英語のコミュニケーション能力向上のための指導法についてはこれまで多く議論されてきたが、文法指導とコミュニカティブな学習とを統合する指導法についてはあまり議論されていない。これはコミュニケーション能力が文法の基礎力なしで向上することを暗示していると捉えられるかもしれない。また、このような見方で学習をする学習者は、文法学習を機械的な暗記による活動として捉えかねない。本研究は、「情報や考えを理解し、適切に伝えるコミュニケーション能力」の向上を目的とし、効果的なコミュニカティブ文法指導法について考察する。さらに、学習者にとって文脈の理解が助けとなる映画を利用した指導法について述べる。具体的には、過去形の「コア」である距離感に焦点をあて、助動詞 will と would や wonder を使った構文と wondered や was wondering を使った構文の丁寧さの度合いを理解できる方法について言及する。最後に、過去形のコアを活用して仮定法過去の指導法についても述べる。