著者
ハント ゲ-リ-・A 松林 正己
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.584-594, 1997
参考文献数
36
被引用文献数
2

多くの興味深い資源共有ネットワークがアメリカ合衆国では興っている。なかでも最も先進的なネットワークはオハイオリンク・プロジェクトである。本稿ではオハイオリンクの特筆すべき特徴を述べた。このプロジェクトはオハイオ州の単科大学と総合大学54校の図書館が, 2000万冊以上の書誌所蔵オンライン目録に接続し, 直接利用者主導の貸し出し, 拡大しつつある参考調査用フルテキスト・データベース, 電子論文供給, 州規模コンソーシアム・ライセンスによる電子雑誌へのアクセスが含まれている。組織問題 (システム・アーキテクチャー, スタッフ配置, 管理と財務) については, オハイオリンク強化計画にもとずいて, すなわち利用者インターフェース・ソフトウエアの次世代開発と音声, 映像及び数値データをもつデジタル・ファイル調整のためのシステム拡張を含めた議論をした。合衆国内にあるそのほかの州及び地域資源共有の状況に論及した。本稿ではこの分散システムの長所と短所を評価し要約し, これは合衆国内の公高等教育の分散構造を写し出している。州規模ネットワークは特定地域の学生と教員の実際的な需要に対して良質の情報源を提供する効果的な応答である。しかしながら全米情報インフラストラクチャーにおけるいくつかの主要問題には取り組めていない。北米図書館界の海外資料調達の凋落はその最たるものである。