著者
山本 誠子 奥村 麻里 大場 智美 為積 沙奈絵 松岡 博厚
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.309-314, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

生姜搾汁の牛乳凝固性について塩化カルシウム添加脱脂乳を基質に用い検討した。生姜搾汁の乳凝固活性は調製後不安定であった。生姜搾汁に1mML-システインと1mML-アスコルビン酸の添加により-18℃~-20℃で9~11週間貯蔵後も約80%の乳凝固活性が保持された。乳凝固活性は脱脂乳5mlに対する添加量が生姜搾汁0~0.4mlの範囲内で直線的に上昇し,0.5mlにて飽和に達した。乳凝固活性は脱脂乳へ塩化カルシウム0~15mM添加の範囲内で直線的に上昇した。乳凝固活性はカルシウム濃度に依存していた。乳凝固活性は温度とともに上昇した。最高乳凝固活性は70℃であった。生姜搾汁を60℃,10分間加熱処理後の乳凝固活性は約50%減少し,70℃で完全に失活した。しかし,70℃,1分間の加熱処理後には乳凝固活性の83%が保持された。
著者
渡辺 容子 松岡 博厚
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.627-632, 1994-09-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
22

P.caseicolumを熟成用スターターに用いた大豆チーズの製造工程および熟成中のフィチン酸の変化について調べた.また, P.caseicolumのフィターゼの産生能について確かめ,諸性質についても検討した.(1) 試料大豆に含まれるフィチン酸の82%は, 10倍加水量豆乳に移行した.乳酸発酵により得たカードでは,豆乳に含まれるフィチン酸の約48%,大豆中のフィチン酸の約40%が移行した.(2) カードに含まれるフィチン酸は,熟成1週目において未熟成カードの約50%に減少した.一方遊離リン量は約10倍に上昇した.熟成1週目以降の変化はゆるやかであった.(3) 小麦ふすま培地にP.caseicolumを培養した結果,抽出液および硫酸アンモニウム画分中(30~80%飽和)にフィターゼ活性がみられた.(4) フィターゼ活性に及ぼすpHの影響を調べた結果, pH3.0~3.6とpH4.8付近に最適作用pHを示す活性ピークがみられた.(5) pH3.6の条件下でのフィ夕ーゼ活性の至適温度は45℃付近, pH4.8の条件下においては30~40℃と至適温度の範囲が広かった.(6) 米のフィチン酸ナトリウムを基質とした場合,至適基質濃度はpH3.6の条件下では0.375mM, pH4.8の条件下では2.5mMであった.