- 著者
-
松本 誠一
- 出版者
- Meteorological Society of Japan
- 雑誌
- 気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.1, pp.53-63, 1967 (Released:2008-05-27)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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北陸地方に設定した細かい観測網による高層観測資料に基ずき,熱および水収支を1963,1964および1965年の3ケ年分の特別観測期間につき比較した。水蒸気の収束量はこの3冬とも殆んど同じ値を示しているが,降水量は年々非常に変っている。海面からの蒸発および対流輸送量の違いはかなりあるけれども,降水の変動には主として凝結した水分の輸送が関係している。6時間間隔の水蒸気輸入量を領域内の6時間降水量と比較すると,風下側の観測点の降水量とよい関係があることが分る。平均流束による発散で計算すると顕熱増加量は潜熱減少量のほぼ2倍になることが示される.この関係は観測網の大きさに関係なく,とくに雲層内でよく成立っている。差引き過剰の熱エネルギーは対流活動により輸送されているものと考えられる。強い降雪が観測されるときには対流活動が盛んで,海面から補給される熱エネルギーよりも多い熱エネルギーを雲層に輸送していることが示唆される。本研究は北陸豪雪特別研究の一環としてなされたものである。