著者
瀬戸口 裕二
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
pp.23-33, 2012-03

ハンセン病療善所奄美和光園においては、優生保護法下に生まれた子どもたちが存在していた。末感染児童は、親と隔離された保育所内で生活していた。国立療養所であり、政府の管理下にあった和光園において、患者の出産が可能となっていた背景について、資料を通して人物史的に考察した。戦後の混乱期にあった奄美大島において、カトリックの思想に基づいた職貝たちの活動が、園内出産を可能としてきたことが明らかとなった。また、出産と同時に発生した、養育と教育についても概観した。
著者
浦田 康成
巻号頁・発行日
no.11, pp.33-42, 0000

【要約】近年、社会構造の変化を反映し、児童虐待など、子どもとその家庭をめぐる問題は、ますます深刻化している。また、精神保健福祉士を取り巻く環境の変化に伴い、精神保健福祉士が果たす役割は、精神障害者に対する支援だけでなく、精神障害等によって日常生活や社会生活に支援を必要とする者、精神保健の課題を抱える子どもやその家庭等への支援にも拡大してきている。これまで精神保健福祉士の支援対策として、児童・思春期の子どもたちがあがることは、特段多いことではなかった。しかし、子どもやその家庭を取り巻く環境は著しく変化しており、子どもとその保護者をめぐる問題は多様化・複雑化している。本稿では、日本の児童虐待の現況について概観するとともに、子どもやその家庭に生じる精神保健上の課題に対する精神保健福祉士の役割や適切な支援について考察する。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.41-47, 2016-03-31

本稿では、統合失調症患者や高齢精神障害者の地域移行支援について諸家が指摘する論点を整理するとともに、今後の精神保健福祉士養成教育のあり方について著者の私心を述べることを目的とした。「地域移行」という言葉は、ノーマライゼーションに基づく「脱施設化」の政策が推し進められるなかで定着してきたものと推測される。殊に、わが国では、2003年からスタートした「精神障害者退院促進支援事業(モデル事業)」から続く一連の制度・政策の整備のなかで関係者に浸透してきた感がある。患者の地域域移行支援や生活支援システムを検討する過程においては、患者自身の諦め・絶望、家族の受け入れの難しさ、地域社会の偏見・差別、支援者の偏見・差別などの諸問題がある。精神保健福祉士養成を開始したばかりの本学であるが、学生と地域と大学の協働により、名寄市という地域性も加味した上で次代を担う精神保健福祉士のあり様を考えていく必要がある。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.11, pp.11-16, 2021-03-31

【要約】 育児を行う統合失調症患者について、祖父母の育児への関わりの現状について探索的に 検討した。孫育てを担う祖父母の現況や先行研究を概観したとき、統合失調症患者の妊娠・ 出産の困難は明白で、どれだけ母親にリカバリーや自己実現という視点を加味しても、本 人の疾病管理、祖父母等の家族の負担など、現実に後押しするに足る理論的背景を見出すことは難しい感があった。とはいえ、本研究のインタビュー調査によって祖父母から聞か れた言葉は統合失調症患者ゆえのものもあるが、一般的に、孫育てをする祖父母が遭遇す る困難や喜びと符合する部分も大い減とフォーマル、インフォーマルサポート体制の構築 などを考えることは、統合失調症の有無に関わらず、少子化のわが国にあって、子育て・ 育児の社会化やシームレスな支援の構築という近年の課題を具現化する契機とすべきと思 われた。
著者
松倉 聡史 三戸 尚史
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-29, 2018-12-28

社会福祉学を学ぶ学生にとって、しかも教職課程で高校公民の免許取得を目指す学生にとって、社会権の意義及び生存権の法的性格を学ぶことは福祉国家における人権思想の基礎を築くことになろう。憲法の生存権規定がどのような性格であるのかが真正面から争われたのが、朝日訴訟と呼ばれる事件である。朝日訴訟最高裁判決では、朝日茂の死亡によって生活保護受給権の一身専属性を理由に訴訟継承しうる余地はなしとし、その後の「なお、念のため・・・当裁判所意見を付加する」とする傍論ではプログラム規程説とされる見解が示されている。最高裁判決50周年を迎え、朝日訴訟の先例的な意義への注目度は薄くなっているかもしれない。しかしながら、朝日訴訟の「人間裁判」としての「人間に値する生存」を朝日茂の手記から考察し、防衛費予算に占める社会保障費の減少、生活保護世帯の増加等、当時と酷似する現代的意義を「朝日訴訟運動史」から考察する。
著者
木下 一雄
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.8, pp.49-61, 2018-03

多くの精神障害者は働きたいという希望とその力を持っている。しかし、地域社会の精神障害者に対する理解不足や適切な支援がなされていないこと、関係機関や企業等のネットワークと連携が不足していることが、精神障害者の就労を困難にしていると考えられる。 精神障害者の就労促進のためには、精神障害者が今まで暮らしていた地域で、自分らしく当たり前に生活していくことが出来る地域社会環境を構築することが必要であり、そのような環境を実現するための知見の一助とすべく、K市障がい者就業・生活支援センター職員に対する聞き取り調査を行った。 調査対象のK市は、病院と就労支援センターが共同して支援体制を構築する活動を進めている先進地域である。今後、周辺地域の過疎化が進んでいくとともに必要になる広範な地域を支援していくための有効な方策についての手がかりにつながって行く知見を得ることができると考え、調査対象地域とした。 精神障害者の社会復帰を困難にしている現状を明確にし、精神障害者を取り巻いている課題や問題点とどのような支援をしていくことが求められているかについて検討した。
著者
江連 崇
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.47-55, 2014-03-31

今日、日本における更生保護領域において刑務所と福祉施設の連携など、その枠組みの再検討が課題として挙げられている。その再検討の一環として本研究では『大日本監獄協会雑誌』を用いて、日本における更生保護の揺藍期でもある明治期に焦点をあて、関係者の出獄人保護についての思想を検討した。そこでは「犯罪予備軍」の減少を目的として就労支援を出獄人保護の目的とするものや、保護は国民の義務として、その必要性を説くものがあった。また各論者によって出獄人保護の役割と意義は異なっていたが、共通する点として、監獄事業の一環として出獄人保護を位置付けている点があげられる。これは今日の更生保護の課題でもある、刑務所と福祉施設の連携を考える上でも参考になる点が多いであろう。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.49-64, 2016-03-31

本研究ノートは、北海道A市における生活困窮者自立支援促進モデル事業に関する導入過程や取り組みに対してインタビュー調査を行ったものである。その目的は生活困窮者自立支援促進モデル事業を地方レベル(地方自治体レベル)において記録しておくことである。また研究ノートという性格を利用し、インタビュー内容をすべて掲載し、今後の調査研究のために、基礎データとして活かしてもらえるようにした。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.10, pp.11-27, 2020-03

【要約】世界的にメンタルヘルスの促進の重要性が議論される時勢であるが、本稿ではわが国のメンタルヘルスの主要課題の1つである自殺とその周辺課題について、先行研究や政府公刊の白書等、意識調査の結果を中心に考察を試みるとともに、自殺対策についての提言を述べた。わが国では1998年に自殺者が急増して以降自殺者が3万人を超える状態が続いた。2010年以降は9年連続の減少となっており、2018年は20,840人で前年に比べ481人(2.3%)減少したものの以前深刻な状況にある。特に、自殺総合対策大綱では、重点施策のひとつとして、「子ども・若者の自殺対策の更なる推進」が掲げられているが、先行研究を概観すれば、若年層は自殺念慮が最も高い世代であり、社会に絶望を感じながら、自己有用感が低いまま、これまでの人生で遭遇したいじめなどのつらい経験を抱えながら、レッテル貼りを警戒して専門職に相談することをあえてせず、家族や友人などの身近な"知った仲"によるサポートでギリギリ暮らしている実情が示唆された。
著者
吉中 季子
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.3-15, 2014-03-31

1942年に公表されたイギリスのヘヴァリッジ報告は、日本や各国の福祉国家形成に大きく影響を与えたといわれている。ヘヴァリッジ報告のなかの女性の位置づけを当時の歴史的背景とともにみたところ、国民の分類に「主婦」という独立したカテゴリーがあったことや、それに伴う社会保障上の証として「主婦保険証券」の提案があったこと、無業の既婚女性にきわめて優遇された制度の提案であったことがわかる。その背景には、当時のイギリスの主婦たちの家事労働は非常に重労働で、主婦たちの意識のなかに、家事労働に対する「職業観」が強いといったことがある。ヘヴァリッジ報告でも「家事労働」を高く評価して制度設計の計画をしていた。このようなヘヴァリッジ報告は、日本の社会保障制度の萌芽期においても強く影響を受け、ヘヴァリッジ報告を青写真に設計していたことが明らかになった。
著者
大坂 祐二
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.10, pp.29-40, 2020-03-31

【要約】 高等学校における職業に関する教科「福祉」では児童家庭福祉分野を含む「福祉の各分野について体系的・系統的に」(学習指導要領、2018年告示)学ぶ一方、福祉系高校の課程を修め受験資格が与えられる介護福祉士の養成課程や国家試験には、同分野はほぼ含まれない。国家試験対策なども考慮すると、福祉系高校では児童家庭福祉分野の扱いは相対的には低くならざるをえないだろう。しかし、教科「福祉」はその創設時、専門的な職業人の養成としてだけではなく、国民的教養としての福祉教育を進路指導、職業指導につなげてゆくものとしても構想された。その趣旨を継承しようとするとき、児童家庭福祉分野は高校生にとって、福祉を身近なものとして考える契機になりうるのではないか。そのためには、指導上の工夫や家庭科などとの連携も必要になるだろう。
著者
矢口 明 深田 綠 瀬戸口 裕二 柴野 武志
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.6, pp.121-133, 2017-03

知的障がい者の就労について、北海道及び北海道教育委員会が進めている障が いのある人の就労支援の充実に向けた取組の状況を概観することに加えて、北海道内 の特別支援学校在籍者の約8割を占めている知的障がい特別支援学校の現状や就労支 援の取組について整理した。北海道において障がいある人の就労に大きな役割を果た してきた職親会の設立の経緯やなよろ地方職親会の障がい者雇用の状況やジョブコー チ養成研修の成果をまとめた。以上のことを踏まえて、知的障がい者の就労支援やキ ャリア教育の在り方について考察する。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.19-30, 2013-08-31

本稿はイギリスのソーシャルポリシー研究者であるティとマス(Richard Morris Titmuss)に着目し、ソーシャルポリシーにおけるスティグマや反福祉をどのように据え、位置づけていたかに言及し、スティグマの付与や特徴、構造を明確にすることが目的である。その結果、ティとマスによるとスティグマは、文化的受け入れがたい攻撃的な言葉で用いられており、スティグマを負う人々は自身の経験から生活を再定式化していた。またスティグマによって再定式化された生活は人々の要保護性の創出につながっていた。そしてソーシャルポリシーにおけるスティグマを最小化するためには、反福祉的状況を改善していかなけばならないことが明らかとなった。これらのことからソーシャルポリシーにおけるスティグマを把握するためには、社会全体の反福祉的状況を把握する必要があることが明らかとなった。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.6, pp.81-94, 2017-03-31

本研究では統合失調症患者が子育てや家庭教育を行う上で抱えている課題を明らかにす べく、当事者ならびに支援者(看護師、保健師、ソーシャルワーカー等)へのインタビュー調 査を実施した。子育ての課題について、「 病 気 と 子 育て」のカテゴリーでは、「 通 院 し なが らの子育てに苦労している」「 入 院 へ の 不 安 」「 他 の人がどのようにしているのか知りたい」 などの不安が語られる一方で、「 以 前より体調はよくなった」「 子 ど も が 成 長 したのを見て 自信がついた」などの本人のリカバリーにつながっていると思われる小カテゴリーも抽出 された。また、「 子 育てと他者との関係」では、子どもがいろいろ手伝ってくれる」「 看 護 師 や 保健師、精神保健福祉士が相談に乗ってくれている」などの小カテゴリーを抽出し、 子どもが「支援をする側」になっている現状や、専門職が重要な相談相手である一方で、 地域のなかでは支援者を得られずに子育てを行っていることも示唆された。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.11, pp.11-16, 2021-03-31

【要約】 育児を行う統合失調症患者について、祖父母の育児への関わりの現状について探索的に 検討した。孫育てを担う祖父母の現況や先行研究を概観したとき、統合失調症患者の妊娠・ 出産の困難は明白で、どれだけ母親にリカバリーや自己実現という視点を加味しても、本 人の疾病管理、祖父母等の家族の負担など、現実に後押しするに足る理論的背景を見出すことは難しい感があった。とはいえ、本研究のインタビュー調査によって祖父母から聞か れた言葉は統合失調症患者ゆえのものもあるが、一般的に、孫育てをする祖父母が遭遇す る困難や喜びと符合する部分も大い減とフォーマル、インフォーマルサポート体制の構築 などを考えることは、統合失調症の有無に関わらず、少子化のわが国にあって、子育て・ 育児の社会化やシームレスな支援の構築という近年の課題を具現化する契機とすべきと思 われた。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.10, pp.11-27, 2020-03-31

【要約】世界的にメンタルヘルスの促進の重要性が議論される時勢であるが、本稿ではわが国のメンタルヘルスの主要課題の1つである自殺とその周辺課題について、先行研究や政府公刊の白書等、意識調査の結果を中心に考察を試みるとともに、自殺対策についての提言を述べた。わが国では1998年に自殺者が急増して以降自殺者が3万人を超える状態が続いた。2010年以降は9年連続の減少となっており、2018年は20,840人で前年に比べ481人(2.3%)減少したものの以前深刻な状況にある。特に、自殺総合対策大綱では、重点施策のひとつとして、「子ども・若者の自殺対策の更なる推進」が掲げられているが、先行研究を概観すれば、若年層は自殺念慮が最も高い世代であり、社会に絶望を感じながら、自己有用感が低いまま、これまでの人生で遭遇したいじめなどのつらい経験を抱えながら、レッテル貼りを警戒して専門職に相談することをあえてせず、家族や友人などの身近な“知った仲”によるサポートでギリギリ暮らしている実情が示唆された。
著者
小林 宏
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.57-75, 2014-03-31

本研究では、中学生時に不登校状態であった生徒が多く進学すると思われる公立通信制高校の実態と課題を明らかにするため、全国70校の公立(都道府県立)通信制高校に郵送法によるアンケート調査を行った。 その結果39校から回答を得た(有効回答率55.7%)。新入生のうち40.3%が中学校時に不登校経験があり、若年生徒の入学率が高いことがわかった。また、「自学自習」をスローガンとする公立通信制高校の学習システムに入学する生徒が適さないとする回答が39校中38校(97.4%)から得られ、抜本的な学習システムの改革が必用であることが分かった。
著者
小銭 寿子
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.2, pp.57-68, 2013-08-31

2012年7月に実施したA精神科病院「行動制限最小化委員会」研修において、医療従事者の方々に伝えた「拘束・抑制と精神科医療における人権」について、統計的資料から精神科医療の現状、精神科病院の実態、身体拘束・抑制の実態を明らかにし、身体拘束に伴うリスク、薬物療法に伴うリスク、精神科医療の特徴を整理する。 精神科医療における人権について、IPW(専門職連携実践)時代の精神科医療とその支援について考察し、身体拘束に関する先行研究についてもふれる。
著者
忍 正人 小山 歩美
出版者
名寄市立大学保健福祉学部社会福祉学科
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.9-23, 2016-03-31

災害時には地域にすでに存在している問題が顕在化され、災害発生前の段階としては地域の多様な問題を地域住民が主体となり相互の助け合いによって解決していくためのネットワーク構築が必要とされている。しかしながら、ネットワークの構築やまちづくりが防災に与える影響についての論文が多くある中、その促進要因として圏域の設定の有効性は明らかにされていない。そこで、本論では、防災の重要性、防災意識の高まり、さらに、災害弱者の視点から述べ、地域をいくつかの圏域に分けて支援していく手法として、現在展開されている日常生活圏域について明らかにし、中学校区での日常生活圏域の限界からより細分化された小学校区の活用について、制度面や実際の地域の取り組み等からその有用性について明らかにした。
著者
松岡 是伸
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
no.1, pp.45-58, 2012-03

本研究ノートは,北海道道北圏における披占領期社会福祉(社会事業)政策を地方軍政活動報告書から紹介することを目的としている。そのため「領期都道府県資料の収集整理及び分析とその効果的な公開利用方式の確立」(平成14年)先行研究から、北海道道北圏に着目しながら紹介・考察をおこなった。その結果、北海道道北圏の披占領期社会福祉(社会事業)政策の実態を地方レベルで考察・概観することができた。