著者
高嶋 美穂 谷口 陽子
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、美術作品や歴史資料に用いられている膠着材(展色材、接着剤)の同定を目的とした研究である。これまでに研究を進めてきたELISA法(酵素結合免疫吸着法)、LC-QqQ/MS法(液体クロマトグラフ-三連四重極型質量分析法)の改善と検出不可能なパターンの把握に加え、新たに高感度LC-QTOF/MS法(液体クロマトグラフ-四重極飛行時間型質量分析法)の導入、樹脂フィルムを用いたサンプリング法の検討などを行い、同定の精度を上げるとともに必要サンプル量を減らす。さらに国立西洋美術館所蔵の美術作品や、遺跡における壁画、そのほか歴史資料の膠着剤分析を実施をする。
著者
若木 重行 谷口 陽子 岡田 文男 大谷 育恵 南 雅代
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究では、考古遺物としての漆工芸品の漆塗膜の理化学的分析より漆工芸品の製作地を推定するための方法論を提示することを目的とする。その実現のため、漆・下地・顔料などの漆塗膜の各成分の分離、ならびに分離した微少量の試料に対する多元素同位体分析を実現するための分析化学的手法開発を行う。漢代漆器・オホーツク文化期の直刀に対して、開発した手法による分析と蒔絵の種類・製作技術の解析などの情報を統合し、総合的に製作地の推定を試みる。
著者
中川原 育子 谷口 陽子 佐藤 一郎 中村 俊夫 NAKAGAWARA Ikuko TANIGUCHI Yoko SATO Ichiro NAKAMURA Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.23, pp.127-137, 2012-03

The Kizil Grottoes, the largest Buddhist monastery complex in the Xinjian region of China, is decorated with wall paintings - the chronological dates of which are still under debate. This study aims to give some clarification regarding the chronological dates using AMS-14C dating of chaff tempers taken from the earthen renders of the wall paintings. l4C studies previously carried out by Chinese and German researchers had resulted in divergent dates often extending back hundreds of years earlier than hypothesized within the chronology of art history, which has created confusion. Six samples from six wall painting fragments (Caves 8 [III8425], 38 [III8700], 171 [III8793, III8891], 207[III9148b(d)], and 224[III8865(a)]) held in collections at the Museum für Asiatische Kunst in Berlin were taken and analysed with 14C-AMS at the Center of Chronological Research at Nagoya University in Japan. As reference, nine dating results analysed between 1995 and 1998 at Nagoya University were also shown in the list. Dates were obtained for only three out of the six samples: cal AD 128-216 [Cave 8], cal AD 255-306 and cal AD 312-34 [Cave 171], and 90-70 cal BC [Cave 224]; most of these extended back earlier than reference 14C data from the Chinese and German studies and far earlier than dates suggested by the timeline of art history. Even the Chinese and German reference dates derived in the past from 14C analysis often show varied dates occurring earlier than those represented in art history. This may indicate that old chaff was used in renders for the Kizil wall paintings probably as a form of re-use of old mud bricks, or that the chronology of art history must be drastically reconsidered, both of which would require further AMS-14C dating studies with careful and comprehensive sampling from well-documented contexts.名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
小坂田 ゆかり 谷口 陽子 松浦 拓哉 岡地 寛季 塩尻 大也 渡部 哲史 綿貫 翔 丸谷 靖幸 田中 智大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2019

<p>水文・水資源学若手会(以下,若手会)は2009年から活動を開始し,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生や若手研究者を中心に構成されている研究グループである.これまで本若手会は,分野を超えたネットワークの構築を目的として他分野交流を中心に活動を行ってきた経緯がある.そして,当時若手会の中心であったメンバーが徐々に学位を取得していくにつれ,水文・水資源学に関わる若手〜中堅の研究者,技術者のコミュニティWACCA(Water-Associated Community toward Collaborative Achievement)といった新たな先進的研究グループも本若手会から発足している.今年度の本グループ活動では,学位取得後も続く他分野交流や学際性の取得を目指して,学位取得前の若手の間でも継続した活動の基盤づくりを行うことを目指した.もちろん学生は自身の研究テーマを深めることが重要であるが,今後はより学際性が求められていくことに加え,学生のうちから様々な分野の同世代と意見交換・議論を行うことで,学位取得後にも役立つ幅広い視野とネットワークが得られると考えた.これらの背景,目的を踏まえ,本要旨では,本年度我々若手会の活動について報告する.</p>
著者
綿貫 翔 田中 智大 丸谷 靖幸 谷口 陽子 星野 剛 岡地 寛季 小坂田 ゆかり
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2018

水文・水資源学若手会(以降,若手会)は,主に水文・水資源学会(以下,本学会)に所属する博士課程学生・20代から30代の若手研究者を中心に構成され,2009年に発足した研究グループである.ここ数年の若手会は,発足当時の学位を取得したメンバーが主だった会を主催し,研究面での意見交換や共同研究の可能性など議論してきた.しかしながら,総会の活動報告で,若手会のメンバーが工学に偏っているという指摘があり,試行錯誤しながら,勉強会や現地見学会を企画してきた.<br><br>本学会の創立30周年にあたる本年は,学会誌に特別号が組まれ,その中で若手研究者による総説原稿執筆の機会をいただいた.この機会を活用することで,より幅広い若手研究者との協働の場が得られ,また現在までの研究の軌跡を残すことができると考えられる.<br>そのため,これらの背景を踏まえ,本グループ活動では,工学系以外を背景に持つ人との人脈の作成・拡大を目的として,その人脈によって見識を広げ,水文・水資源学に応用するために勉強会や討論会を通じて,議論することを目指した.さらに,上記の背景から多数の若手研究者による総説を本学会30周年記念号に寄稿した.
著者
中川原 育子 谷口 陽子 佐藤 一郎 中村 俊夫 NAKAGAWARA Ikuko TANIGUCHI Yoko SATO Ichiro NAKAMURA Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.23, pp.127-137, 2012-03 (Released:2013-06-06)

The Kizil Grottoes, the largest Buddhist monastery complex in the Xinjian region of China, is decorated with wall paintings - the chronological dates of which are still under debate. This study aims to give some clarification regarding the chronological dates using AMS-14C dating of chaff tempers taken from the earthen renders of the wall paintings. l4C studies previously carried out by Chinese and German researchers had resulted in divergent dates often extending back hundreds of years earlier than hypothesized within the chronology of art history, which has created confusion. Six samples from six wall painting fragments (Caves 8 [III8425], 38 [III8700], 171 [III8793, III8891], 207[III9148b(d)], and 224[III8865(a)]) held in collections at the Museum für Asiatische Kunst in Berlin were taken and analysed with 14C-AMS at the Center of Chronological Research at Nagoya University in Japan. As reference, nine dating results analysed between 1995 and 1998 at Nagoya University were also shown in the list. Dates were obtained for only three out of the six samples: cal AD 128-216 [Cave 8], cal AD 255-306 and cal AD 312-34 [Cave 171], and 90-70 cal BC [Cave 224]; most of these extended back earlier than reference 14C data from the Chinese and German studies and far earlier than dates suggested by the timeline of art history. Even the Chinese and German reference dates derived in the past from 14C analysis often show varied dates occurring earlier than those represented in art history. This may indicate that old chaff was used in renders for the Kizil wall paintings probably as a form of re-use of old mud bricks, or that the chronology of art history must be drastically reconsidered, both of which would require further AMS-14C dating studies with careful and comprehensive sampling from well-documented contexts.
著者
谷口 陽子
出版者
岡山理科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

本研究では、世代間の経済的格差が拡大し、生き方についての価値観が多元化する少子高齢時代の日本社会において、高齢期を迎える人びとが自らの家族とどのような関係を取り結びながら生活しているのか、その関わりのあり様は高齢者にどのような充足感をもたらすものか、またもたらさないとするならばそれに必要な方策とはどのようなものであるかについて探るため、2004年の中越地震の災害復興地である新潟県長岡市山古志地域を中心に文化人類学的研究を行った。具体的には、聞き取りおよび参与観察調査を実施することから、山古志地域における個々の高齢者の家族間関係-近隣の家関係-地域復興支援員(中越大地震復興基金の運用により、住民主体による集落運営を支援することを目的に設置された制度)の三者関係に焦点を当て、高齢者の家族観を探った。当地域は、震災後の若年人口の流出により、家族と離れて地域に残り一人や夫婦のみで暮らすことを選択した高齢者も少なくない。2005年に内閣府が実施した「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、日本の高齢者の心の支えは、家族、とりわけ配偶者と子どもに集中しているとの報告がなされているが、申請者の調査による限り、当地域の高齢者においては、家族、とりわけ子どもと離れて暮らす高齢者が家族や地域からの孤立に対する不安が生じにくい生活環境創出の工夫が観察された。それは、地域の災害復興プロセスにおいて、様々なイベントや活動が住民主体で運営され、地域の人たちと関わりを持つ機会が日常的に創出されていることによるものと考えられる。このことから、高齢者の家族観は、個々の人が取り結ぶ近隣関係や地域の各種サービスへのアクセスに大きく影響を受ける可能性が指摘され、今後の調査の継続により、高齢期の家族観を多世代間関係、および地域社会の各種サービスへのアクセスの問題としてより包括的に考察していくことが望まれる。
著者
谷口 陽子
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2009-2012