないことが示された。また, 学習有効性の認識に関して専門家と学習者の間に種々の齟齬があることが示されたことなどから, 学習有効性の誤認識仮説が概ね支持され, どのような方略が学習に有効であるかを学習者に明示的に伝える必要性が示唆された。
著者
村山 航
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-12, 2003-03
被引用文献数
1

本研究では,中学2年生を対象として,テスト形(空所補充型テストと記述式テスト)が学習方略やノート書き込み量などの行動指標に与える影響を,歴史の授業を用いて実験的に検討した。同時に,記述式テストにおける添削の動果もあわせて検討した。直交対比を用いた検定の結果,授業後に繰り返し空所補充型テストを課された群(空所補充群)では,浅い処理の学習方略使用が,記述式テストを課された群(記述群)では深い処理の学習方略使用がそれぞれ促進された。また,記述式テストで添削がなかった群(記述-非添削群)と添削があった群(記述-示削群)の間には,方略使用の差は見出されなかった。また,ノート書き込み量は記述群で促進されることが明らかになったが,テスト成績や授業に関する質問生成では明確な結果は得られなかった。達成目標や学習観を適正変数にとり,適正処遇交互作用(ATI)を検討した結果,これまでみられた群間差は,習得目標や方略志向が高い場合に消失する場合があることが示された。
著者
伊藤 友一 松本 昇 小林 正法 西山 慧 三好 清文 村山 航 川口 潤
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.43-56, 2022-08-31 (Released:2022-09-23)
参考文献数
76

エピソード記憶の想起は,過去の出来事を記述的に思い出すのではなく,過去の出来事を心的に再体験する感覚を伴う.すなわち,その記憶システムは,過去のエピソードに対するメンタルタイムトラベルを担っている.メンタルタイムトラベルは未来や反実仮想のエピソードへも可能であり,記憶システムはさまざまな時間軸でエピソードを(再)構成するものとして捉え直すことができる.この視点から,記憶システムがかかわる近年の研究を概観する.伊藤はエピソード的未来思考について,松本は自伝的エピソード記憶の詳細さについて,小林は外部記憶の利用によるcognitive offloadingについて,西山は記憶の意図的な制御と忘却について,三好は主観的メタ記憶の計算論とその反実仮想との関連性について紹介する.これら話題提供の後,村山と川口による指定討論を受け,記憶研究の新たな視点と今後の展開について議論する.
著者
鈴木 雅之 田中 瑛津子 村山 航 市川 伸一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.35-43, 2010

本稿は,自発的な計算の工夫を促進させるために,「式全体をよく見て計算する」という抽象的方略のもとに,いくつかの具体的な工夫方法を教授し,その転移効果について検証するものである.研究1では工夫速算問題にはどのようなものがあるのかを検討するために,工夫速算問題の工夫方法の類似度評定から,多次元尺度法とクラスター分析を用いて工夫速算問題の構造を示し,工夫速算問題を8つの群に分類した.研究2では,研究1の分類結果をもとに,どのような問題に効果がみられたのかを検討した.その結果,小学5年生は教えられた問題と同型構造の問題に対しては工夫を加えることが可能であるのに対し,小学2年生は指導された方略をある程度自発的に応用させることが可能であるということが示された.特に,もともと基本計算能力が備わっている生徒ほど,工夫して計算ができるようになるということが示唆された.
著者
村山 航
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.118-130, 2012
被引用文献数
17

妥当性とは曖昧な構成概念を扱う心理学にとって, もっとも重要な概念の1つである。妥当性というと「基準連関妥当性」「構成概念妥当性」「内容的妥当性」という3つのタイプがあると一般に説明されることが多い(妥当性の三位一体観)。しかし, 1980年代以降の妥当性研究では, こうした妥当性のタイプ分けは適切ではなく, 「構成概念妥当性」という考え方にすべての妥当性は収斂するという考え方が主流である(単一的な妥当性概念)。本稿の前半では, こうした妥当性概念の歴史的変遷について, 思想的な背景や近年の議論などを踏まえた解説を行った。本稿の後半では, 妥当性に関するより実践的なトピックを取り上げ, 心理測定学的な観点から議論を行った。具体的には, 1. 「内容の幅の広い項目群を用いた尺度作成」というアイディアと伝統的な心理測定学的モデルの矛盾, 2. 「個人間相関」と「個人内相関」を区別することの重要性とその関係, そして3. 心理学における「尺度の不定性」が結果の解釈などに与える影響などについて議論を行った。
著者
村山 航 及川 恵
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.273-286, 2005-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
83
被引用文献数
7 10

臨床・教育心理学の分野で,“回避方略”は, ストレス状況の解決や不快情動の緩和, 学業達成などを阻害するものとして, 非適応的な方略だと主張されてきた。しかし, 気晴らし, 援助要請行動の回避, セルフハンディキャッピングといった回避方略を取り上げて実際の先行研究を概観する限り, 結果は一貫しておらず, この命題が確実に支持されているとは言い難い。そこで本稿では, 上記の命題を批判的に検討した上で, 回避方略の非適応性を捉えるための視点を提出することを目的とした。具体的には, 同じ“回避方略”であっても,“目標・意図レベルの回避”と“行動レベルの回避”を分けて考える必要性を示唆した。その上で, 従来の研究の非一貫性を説明するため,“たとえ行動レベルで回避的な方略であっても, 目標レベルで回避的でなければ非適応的にならない”という仮説を提出した。この仮説を検証するため, 先行研究を改めて概観し, いくつかの支持的な証拠を得た。また, 著者らが直接実施した調査データからも, この仮説が支持された。最後に, 臨床・教育実践の観点から, 本稿の意義が検討された。
著者
村山 航
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.265-279, 2006-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
127
被引用文献数
2 3

学習者は, テストを受ける中で,“テスト作成者はこういったことを評価したいのだ”とその評価基準・意図を推察し, それにあわせて自らの学習行動を変化させることがある。本稿では, そのような現象を“テストへの適応”と呼び, 関連領域を包括的に概観しながら,1) 実証的にどのような形で支持されているのか,2) どのような教育実践上の問題点を持っているのか,3) その問題を解決するための視点として何が考えられるか, の3点に関して検討を行った。実証的な支持に関しては, テスト期待効果研究と学習方略研究を取り上げ, それらを統合的に捉える仮説を提出した。問題点としては“学習行動の危機”と“妥当性の危機”という2点を指摘した。最後にこれらの問題を解決するために, テストワイズネス・テストスキルの個人差の排除, 新しい評価 (alternative assessment) の導入, インフォームドアセスメント (informed assessment), 妥当性概念の拡張, 表面的妥当性への意識, という5つの視点を提出した。
著者
北神 慎司 村山 航 坂口 結香 武野 全恵 井関 紗代
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.26, 2019 (Released:2019-10-28)

メタ動機づけに関する先行研究において,金銭的報酬などの外発的動機づけを伴わない課題を行った後の内発的動機づけの自己評価に比べて,課題を行う前の予測的な自己評価が一貫して低いことがさまざまな実験によって示されている。すなわち,内発的動機づけは過小評価される傾向があることが明らかとなっており,これはメタ認知が概して不正確である知見と一致するものである。本研究では,課題前の内発的動機づけの予測的な自己評価を行う前に,「内発的動機づけが過小評価されやすい」ことを事前警告として教示することによって,過小評価が修正されうるかどうかを検討することを目的として実験を行った。その結果,事前警告の効果は現れず,課題に対する自己評価だけでなく課題成績においても内発的動機づけは過小評価されることが示された。つまり,先行研究の知見とあわせると,このような現象は極めて頑健であると考えられる。
著者
松元 健二 松元 まどか 村山 航 出馬 圭世
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.164-170, 2011-03-31 (Released:2017-04-15)
参考文献数
20

The prefrontal cortices play important roles in cognitive control of behavior. The medial prefrontal cortex guides actions on the basis of the representation of action-outcome contingency, because many neurons represent action-outcome contingency when represented information is examined in a visually cued go/no-go task with asymmetrical rewards with reversals. Also, the medial prefrontal cortex evaluates the correctness of actions on the basis of classifying the outcome of actions, because both success- and failure-responsive neurons were observed in an action-learning task. On the other hand, the lateral prefrontal cortex regulates the relationship between actions and rewards by comparing the values of intrinsic and extrinsic rewards, because the lateral prefrontal cortex shows the activity corresponding to the undermining effect of extrinsic rewards on intrinsic motivation in a task that could be voluntarily engaged in. Both the medial and lateral prefrontal cortices may interact to link between goal-directed behaviors and intrinsic motivation through the cortico-basal ganglia loops.
著者
吉田 寿夫 村山 航
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.32-43, 2013
被引用文献数
5

これまで, 「学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していない」ということが, 学習方略の研究者によって示唆されてきた。本研究では, こうした実態について定量的に検証するとともに, なぜこうしたことが起きるのかに関して, 「コスト感阻害仮説」, 「テスト有効性阻害仮説」, 「学習有効性の誤認識仮説」という3つの仮説を提唱し, 各々の妥当性について検討を行った。また, その際, 先行研究の方法論的な問題に対処するために, 学習方略の専門家から収集したデータを活用するとともに, 各学習者内での方略間変動に着目した分析を行った。中学生(<i>N</i>=715)と専門家(<i>N</i>=4)を対象にした数学の学習方略に関する質問紙調査を行い, それらのデータを分析した結果, 実際に学習者は専門家が学習に有効だと考えている方略を必ずしも使用していないことが示された。また, 学習有効性の認識に関して専門家と学習者の間に種々の齟齬があることが示されたことなどから, 学習有効性の誤認識仮説が概ね支持され, どのような方略が学習に有効であるかを学習者に明示的に伝える必要性が示唆された。
著者
市川 伸一 南風原 朝和 杉澤 武俊 瀬尾 美紀子 清河 幸子 犬塚 美輪 村山 航 植阪 友理 小林 寛子 篠ヶ谷 圭太
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.333-347, 2009 (Released:2010-09-10)
参考文献数
15
被引用文献数
8

COMPASS is an assessment test based on the cognitive model of mathematical problem solving. This test diagnoses components of mathematical ability which are required in the process of understanding and solving mathematical problems. The tasks were selected through the case studies of cognitive counseling, in which researchers individually interview and teach learners who feel difficulty in particular learning behavior. The purpose of COMPASS is to provide diagnostic information for improving learning process and methods of class lessons. Features of COMPASS include: The time limitations are set for each task to measure the target component accurately; questionnaires are incorporated to diagnose orientation toward learning behavior. The present paper aims to introduce the concept and the tasks of COMPASS to show how cognitive science contributes to school education through the development of assessment tests.
著者
北神 慎司 村山 航
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.5, 2011 (Released:2011-10-02)

自己効力感 (self-efficacy) とは,課題をやり遂げる自信のことであり,これが高いと課題への動機づけが高まり,困難な課題にも粘り強く取り組むようになることが指摘されている。これまで,自己効力感を高めるプログラムはいくつも開発されているが,いずれもコストと時間がかかることが問題として挙げられる.本研究では,課題の図と地のコントラストを操作することにより,知覚的流暢性 (perceptual fluency) を高めるだけで,自己効力感が高まり,課題への粘り強さが高まることを示した。研究1では,知能検査の課題を,低いコントラストで呈示する条件と高いコントラストで呈示する条件で比較したところ,低コントラスト条件に比べて高コントラスト条件では,課題に対する自己効力感が高いことが明らかになった。研究2では,知覚的流暢性の操作が行動に与える影響を調べるため,知能検査の課題に解決不可能課題を挿入し,どちらの条件で実験参加者が粘り強く取り組むかを比較した。その結果,高コントラスト条件の課題の方が,低コントラスト条件の課題よりも,より長く取り組まれることが明らかになった。
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.5, pp.493-502, 2019
被引用文献数
2

<p>The study described here developed a short surrogate index for the children's socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children's SES was related to family income, parents' academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index's validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.</p>
著者
村山 航
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.130-140, 2003-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
31
被引用文献数
20 13

これまでの研究において, 学習方略使用と有効性の認知との関係に関し, 一貫した結果が得られていない。本研究では, その非一貫性を解消するため, 従来単一のものとして扱われていた学習方略の有効性の認知を, 短期的な有効性の認知 (目前のテストなどに対する有効性の認知) と, 長期的な有効性の認知 (長期的な学習に対する有効性の認知) の2つに分け, 学習者の方略使用に与える影響を比較検討した。また, その結果の学校間変動や達成目標という個人差変数の調整効果も併せて検討した。中学生・高校生12校1138人に, 予備調査によって作成した歴史の学習方略質問紙に対して回答してもらい, 階層線形モデルなどによる分析を行った。結果, 短期的な有効性の認知は方略使用に対し直接の効果を持つが, 長期的な有効性の認知は, 短期的な有効性の認知を媒介した間接的な効果しか持たないことが明らかになり, 学習方略の有効性の認知を分けて概念化することの有用性が示された。有意な学校間変動は見られなかった。また, 達成目標による調整効果はみられなかった。
著者
村山 航
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.564-583, 2003 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
2
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18233, (Released:2019-11-15)
参考文献数
66
被引用文献数
2

The study described here developed a short surrogate index for the children’s socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children’s SES was related to family income, parents’ academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index’s validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.