著者
永井 信 小谷 亜由美 丸谷 靖幸
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3-4, pp.89-99, 2022-11-25 (Released:2022-12-06)
参考文献数
61

春の気候変動と植物季節の対応関係を長期的に評価するためには,気象庁による生物季節観測が行われていない過去におけるサクラの開花季節の記録の発掘(マイニング)は重要な課題である.本研究は,明治から大正期を対象に,教育者である跡見花蹊(あとみ かけい:天保11年 [1840年]〜大正15年・昭和元年 [1926年])の日記からサクラの開花季節の記録をマイニングし,その品質と系統的な誤差を調査した.明治6年(1873年)から大正13年(1924年)の間に,開花日を22年,満開日を33年,それぞれマイニングできた.この期間における開花日や満開日は,現在と比べて10日程度遅かった.日記の記録は,観察場所や観察者の違い・不連続な観察日・サクラの種や個体差を要因とした系統的な誤差を少なくとも数日程度含むと考えられる一方,植物季節に対する気候変動の影響を明らかにするための有用性が示された.
著者
小坂田 ゆかり 谷口 陽子 松浦 拓哉 岡地 寛季 塩尻 大也 渡部 哲史 綿貫 翔 丸谷 靖幸 田中 智大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2019

<p>水文・水資源学若手会(以下,若手会)は2009年から活動を開始し,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生や若手研究者を中心に構成されている研究グループである.これまで本若手会は,分野を超えたネットワークの構築を目的として他分野交流を中心に活動を行ってきた経緯がある.そして,当時若手会の中心であったメンバーが徐々に学位を取得していくにつれ,水文・水資源学に関わる若手〜中堅の研究者,技術者のコミュニティWACCA(Water-Associated Community toward Collaborative Achievement)といった新たな先進的研究グループも本若手会から発足している.今年度の本グループ活動では,学位取得後も続く他分野交流や学際性の取得を目指して,学位取得前の若手の間でも継続した活動の基盤づくりを行うことを目指した.もちろん学生は自身の研究テーマを深めることが重要であるが,今後はより学際性が求められていくことに加え,学生のうちから様々な分野の同世代と意見交換・議論を行うことで,学位取得後にも役立つ幅広い視野とネットワークが得られると考えた.これらの背景,目的を踏まえ,本要旨では,本年度我々若手会の活動について報告する.</p>
著者
渡部 哲史 山田 真史 吉田 奈津妃 佐々木 織江 神谷 秀明 田中 智大 丸谷 靖幸 峠 嘉哉 木村 匡臣 田上 雅浩 木下 陽平 林 義晃 池内 寛明
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.260-265, 2017
被引用文献数
1

&emsp;平成29年2月18,19日に東京大学本郷キャンパスにおいて,合計16名の参加者により第6回目となるWACCA (Water-Associated Community toward Collaborative Achievements)meetingを開催した.第6回となる今回は各自の研究内容を理解し,多様なスケールで展開される様々な水関連研究の現状やそれぞれが抱える課題,それらを克服するために必要なブレークスルーについて考える機会を設けた.各自の研究発表を基に,様々な研究分野に共通する課題やブレークスルーなど研究に関する議論や,アウトリーチのような活動に関する情報共有,その他研究を進める上で感じていること等の意見交換を行った.本報告ではそれらの議論の概要について記す.
著者
綿貫 翔 田中 智大 丸谷 靖幸 谷口 陽子 星野 剛 岡地 寛季 小坂田 ゆかり
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2018

水文・水資源学若手会(以降,若手会)は,主に水文・水資源学会(以下,本学会)に所属する博士課程学生・20代から30代の若手研究者を中心に構成され,2009年に発足した研究グループである.ここ数年の若手会は,発足当時の学位を取得したメンバーが主だった会を主催し,研究面での意見交換や共同研究の可能性など議論してきた.しかしながら,総会の活動報告で,若手会のメンバーが工学に偏っているという指摘があり,試行錯誤しながら,勉強会や現地見学会を企画してきた.<br><br>本学会の創立30周年にあたる本年は,学会誌に特別号が組まれ,その中で若手研究者による総説原稿執筆の機会をいただいた.この機会を活用することで,より幅広い若手研究者との協働の場が得られ,また現在までの研究の軌跡を残すことができると考えられる.<br>そのため,これらの背景を踏まえ,本グループ活動では,工学系以外を背景に持つ人との人脈の作成・拡大を目的として,その人脈によって見識を広げ,水文・水資源学に応用するために勉強会や討論会を通じて,議論することを目指した.さらに,上記の背景から多数の若手研究者による総説を本学会30周年記念号に寄稿した.
著者
田中 智大 丸谷 靖幸 田上 雅治 綿貫 翔 池内 寛明
出版者
水文・水資源学会
雑誌
研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

水文水資源学若手会(以下若手会)は,主に水文・水資源学会に所属する博士課程学生・20代から30代の若手研究者を中心に構成されている研究グループである.本若手会は2009年から活動を開始しており,多分野との交流および研究面での意見交換や共同研究の議論を積極的に進めている.この活動で得られた研究者間のつながりや自身の研究に対するフィードバックは大きく,水文・水資源研究に関わる現在未参加,未加入の研究者がより魅力を感じられるように本活動を展開することが重要であると考えている.一方で,このような活動を続ける中で,水文・水資源研究をキーワードにして多分野の研究者が集まることに対し,どの程度の関心が寄せられ,どれほどの展開を見込むことができるかを知りたいという想いもあった.若手研究者による多分野交流や研究者間ネットワークの構築を基本的な活動としたうえで,その活動の根本にある本学会・学会誌の意義について現状の認識を調査することは,今後も本学会に携わっていく若手研究者として重要な活動ではないかと考える.これらの背景を踏まえ,本グループ活動では,水文・水資源研究をキーワードにした異分野交流やネットワーク構築を目指し,若手研究者が自由に議論する機会を設けること,およびアンケート調査を通して若手会の基礎である本学会・学会誌の現状を把握することを目的とする.以上の目的を踏まえ,2016年度は,1)総会・研究発表会前に研究アプローチに着目した討論会を開催するとともに,福島県の猪苗代湖に端を発する安積疏水関連施設の現場見学会を実施した.さらに, 2)水関連分野研究コミュニティによるテーマ勉強会の開催し,研究内容や今後の展望に特化して一人40分から60分程度の発表・質疑を行い,参加者の専門分野の研究について詳細まで共有した.また,3)本学会員の学会に対する認識に関するアンケート調査を実施した.以上の活動を通して,研究活動とより密接した形で研究者間ネットワークの構築を図ることができた.また,学会の現状に関するアンケート調査から,分野融合や研究者ネットワークの構築に関して,さらに精力的に,もしくは少し視点を変えた取り組みが必要であることが示唆された.今後は,これまでの活動を踏まえ,若手研究者のネットワーク構築のための活動をさらに展開したいと考えている.