著者
岸 美智子 佐藤 修二 土屋 久世 堀口 佳哉 和田 裕
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.318-323_1, 1975-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 5

加熱食用油から発生する気化物質の吸入毒性について検討するため, ウサギを用いて, 循環呼吸系に及ぼす影響を調べた. 加熱食用油からの発生ガスを吸入させると, 著明な心拍数の減少と呼吸運動の抑制が発現し, 血圧上昇も認められた. 気化物質中, 比較的多く存在するエタン, ペンタン, アクロレインのうち, 発生ガスと同じ症状を発現させるのは, アクロレインのみであった. また, アクロレインを除去した発生ガスでは, 症状が現れず, これらの結果から, 加熱食用油からの発生ガス吸入によって循環呼吸系に現れる毒性症状の主たる原因物質は, アクロレインと思われる.
著者
土屋 久
出版者
島しょ医療研究会
雑誌
島しょ医療研究会誌 (ISSN:24359904)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.10-15, 2021 (Released:2021-02-01)
参考文献数
7

伊豆諸島南部地域の医療習俗について,八丈島と青ヶ島の巫俗(ふぞく:シャマニズム)を中心に考察した.神懸かりするミコ(巫女)は神役として中心的存在であり,祭祀儀礼に携わる他に各種相談に当たる役割も兼ねている.あるミコが対応した健康相談の内容を民俗病因論上類型化し,先行研究と比較した ところ多くの点で符号していた. 該当しない内容は祭文・経文の中に共通項を見出すことができた.当該地域に暮らす人々の伝統的な病気観や健康観,治療観を考察する作業は,保健医療の現場における問題を考える上で有用と思われる.
著者
土屋 久
出版者
島しょ医療研究会
雑誌
島しょ医療研究会誌
巻号頁・発行日
vol.11, pp.10-15, 2021

伊豆諸島南部地域の医療習俗について,八丈島と青ヶ島の巫俗(ふぞく:シャマニズム)を中心に考察した.神懸かりするミコ(巫女)は神役として中心的存在であり,祭祀儀礼に携わる他に各種相談に当たる役割も兼ねている.あるミコが対応した健康相談の内容を民俗病因論上類型化し,先行研究と比較した ところ多くの点で符号していた. 該当しない内容は祭文・経文の中に共通項を見出すことができた.当該地域に暮らす人々の伝統的な病気観や健康観,治療観を考察する作業は,保健医療の現場における問題を考える上で有用と思われる.
著者
土屋 久
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.281-285, 2017-03-30

本稿は、柳田國男「青ヶ島還住記」を読み込むことで、この作品に込められた、柳田の主たる想いを検討したものである。それと同時に、その想いは青ヶ島の今日的な課題に届くのか、こうした問いにも一定の考察を試みた。その結果、先の作品の主たる想いは、島の少年達に誇りをもたせたいとのことであり、彼のこの想いは、今日、地域おこしに、ますます重要な意味をもってきている点を指摘した。
著者
土屋 久 堀口 久五郎
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
no.32, pp.217-227, 2010

This paper reports on aspects of the healing deity Kanayamasama based on investigations on the islands of Hachijojima and Aogashima.Results are as follows:1) Kanayamasama is a deity that possesses an ambivalent nature with the power to curse and lift curses.2) Fujou caused by a curse is thought to cause illness on both islands. Because Kanayamasama possesses power to lift Fujou, she is revered as a healing deity.3) On both islands, shrine maidens play a large role in determining the character of Kanayamasama.In light of these findings, this study noted to need to understand health in terms of folk customs on both islands when discussing actual issues in the areas of medicine and welfare.カナヤマサマは、鍛冶屋のカミ、火のカミとして知られる民俗神であるが、本稿では、その治癒神としての側面を八丈島・青ヶ島での調査に基づいて報告し、両島における健康観の一端を考察した。その結果明らかになったのは、以下の点である。一、カナヤマサマは、呪詛の力を発揮するカミであるとともに、呪詛を祓うカミでもあるという両義的な性格を有すること。二、呪詛によって生じるフジョウが、病いの一因と両島では考えられており、それを祓う力をカナヤマサマが有するが故に、治癒神として祀られること。三、両島におけるカナヤマサマの性格形成には、ミコの果たす力が大きいこと。以上の点を報告した上で、両島の医療や福祉の分野に置ける現実的な課題を考えていくにあたり、両島が育んできた民俗レヴェルでの健康観に対する理解の必要性を指摘した。
著者
土屋 久 堀口 久五郎
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.217-227, 2011-03-01

This paper reports on aspects of the healing deity Kanayamasama based on investigations on the islands of Hachijojima and Aogashima.Results are as follows:1) Kanayamasama is a deity that possesses an ambivalent nature with the power to curse and lift curses.2) Fujou caused by a curse is thought to cause illness on both islands. Because Kanayamasama possesses power to lift Fujou, she is revered as a healing deity.3) On both islands, shrine maidens play a large role in determining the character of Kanayamasama.In light of these findings, this study noted to need to understand health in terms of folk customs on both islands when discussing actual issues in the areas of medicine and welfare.カナヤマサマは、鍛冶屋のカミ、火のカミとして知られる民俗神であるが、本稿では、その治癒神としての側面を八丈島・青ヶ島での調査に基づいて報告し、両島における健康観の一端を考察した。その結果明らかになったのは、以下の点である。一、カナヤマサマは、呪詛の力を発揮するカミであるとともに、呪詛を祓うカミでもあるという両義的な性格を有すること。二、呪詛によって生じるフジョウが、病いの一因と両島では考えられており、それを祓う力をカナヤマサマが有するが故に、治癒神として祀られること。三、両島におけるカナヤマサマの性格形成には、ミコの果たす力が大きいこと。以上の点を報告した上で、両島の医療や福祉の分野に置ける現実的な課題を考えていくにあたり、両島が育んできた民俗レヴェルでの健康観に対する理解の必要性を指摘した。
著者
土屋 久 堀口 久五郎
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.217-227, 2011-03 (Released:2011-03-24)

This paper reports on aspects of the healing deity Kanayamasama based on investigations on the islands of Hachijojima and Aogashima.Results are as follows:1) Kanayamasama is a deity that possesses an ambivalent nature with the power to curse and lift curses.2) Fujou caused by a curse is thought to cause illness on both islands. Because Kanayamasama possesses power to lift Fujou, she is revered as a healing deity.3) On both islands, shrine maidens play a large role in determining the character of Kanayamasama.In light of these findings, this study noted to need to understand health in terms of folk customs on both islands when discussing actual issues in the areas of medicine and welfare.カナヤマサマは、鍛冶屋のカミ、火のカミとして知られる民俗神であるが、本稿では、その治癒神としての側面を八丈島・青ヶ島での調査に基づいて報告し、両島における健康観の一端を考察した。その結果明らかになったのは、以下の点である。一、カナヤマサマは、呪詛の力を発揮するカミであるとともに、呪詛を祓うカミでもあるという両義的な性格を有すること。二、呪詛によって生じるフジョウが、病いの一因と両島では考えられており、それを祓う力をカナヤマサマが有するが故に、治癒神として祀られること。三、両島におけるカナヤマサマの性格形成には、ミコの果たす力が大きいこと。以上の点を報告した上で、両島の医療や福祉の分野に置ける現実的な課題を考えていくにあたり、両島が育んできた民俗レヴェルでの健康観に対する理解の必要性を指摘した。
著者
立柳 聡 松本 誠一 土屋 久 對馬 秀子 松山 義夫 岡本 裕樹 大矢 枝里子 小田 和也
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

島嶼や山間の過疎地に所在する高齢化コミュニティに暮らす人々は、健康を維持、回復する上で、一定の不安や不便を認識しつつ、今なお住み慣れた土地と民俗に象徴される在地の文化に対する愛着、そして、長らく培われてきた人間関係を大切に生きようとする心意が強く、特に保健・医療・福祉の施策を有効に展開するには、在地の文化や人間関係の仕組みとの整合性を積極的に考慮して構想することが重要とみられることが判明した。