著者
山本 未陶 八木 稔 筒井 昭仁 中村 譲治 松岡 奈保子 埴岡 隆
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.410-416, 2015-10-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
34

本研究の目的は3歳から5歳までの間に発生した乳歯のう蝕の予測に関連する要因をコホート研究にて明らかにすることである.対象は2004年に福岡県内7施設の保育所・幼稚園に通う満3歳児185名とし,3歳時に保護者へ実施した自記式質問紙調査結果および3歳時と5歳時の定期歯科健康診断結果が確認できた151名(男児78名,女児73名)を解析対象とした.乳歯う蝕有病者数は3歳時が53名(35.1%),5歳時には84名(55.6%)に増加した.2年間に新たな乳歯う蝕が発生した者は75名(49.7%)であった.乳歯う蝕経験歯数(dft)の増加の有無と,質問紙調査項目および3歳時のdftの有無それぞれとの間で二変量のχ^2検定を行い,p<0.2であった項目を説明変数として,う蝕有病状況に応じた次に示す二通りの多変量ロジスティック回帰分析を行った.まず,全員を対象とする多変量解析モデルでは説明変数として3歳時にdftあり(odds比10.7,95%CI 4.54〜25.48,p<0.001)のみが選択された.つぎに,3歳時の非う蝕有病者98名(64.9%)を対象とするモデルでは説明変数として歯磨剤の使用なし(odds比2.7,95%CI 1.10〜6.76,p=0.030)のみが選択された.3〜5歳の乳歯う蝕発生には3歳時点でのう蝕経験の有無が影響しており,3歳までの乳歯う蝕予防が重要である.本研究でみられた歯磨剤によるう蝕予防効果は,配合されているフッ化物によるものと思われた.よって,3歳以降の乳歯う蝕有病率の増加抑制には3歳以前からのフッ化物配合歯磨剤の使用が有効と考えた.
著者
藤好 未陶 筒井 昭仁 松岡 奈保子 埴岡 隆
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.3-14, 2005
参考文献数
28
被引用文献数
7

歯科保健教育の受け手側である小学生のブラッシング行動に関連する諸要因を検討し, 学齢期の歯肉炎対策に効果的な教育プログラムの開発に供することを目的とした.福岡市某小学校5年生81名を対象に, 児童のブラッシングに関連する知識, 意識と行動, 心理学的要因および歯肉炎と歯垢付着の状況を調査し, 関連性を検討した.93.3%が1日1回以上ブラッシングを行っていたが, 歯肉に炎症が認められたものは85.1%と多かった.歯肉の炎症度と歯垢付着度との間には相関性がみられた(r=0.515, p=0.0001)が, ともにブラッシング行動との関連性は認められなかった(p>0.05).心理学的要因のセルフエスティームは5つのブラッシング行動関連項目と, 自己管理スキルは8項目と有意な関連性を示した(p<0.05).因子分析の結果2因子が抽出され, 自己管理スキルは両因子に対して高い因子負荷量(0.526, 0.716)を示した.これらのことから, 小学生ではブラッシング行動は定着しているが歯肉炎に関する情報や意識が不足しているために有所見者率が高いこと, ブラッシング行動の背景として心理学的要因, 特に自己管理スキルが関与することが示された.歯肉炎対策には, 良好なブラッシング技術を伴ったブラッシング行動を定着させる歯科保健教育プログラムの開発が必要であり, その際には自己管理スキルの育成に着目する必要があることが示唆された.