著者
松永 義夫
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1958

博士論文
著者
松永 義夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.26-33, 1976-01-05 (Released:2008-04-14)

元素を組み合せることによって, 無機固体の種類が著しくふえ, 新しい物性が出現するように, 分子を構成単位とする化合物, すなわち分子化合物を取上げることによって, 分子性結晶の分野は大きく拡げられる. その主体は電荷移動型と呼ばれるタイプに属し, 成分分子を選ぶことによりイオン性, 共有結合性, 更には金属性を帯びた結晶さえ得ることができる. また, 水素結合や陽子移動の要素を共存させると, 顕著に性質の異なる多形, 甚だしい物性の変化を伴う相転移を作り出す可能性も開ける.
著者
松永 義夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.905-919, 1968-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
49
被引用文献数
16

有機分子錯体は,をの振動スペクトルに基づいて電子構造が非結合構造で近似されるものと,電荷移動構造で近似されるものの二つに大別されることが見いだされた。約40種のキノン錯体の比抵抗値と振動スペクトルを調べた結果・低い電気抵抗を示す錯体の大部分は,電荷移動構造で近似される電子構造をもつことが明らかとなった。それでそのような電子構造をもつと期待される新しい分子錯体を数多くつくり,その比抵抗を測定した。なかでもつぎの錯体はとくに低い比抵抗値をもつ。ジペンゾ[c,h]ノチアジン_ジク泣ルジシアン-p-ベンゾキノン(2:1),17Ωcm,5,6:11,12-ビス(ジチオ)ナフタセン-o-クロルアニル(3:1),2~4cm,フェロセンーテトラクロル-p-ジフェノキノン(1:2),24Ωcm叫さらにジアミノピレン-p-クロルアニルとこれΩに関連した錯体はひいちじるしく電気的性質を異にするいくつかの形にえられることが知れた。これらは通常103Ωcmまたはそれ以上の比抵抗値をもつが, ,つくり方によって数Ωcmを示す。低い電気抵抗を示す分子錯体は,いずれも赤外領域に電子吸収をもつことが明らかとされた。