- 著者
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宮前 剛
松浦 幹太
- 雑誌
- コンピュータセキュリティシンポジウム2019論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2019, pp.260-267, 2019-10-14
暗号資産の代表であるBitcoinは,トランザクション分析技術の急速な進歩に伴い,追跡困難性が低下している.そのような状況の中,追跡困難性とスケーラビリティを両立する匿名暗号資産プロトコルMimblewimbleが注目されている.しかし,現時点でMimblewimbleはメッセージングに関して多くの課題を抱えている.そこで,我々は,Mimblewimbleのメッセージングの課題を解決するために,Mimblewimble自身を拡張してブロックチェーン形式の追跡困難メッセージングを実現するMWmessageを提案する.本稿では,まずMimblewimbleの仕組みと特徴およびそのメッセージングに関する課題を整理した上で,課題を解決するためのMWmessageの仕組みを説明する.特に,メッセージの改竄を困難にするためのメッセージハッシュの仕組みと,Mimblewimbleのスケーラビリティを犠牲にすることなく追跡困難メッセージングを実現するためのメッセージへの有効期限付与の仕組みに焦点を当てる.最後に,MWmessageを一般の匿名メッセージングシステムとして机上評価する.