著者
松田 貴雄
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.197-202, 2018-02-01

女性アスリートの三主徴が提言されて,女性アスリートが疲労骨折を繰り返す場合,整形外科では婦人科受診を勧めるようになってきている。疲労骨折を生じるアスリートは中学生・高校生に多く,近隣の婦人科を受診すると考えられるが,無月経の治療以外にアスリートに何をすればいいか迷う婦人科医は少なくないと思われる。疲労骨折を生じるアスリートはエネルギー不足でほぼ貧血を合併している。貧血を診療することで中高生アスリートにとってのかかりつけ婦人科となることが,女性アスリートの三主徴の予防につながると考えられる。
著者
松田 貴雄 後藤 美奈
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.157-164, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
23

女性アスリートのパフォーマンス向上には無月経を引き起こすエネルギー不足の解消が必要である。女性アスリートの3主徴に加えて、相対的エネルギー不足が提案され、その結果として骨粗鬆症があり、同じく無月経になると考えられるようになってきた。婦人科は無月経の治療しかできないが、スポーツドクターとしてはエネルギー不足の解消を行い、骨粗鬆症を予防することが求められる。予防のためにはアスリートが自分で分かる指標が必要で成長期は1カ月ごとに身長・体重をチェックすべきである。成長ピークが無い群がハイリスクで疲労骨折を繰り返す。成長期の体格指標は肥満度であるが、アスリートではBMIで判断して、これが減少する場合は異常と判断する。相対的エネルギー不足はやせている選手だけでなく、骨格筋量の多い選手にむしろ多く認められる。エネルギー不足は各方面に影響しその結果、貧血やテストステロン低下が認められるためエネルギー不足の指標として用いることができる。