著者
高田 宏宗 柳田 誠 富岡 孝仁 金井 講治 高屋 雅彦 木村 亮 影山 祐紀 竹村 昌彦 丸山 朋子 田尻 仁 松永 秀典
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.287-294, 2013-07-15 (Released:2016-12-28)
参考文献数
17

2007年7月から2012年3月に当センターで出産した精神疾患合併妊婦137例を対象に,胎児・新生児合併症と妊娠中の服薬との関連性を検討した。流・死産7例については向精神薬服用との関連は明らかではなかった。奇形8例の母親全員が妊娠初期に向精神薬を服用していたが,妊娠12週以前に服用していた99例のうち,母体が高齢の場合に奇形発生率が有意に高かった(母体35歳以上:30例中6例,35歳未満:69例中2例,p=0.0041)。さらに,服用した向精神薬の種類数も奇形の発生に有意に相関していた(p=0.0021)。流・死産,奇形以外の合併症については,出産直前の内服によって生じ得るものとそれ以外に分けて検討した。いずれも服薬群のほうが非服薬群より発生頻度が約50%高かった。本研究から妊娠初期に向精神薬を内服していた症例では,高齢妊婦および多剤併用という2つの因子が奇形発生のリスクを高めることが示唆された。
著者
松永 秀典 福森 亮雄 多田 敬典 田中 惠子
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

統合失調症や双極性障害の病因は未解明であるが、最近、神経伝達物質であるNMDAの受容体に対する自己抗体が、精神症状を伴う脳炎の原因となっていることが判明した。さらにこの自己抗体は、一部の統合失調症や睡眠障害にも見いだされており、この抗体がどのような疾患にどの程度関与しているかを幅広く調べる必要がある。しかし、現行の測定法は培養細胞を用いるため手間と時間がかかり、多検体を調べるには不向きである。本研究では、感度・特異性の高いラジオリガンドアッセイを用いて、多検体同時に抗NMDA受容体抗体を測定する方法を開発し、本抗体の病的意義の解明を目指している。