著者
小坂田 ゆかり 谷口 陽子 松浦 拓哉 岡地 寛季 塩尻 大也 渡部 哲史 綿貫 翔 丸谷 靖幸 田中 智大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2019

<p>水文・水資源学若手会(以下,若手会)は2009年から活動を開始し,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生や若手研究者を中心に構成されている研究グループである.これまで本若手会は,分野を超えたネットワークの構築を目的として他分野交流を中心に活動を行ってきた経緯がある.そして,当時若手会の中心であったメンバーが徐々に学位を取得していくにつれ,水文・水資源学に関わる若手〜中堅の研究者,技術者のコミュニティWACCA(Water-Associated Community toward Collaborative Achievement)といった新たな先進的研究グループも本若手会から発足している.今年度の本グループ活動では,学位取得後も続く他分野交流や学際性の取得を目指して,学位取得前の若手の間でも継続した活動の基盤づくりを行うことを目指した.もちろん学生は自身の研究テーマを深めることが重要であるが,今後はより学際性が求められていくことに加え,学生のうちから様々な分野の同世代と意見交換・議論を行うことで,学位取得後にも役立つ幅広い視野とネットワークが得られると考えた.これらの背景,目的を踏まえ,本要旨では,本年度我々若手会の活動について報告する.</p>
著者
山川 夏葵 松浦 拓哉 手計 太一 前川 修 林 達夫 尾田 茂彦
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2019年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.178, 2019 (Released:2019-12-07)

本研究の目的は,神通川流域内に位置する公立小中学校の校歌と河川の歴史的背景の関連性を明らかにすることである.研究対象領域を神通川流域内の現存する全ての公立小学校と公立中学校とした.この全ての学校から校歌を収集し,解析を行った.収集した校歌を全てテキストデータ化した後,形態素解析を実施し,単語抽出を行った.校歌詞に出現する名詞や形容詞の回数を調べた.神通川流域内の富山県の小中学校の名詞の出現頻度では,神通という単語よりも,立山という単語が多く出現し,神通川流域内の岐阜県の小中学校の名詞の出現頻度では,山という単語よりも,宮川という単語が多く出現した.また,神通川流域内の全ての小中学校の形容詞の出威厳頻度では,清いというが最も多く出現した.全小中学校の創立年と校歌に神通川が含まれる学校数を調べた.いつの時代においても,神通川が含まれる学校の割合が変わらず,学校の創立年と校歌に神通川が含まれる学校数の関係性は認められなかった.神通川が含まれる学校の創立年と神通川の歌われ方を創立年順にまとめた.明治に創立した学校では,神通川は,たくましい,強い力,雄々しいなどのうたわれ方をしており,昭和や平成に創立した学校では,清い,おおらか,優しいなどのうたわれ方をしていることがわかる.神通川の歴史を振り返ると,明治34年に馳越工事が開始し,明治36年に完了した.明治43年には水害,大正3年には洪水が起こった.大正14年にようやく,神通川上流,下流両方の堤防が完成し,氾濫を抑えられた.神通川の歴史と照らし合わせると,神通川の氾濫があった明治に創立した学校では,神通川は強いイメージであり,大正14年に氾濫を完全に抑えることができてからの,昭和や平成に創立した学校では,神通川は清い,優しいといったイメージである.本研究では,岐阜県では,山よりも宮川が多く出現しているが,富山県では,神通川に比べ立山の出現頻度が高く,立山への親しみや愛着の強さが考えられた.清いは,山や川など自然を連想させ,地域を代表する景観と校歌の関連性があると考えられる.また,神通川のうたわれ方は神通川の状況とともに,強いイメージから優しいイメージに変化している.神通川流域内に位置する公立小中学校の校歌と河川の歴史的背景の関連性が高いことが明らかになった