著者
板橋 雅子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.229-231, 1982

すんきの栄養学的効果を知る日的で,すんき漬法による試料とこれに類似する数種の漬け方の試料の成分をそれぞれ分析して以下の結果を得た.<BR>1)すんき漬法では漬種の有無に拘らず,原料中の粗たんぱく質の損失が非常に少ない.<BR>2)すんき漬と同様の漬込操作でも,食塩を5%添加すると粗たんぱく質のほぼ半量が失なわれる.<BR>3)漬込過程中に,原料中の遊離アミノ酸および粗たんぱく質の分解によるアミノ酸は漬汁中に溶出するが,乳酸菌による乳酸濃度が大であると,粗たんぱく質の分解が少ない上に,アミノ酸の漬汁中への溶出が抑制されるものと考えられる.
著者
板橋 雅子 高村 範子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.56-60, 1985

すんき漬種の代りに菌種とその含有量がほぼ一定であるプレンヨーグルトを用い,王滝蕪と小松菜を原料としてすんき漬処理をしたものを,すんき漬種を添加して同様に処理したものと比較考察し,以下の結果を得た。<BR>(1) 粗たんぱく質含有率はプレンヨーグルト処理物,漬種処理物共原料中の水溶性非たんぱく質の溶出によって原料より高い値を示すが,前者は後者よりやや低い。原料別に見ると王滝蕪の方が残存率が高い。<BR>(2) 漬物中の遊離アミノ酸は王滝蕪ではプレンヨーグルト処理物は漬種処理物よりもはるかに多く,甘味および旨味アミノ酸含有率が高く,官能検査でもすぐれている。小松菜では両者の間に顕著な差がない。<BR>(3) 全アミノ酸含有率は粗たんぱく質の場合と同様に,漬処理物が原料より高い値を示し,その増加率は王滝蕪の方が小松菜より多い。添加物による相違はプレンヨーグルト処理物の方が漬種処理物より含有率がやや高い。<BR>必須アミノ酸含有率は王滝蕪,小松菜共にプレンヨーグルト処理物と漬種処理物との間に大差は見られない。<BR>(4) プレンヨーグルトを添加した場合の漬汁のpHは,最初はプレンヨーグルトそのものの値を示し,時間の経過と共に葉菜中の水分の浸出によって高くなるが,3週間後より次第に低下し,乳酸発酵の進行を示す。
著者
板橋 雅子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.356-361, 1987
被引用文献数
5

すんき中に見出されている乳酸菌の単菌数種を用いてすんき漬を行ない,すんき漬種を用いた場合と比較して,以下の結果を得た.<BR>(1) 漬物中の粗たんばく質の量は,単菌使用のものがすべて漬種使用のものより多い.<BR>(2) 漬物中の遊離アミノ酸中,旨味アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸の和の値は<I>B.coagulans</I>使用のものが,最大で,このものは官能試験でも最高に評価された.<BR>(3) 漬汁中の乳酸含量の測定結果により,菌種により乳酸菌発酵能が大きく異なることが知られた.すなわち,<I>L. buchneri</I>は非常に大で<I>S. faecalis</I>は非常に小さい.
著者
板橋 雅子 高村 範子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.208-211, 1985

王滝蕪と小松菜とを用いて,最初から乳酸を加えてすんき漬処理を試み,同時に行なった漬種(乳酸菌源)処理物と諸性状を比較して以下の結果を得た。<BR>(1) 粗たんぱく質含量は原料よりも漬処理物の方が大きな値を示すが,その度合は乳酸処理物の方が漬種処理物よりも大きい。このことは乳酸処理ではたんぱく質の分解が少ないことを示す。<BR>(2) 漬処理物中の遊離アミノ酸含量は原料中のそれより減少しているが,減少度は乳酸処理物の方が漬種処理物より少ない。このことは,漬処理による原料葉菜の組織の破壊が乳酸処理の方が少ないためと考えられる。<BR>(3) 乳酸菌源を用いずに乳酸添加のみによってすんき漬を行っても同様な結果が得られる。<BR>(4) 乳酸処理によるすんき漬は葉緑素の鮮度が良好に保存され,味覚上においても良好であった。
著者
板橋 雅子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.226-228, 1982

The &ldquo;Sunki&rdquo;, a kind of Japanese pickles peculiar in Kiso district, Nagano pref. is pickled without salt under lower temperature (winter season), then dried and preserved throughout the year. And so, it is considered to be available for preserving green vegitables and for providing dietary fibers protecting so-called adult-disease.<BR>The auther studied the dietetic components of the Sunki and its pickling conditions concerning with sample A (produced in Ohtaki village, Kiso district) and sample B (prepared in our laboratory under strict temperature conditioning) obtaining following results.<BR>1. Appearance and taste of the pickles; sample A was inferior in comparison with sample B.<BR>2. The pH of the pickling liquid; Sample A increased acidity with passing time, otherhand sample B held neary nutral throughout period.<BR>3. Free amino acid in the pickles; sample B contained less than sample A.<BR>4. Crude protein remaining in the pickles; sample B contained more than sample A, and its quantity is almost equal to that in the raw greens.<BR>In conclusion, it was demonstrated that the strict temperature conditioning (about -5&deg;C) is necessary for producing good Sunki.
著者
板橋 雅子 高村 範子
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.859-863, 1985

木曽地方の現地で行なわれているすんき漬の方法(漬種添加,ズミ果実添加,ヤマブドウ果実添加)を実験室で同一条件下に漬処理を行ない,以下の結果を得た。<BR>(1) 粗たんぽく質および総アミノ酸の含量はズミ果実破砕物添加漬製品が最高で,ヤマプドウ破砕物添加漬製品が最低であった。<BR>(2) 漬処理初期と終期のpHはヤマブドウ丸のまま添加漬製品が最低で,漬処理終期のpHはヤマブドウ破砕物添加漬が最高であった。<BR>(3) ズミ果実破砕物添加漬製品は遊離アミノ酸含量が最低であるにも拘らず,官能試験で最高の評価を得た。これは恐らく破砕されたズミ果実中のリンゴ酸,コハク酸,クェン酸および果糖,ブドウ糖が漬物中に浸透したためと考えられる。
著者
板橋 雅子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.229-231, 1982-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
5

すんきの栄養学的効果を知る日的で,すんき漬法による試料とこれに類似する数種の漬け方の試料の成分をそれぞれ分析して以下の結果を得た.1)すんき漬法では漬種の有無に拘らず,原料中の粗たんぱく質の損失が非常に少ない.2)すんき漬と同様の漬込操作でも,食塩を5%添加すると粗たんぱく質のほぼ半量が失なわれる.3)漬込過程中に,原料中の遊離アミノ酸および粗たんぱく質の分解によるアミノ酸は漬汁中に溶出するが,乳酸菌による乳酸濃度が大であると,粗たんぱく質の分解が少ない上に,アミノ酸の漬汁中への溶出が抑制されるものと考えられる.
著者
板橋 雅子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.226-228, 1982-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
4

The “Sunki”, a kind of Japanese pickles peculiar in Kiso district, Nagano pref. is pickled without salt under lower temperature (winter season), then dried and preserved throughout the year. And so, it is considered to be available for preserving green vegitables and for providing dietary fibers protecting so-called adult-disease.The auther studied the dietetic components of the Sunki and its pickling conditions concerning with sample A (produced in Ohtaki village, Kiso district) and sample B (prepared in our laboratory under strict temperature conditioning) obtaining following results.1. Appearance and taste of the pickles; sample A was inferior in comparison with sample B.2. The pH of the pickling liquid; Sample A increased acidity with passing time, otherhand sample B held neary nutral throughout period.3. Free amino acid in the pickles; sample B contained less than sample A.4. Crude protein remaining in the pickles; sample B contained more than sample A, and its quantity is almost equal to that in the raw greens.In conclusion, it was demonstrated that the strict temperature conditioning (about -5°C) is necessary for producing good Sunki.
著者
板橋 雅子 高村 範子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.56-60, 1985-01-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
6

すんき漬種の代りに菌種とその含有量がほぼ一定であるプレンヨーグルトを用い,王滝蕪と小松菜を原料としてすんき漬処理をしたものを,すんき漬種を添加して同様に処理したものと比較考察し,以下の結果を得た。(1) 粗たんぱく質含有率はプレンヨーグルト処理物,漬種処理物共原料中の水溶性非たんぱく質の溶出によって原料より高い値を示すが,前者は後者よりやや低い。原料別に見ると王滝蕪の方が残存率が高い。(2) 漬物中の遊離アミノ酸は王滝蕪ではプレンヨーグルト処理物は漬種処理物よりもはるかに多く,甘味および旨味アミノ酸含有率が高く,官能検査でもすぐれている。小松菜では両者の間に顕著な差がない。(3) 全アミノ酸含有率は粗たんぱく質の場合と同様に,漬処理物が原料より高い値を示し,その増加率は王滝蕪の方が小松菜より多い。添加物による相違はプレンヨーグルト処理物の方が漬種処理物より含有率がやや高い。必須アミノ酸含有率は王滝蕪,小松菜共にプレンヨーグルト処理物と漬種処理物との間に大差は見られない。(4) プレンヨーグルトを添加した場合の漬汁のpHは,最初はプレンヨーグルトそのものの値を示し,時間の経過と共に葉菜中の水分の浸出によって高くなるが,3週間後より次第に低下し,乳酸発酵の進行を示す。
著者
板橋 雅子 高村 範子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.208-211, 1985-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
5

王滝蕪と小松菜とを用いて,最初から乳酸を加えてすんき漬処理を試み,同時に行なった漬種(乳酸菌源)処理物と諸性状を比較して以下の結果を得た。(1) 粗たんぱく質含量は原料よりも漬処理物の方が大きな値を示すが,その度合は乳酸処理物の方が漬種処理物よりも大きい。このことは乳酸処理ではたんぱく質の分解が少ないことを示す。(2) 漬処理物中の遊離アミノ酸含量は原料中のそれより減少しているが,減少度は乳酸処理物の方が漬種処理物より少ない。このことは,漬処理による原料葉菜の組織の破壊が乳酸処理の方が少ないためと考えられる。(3) 乳酸菌源を用いずに乳酸添加のみによってすんき漬を行っても同様な結果が得られる。(4) 乳酸処理によるすんき漬は葉緑素の鮮度が良好に保存され,味覚上においても良好であった。