著者
松田 嘉子
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成29年度は、アラブ古典音楽の即興演奏タクスィームに関し、特にマカーム(旋法)の構造と展開について研究を推進した。現地調査はマレーシアで行なった。研究成果展として公開講座「マカームとラーガ2」(多摩美術大学・平成29年12月)を開催した。東京音楽大学小日向英俊氏を講師に迎え音楽家による実演も伴いながら、今回はアラブ音楽の即興演奏「タクスィーム」とインド音楽の「アーラープ」の比較研究を行い、討議した。アラブ音楽ではマカームを転調しながら展開する点がインド音楽とは大きく異なり、観客にもその理解が共有された。他にも、「琵琶とシルクロード」(文京シビックホール・平成29年11月・薦田治子武蔵野音楽大学教授企画)を始めとする多くの公演や講演において、アラブ音楽の真髄であるマカームの構造を実演し解説することに努めた。平成30年3月、ビレン・イシュクタシュ博士を中心とするトルコの演奏家・研究者の企画によりマレーシアで開催されたインターナショナル・シェリフ・ムヒッディン・タルガン・ウード・フェスティバル(クアラルンプール・ユヌス・エムレ研究所)に出演し、自作曲とタクスィームを演奏し好評を博した。シェリフ・ムヒッディン・タルガンはアラブ音楽、トルコ音楽両方にとって重要な役割を果たした音楽家である。その名を冠したウード・フェスティバルでは、トルコ音楽とアラブ音楽の比較研究が行われ、タクスィームの表現や多様なプロセスを検討した。またマレーシア、シンガポール、インドネシアなど東南アジア諸国にウード音楽が浸透している現状を把握し、アラブ音楽圏の広がりについても認識を新たにする貴重な機会となった。
著者
松田 嘉子
出版者
多摩美術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

エジプト、スペイン、チュニジアで現地調査を行い、音楽家に聴き取り調査を実施した。アラブ古典音楽の新しい教育法についても調査した。また革命後の音楽事情を取材した。エジプト系オーストラリア人ウード奏者ジョゼフ・タワドロスを日本に招聘し、コンサートを開催した。期間全体を通じて、文献および音源の多彩な資料収集ができた。チュニジア伝統音楽研究機関「ラシディーヤ」との研究協力体制を強め、今後の展望が開けた。