著者
松島 常 本間 之夫 阿曽 佳郎 西村 洋司 高梨 利一郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.47-51, 1991-01-20

1107例の胃癌のうち乳頭型,類肉腫型等の特殊型を除外した主として胞巣型と診断された92例の腎細胞癌の組織構築像を分析し,構造異型度に基づき,主として管腔形成の程度,細胞巣の大きさから3群に分類し,予後規定因子としての可能性について検討した。I群は,明らかな管腔形成を認めるか,嚢胞状変化の目立つ組織像が主体をしめる場合とし,III群は,管腔形成を認めず,細胞の充実性の増生像が主である場合とし,II群は,この中問の組織像で,小胞巣 もしくは索状の増生を呈する場合とした。各群の生存曲線を,Kaplan-Meier法により検討すると,I,II,III群の順に予後が不良となり,各群の10年生存率は,I群88±7.8%,II群39±8.8%,III群0%となった。また,各群の核異型度構成は,III群でG3症例の比率が高い傾向が見られたが,I,II群問に有意差はなく,T stage,V浸潤の有無に関してはI〜III群問に有意差が認められなかった。以上より,本研究で提示した組織構築型に基づいた胞巣型腎癌の構造異型度分類は,予後予測因子として,臨床的に有用なパラメーターとなると判断された。
著者
藤田 公生 松島 常 仲野 正博 金子 正志 宗像 昭夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.802-805, 1994-05-20
被引用文献数
2 1

1990年7月から1992年12月までの30ヵ月間に経尿道操作を行った1,249例について、操作後の尿路感染の発生率を検討した。全体としての発生率は21例、1.7%であった。3日間の経ロ予防投与は対照群の16/459(3.5%)と比較して5/790(0.6%)と、有意に(p=0.0004)発生率を低下させていた。経尿道的操作の内容では、尿道ブジー拡張法や逆行性尿道造影による危険度は低く、重要なのは男性に対する膀胱鏡検査であり、予防投与を行った女性125例には感染症は発生しなかったが、男性では予防内服にもかかわらず347例中5例(1.4%)に発生した。高齢者に感染の発生率が高かった。予防投与にもかかわらず起きた感染症の起炎菌として、P.aeruginosaが重要な役割を占めていた。