著者
久保田 晃弘 岩崎 秀雄 高橋 透
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

個人レベルでゲノムデータを解読できる、ポスト・ゲノム時代のバイオメディア・アートに関する調査研究を行なった。バイオメディア・アートのポータルサイト「Bioart.jp」を立ち上げた。バイオアートの父と呼ばれるアーティストのジョー・デイビスを日本に招聘し、ワークショップ等を開催した。最終年度には3つの展覧会を開催し、本とカタログを出版した。
著者
鶴岡 真弓
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

前年度に続き、2021年度も、コロナ禍が全世界で終息の兆しがみえず、本研究の重要な目的の1つである、ロシアやカナダなど海外の博物館・美術館おいて、美術史・考古学・宗教民俗学的なアプローチからおこなう「鹿」信仰」の調査、なかでも、「角」を神聖視する「鹿角」信仰の背景を現地調査の実行ができないまま推移した。また21年度末の2月下旬には戦争も勃発し、世界情勢は予測できなかった事態となった。特に本研究の主題であるスキタイ美術の筆頭たる作例「黄金の鹿」(ロシア南西部、黒海東岸、クラスノダール地方コストロムスカヤ、第1号墳出土、前7世紀後半-前6世紀初頭)は、ロシアの博物館(エルミタージュ博物館:サンクト・ペテルブルク)に所蔵されている。初年度から継続させるべき、本作と他の博物館所蔵の「鹿造形」の「様式」「形態」「素材」に関する現地での実見・観察の機会はなお阻まれている。しかし現地には赴けないなかにも、「黄金の鹿」が出土した黒海沿岸からみると、遥か東方の「南シベリア」の巨大古墳から出土した、スキタイの早期の「動物意匠」と比較することによって、「黄金の鹿」が生まれた最盛期を準備した、初期段階の動物意匠の分析できた。そこから「黄金の鹿」の「角」の部位を特徴づけている「湾曲」形態の由来、ならびに早期と成熟期の形態上の差異を解明することを集中的におこなえた。それを証明する遺跡は、スキタイ時代の古墳として最大の、現トゥバ共和国に所在する「アルジャン古墳」である。これはユーラシアの遊牧社会に築かれた「クルガン=大古墳」で、首都クイズイルの北西部のウユク川 (エニセイ川支流) 流域のスキタイ時代 (前8―3世紀頃) に属し、ここから「鹿」「豹」などを象った金工の動物意匠が出土させているので、スキタイ美術の動物意匠の出発点を、「角」の「湾曲」形態の特質に光を当て明らかにできた。
著者
安藤 礼二 杉本 良男 吉永 進一 赤井 敏夫 稲賀 繁美 橋本 順光 岡本 佳子 Capkova Helena 荘 千慧 堀 まどか
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

これまで学術的な研究の対象とは見なされてこなかったが、神智学が宗教、政治、芸術などの近代化で重要な役割を果たしたことは近年認められている。本研究では、それらをグローバルな視点から再検討し、新たな研究の可能性を探ることに成功した。プロジェクトメンバーたちによる国内外の調査によって貴重な一次資料を収集しただけでなく、海外の研究者たちとの連携を深めた。日本ではじめて神智学を主題として開催された国際研究集会など、いくつかの研究会を開催し、神智学研究を代表する世界の研究者たち、日本の研究者たちが一堂に会した。これらによって、さまざまな分野の研究者のネットワークを構築し、今後の研究の礎を築くことができた。
著者
海老塚 耕一
出版者
多摩美術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は芸術作品の鑑賞において、様々な障害を持った人々が健常者との差異により、本来楽しめるべき芸術鑑賞が、楽しむべく機会もそれほど多くないといった状況に置かれているという悲しい状況から、芸術を楽しむべく場とその鑑賞をどのように構築するかといった問題に取り組んだ。今回の大きなテーマは、「すべての人に開かれた美術・芸術作品」のあり方を探り、明らかにし、その上で障害を持った人々、そして健常者も含めたすべての人に向かって開かれた、作品を制作し、提供していくことであった。
著者
山本 政幸 ジェームズ モズリー ルース クリブ 指 昭博 後藤 吉郎 吉田 公子
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、20世紀イギリスにおける近代的なグラフィックデザインの形成プロセスの一端を、タイポグラフィの視点から明らかにすることである。とくに1920年代後半から30年代にかけて流行した幾何学的な構造をもつ新しいサンセリフ体活字の設計手法に注目し、イギリスでこの活字書体を発展させたエドワード・ジョンストン(Edward Johnston, 1872-1944)とエリック・ギル(Eric Gill, 1882-1940)の制作活動を把握し、背後にあった造形思想の実態を探った。両者が継承したアーツ&クラフツ運動の精神性が、機械化と大量生産に対応してゆく独自のデザイン観に至る経過をたどり、イギリスにおけるモダン・タイポグラフィの発達に貢献したことを確認した。
著者
荒井 保洋
出版者
多摩美術大学
雑誌
多摩美術大学研究紀要 (ISSN:02886421)
巻号頁・発行日
no.28, pp.89-97, 2013
著者
山中 玄三郎
出版者
多摩美術大学
雑誌
多摩美術大学研究紀要 (ISSN:02886421)
巻号頁・発行日
no.20, pp.161-170, 2005
著者
高梨 美穂
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、直示動詞である「行く」「来る」の母語習得のメカニズムを明らかにし、使用依拠モデル(Tomasello2003)による 、言語と一般認知能力との関係解明に貢献することである。「行く」「来る」は、直示動詞であり、基本動詞でもあることから、意味の範囲も広く、6歳でも完全には習得されない(正高1999)といわれており、習得過程、習得が完成する時期については明らかになっていない。従って、本研究では「行く」「来る」はどのような過程を経て習得し、その完成はいつ頃なのかを明らかにするべく調査を行っている。研究方法は、コーパスによる研究と、ビデオ実験による研究の2つである。平成29 年度は、主として、コーパスによる分析を行った。コーパス分析に関しては、国立国語研究所『言語教育研究部資料 幼児のことば資料』およびCHILDESを用い、インプットとアウトプット双方の質的分析を行った。平成29年度現在では、4歳までのデータのコーディングと質的分析がほぼ終了している。主として本動詞に加えて、補助動詞としての「行く」「来る」の分析を行った。本動詞では、「行く」のほうが「来る」よりも初出も早く使用頻度も高かったが、補助動詞としての「行く」と「来る」ではそれとは違う結果であった。補助動詞「行く」「来る」はほぼ同時に現れはじめ、頻度は補助動詞「来る」の方が多かった。これには補助動詞「来る」のほうが「行く」よりも語彙としての種類が多く、また補助動詞「行く」「来る」の習得は、互いに関わり合っているためだと考えられる。現在、その成果を発表すべく、学会発表の準備に取り組んでいる。習得には遊びを通しての学習が見られるため、子どもが触れる機会の多い媒体である絵本、童話にあらわれる「行く」「来る」の分析も併せて行った。こちらはもう少し分析、考察を進めた後、学会にて発表する予定である。