著者
梅田 康弘 板場 智史
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11-12, pp.455-459, 2011-12-31 (Released:2013-07-02)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

1946年南海地震(M8.0)の前に井戸水が2-3 m低下したという証言が,四国から紀伊半島の太平洋沿岸部で得られている.梅田ほか(2010)は,海水と淡水が重力バランスをとっている小さな三角洲などではわずかな土地の隆起でも大幅に地下水位が低下することを示した.このモデルと高知県黒潮町佐賀地区での地下水構造の調査結果を基に,土地の隆起量と地下水位の低下量との関係式を求めた.
著者
梅田 康弘 板場 智史
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11-12, pp.129-144, 2014-12-26 (Released:2015-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

1946年南海地震直前の地殻の上下変動を知るため,それに関連すると思われる井戸の水位と海水位の変化に関する目撃証言を調べた.証言の収集は,四国太平洋沿岸部において,文献調査と聞き取り調査によって行った.ごく一部の井戸ではあるが,本震の1週間ほど前から井戸の水位が低下,ないしは涸れていた.海水位の変化も数日前から潮が狂うなど海水位の異常が目撃されていた.本震の数時間前には,帰港した漁船が接岸できないほど潮位が低下したという証言もある.逆に,そのような海水位低下はなかったという,相反する証言もある.異常な海水位の変化や,相反する証言を説明するため,本震前に津波が発生していた可能性を指摘した.
著者
大谷 竜 塚本 斉 佐藤 努 木口 努 重松 紀生 板場 智史 北川 有一 松本 則夫 高橋 誠 小泉 尚嗣
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1-2, pp.57-74, 2010-01-26 (Released:2013-07-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

産業技術総合研究所(以下,産総研と呼ぶ)は, 2006年度より四国・紀伊半島~愛知県にかけて地下水等観測点やGPS観測局の新設を行っており,これを機に従来の産総研のGPS観測局と統合したGPS連続観測システム(以下,GPSシステムと呼ぶ)の全面的な更新を行った.本報告ではその概要,及び本GPSシステムを用いて得られる結果について紹介する.まず,全局についてTrimble製の同一型の受信機とアンテナに統一した.また,解析ソフトウエアはBerneseソフトウエアに切り替えた.これらの結果,従来の産総研のGPSシステムの結果に比べ,新解析で推定されたGPS局の変位の再現性の向上が見られた.また,産総研のGPS観測局だけではなく,周囲にある,国土地理院のGPS連続観測網(GEONET)の観測局も一緒に解析を行い,日々の座標値を推定するようにした.この解析方法の導入により,産総研GPS観測局周辺の歪をGPSから求めることができるようになった.更に, GEONETの定常解析であるF2 解に準拠した解析を産総研の新GPSシステムでも独立に行うことにした.産総研による解析結果と,F2解で求められた同一観測局 の変位を比較した結果,両者の間に大きな差はないことが確かめられた.