著者
金子 惇 松島 雅人
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.144-149, 2016 (Released:2016-09-21)
参考文献数
20

目的 : 高次医療機関へのアクセスが制限された地域においてプライマリ・ケア国際分類第2版 (ICPC-2) を用いて受診理由, 新規健康問題, 慢性健康問題の内訳を明らかにすることでフリーアクセスの制度下では明らかにしづらい「受診理由, 健康問題の実像」を推測する.方法 : 沖縄県の離島において後ろ向きオープンコホート研究を行った. 全ての患者の受診理由及び健康問題についてICPC-2を用い集計した.結果 : 1年間で5682件の受診があり, うち0~14歳が862件, 15~64歳が2205件, 65歳以上が2615件であった. 臓器別の集計ではR呼吸器, S皮膚, L筋骨格の順に多かった. 高齢者の慢性健康問題でP70認知症が8位, 小児の新規健康問題はA98健康診断/予防医学が3位であった.結論 : 本研究では従来の報告と比較し主要な受診理由・健康問題に大きな違いは見られなかったが, 高齢者の慢性健康問題では認知症, 小児の新規健康問題は健康診断/予防医学の頻度が高いことが示唆された.
著者
田嶼 尚子 松島 雅人 安田 佳苗
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.833-835, 1999-10-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
坂戸 慶一郎 松島 雅人 川崎 彩子 横田 祐介 岩上 真吾 佐藤 裕美 田中 忍 平塚 祐介 竹内 一仁
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.104-108, 2012 (Released:2012-10-05)
参考文献数
10

要 旨目的 : 地域中規模病院における経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy, 以下「PEG」) 施行患者の長期生存率を明らかにする. 対象・方法 : 2004年1月1日∼2006年9月1日の期間にあおもり協立病院にてPEGを施行した患者を対象とし, 過去の診療録を用いて調査した. 累積生存率を生命表分析 (Kaplan-Meier法) にて推定し, その95%信頼区間を算出した. 後ろ向きコホート研究である. 結果 : 対象者332名, 平均年齢77.5±9.5歳 (中央値78歳). 24名は転帰不明であり追跡が可能だった日までを解析に組み入れた (追跡率92.8%).  累積生存率は30日90.3%, 1年61.8%, 2年47.9%, 3年37.6%, 5年21.5%であった. 結論 : 地域中規模病院におけるPEG後の長期生存率は高次機能病院と同程度であったが, 原因疾患は異なる可能性がある.
著者
松島 雅人
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

糖尿病患者における下肢切断は,糖尿病や足の管理が適切になされれば予防可能な合併症である.本研究では下肢切断の危険因子を検討する目的で症例対照研究を行った.症例は1993年1月から1998年6月に慈恵医大附属病院,第三病院,柏病院の整形外科,形成外科で初回の下肢切断を行った患者のうち,切断時の糖尿病合併例の全例(42例)とした.対照は三病院の外来糖尿病患者一覧から年次毎に症例対照の比を1:4となるよう無作為抽出した(168例).足の状態とフットケアに関し郵送にて質問票調査を行い,症例には下肢切断の1年前の状況を,対照にはそれに対応する時点の状況を質問した,各質問項目に関しステップワイズ変数選択により多変量ロジスティック回帰分析を行った.下肢切断のリスクを有意に増大させたのは(カッコ内はオッズ比).歩行時疼痛(59.8,95%信頼区間4.5-793.2),皮膚の乾燥,ひび割れ(42.6,同1.3-243.4),創傷治癒遅延(7.6,同1.4-41.6),深爪(30.2,同2.6-354.3),爪にヤスリを使う(33.0,同2.0-554.1),および爪をはさみで切る(26.2,同2.1-319.5)がモデルに取り込まれた.足の状態の分析では,歩行時疼痛や創傷治癒遅延など循環障害を示唆する症状ならびに皮膚の乾燥・ひび割れなどがリスクとして挙げられた.臨床的に見出しやすい徴候であり充分な注意を要する.また,フットケアに関しては,爪の日常的なケアについての項目がリスクとして見出され,患者指導の上で参考にすべきと思われる.