著者
尾辻 健太 二村 昌樹 漢人 直之 林 啓一 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.971-982, 2011-08-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
35
被引用文献数
2

【目的】即時型小麦アレルギーに対するω-5グリアジン特異的IgE抗体(以下,ω-5グリアジンIgE)検査の診断的価値を検討する.【方法】2008年1月〜10月に当科で小麦特異的IgE抗体(以下,小麦IgE)検査を施行した全症例でω-5グリアジンIgEを測定し,小麦経口負荷試験又は病歴に基づいた小麦アレルギーの診断との関連を検討した.解析対象者は233人(年齢中央値3.6歳),小麦アレルギー群59人,非小麦アレルギー群174人であった.【結果】小麦アレルギー群の割合は,ω-5グリアジンIgEクラス2(n=31)で68%,クラス3(n=15)で87%,クラス4以上の3人は100%であった.一方小麦アレルギー群でも陰性(<0.35U_A/ml)を示す患児が24%存在した.これらのデータを元に,ω-5グリアジンIgEのプロバビリティーカーブを作成した.【結語】ω-5グリアジンIgE抗体は,小麦アレルギーの診断に高い陽性的中率を示すが,診断感度の低さから,必ず小麦IgEと併せて評価すべきである.
著者
藤森 林 栗田 浩 小塚 一芳 小嶋 由子 中塚 厚史 小池 剛史 小林 啓一 倉科 憲治
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.81-89, 2003-09-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

本報告の目的は, 外来口腔外科処置における同意書の使用状況を把握することである. 対象は, 全国大学病院歯科口腔外科113施設とした. 質問は, 普通抜歯, 埋伏抜歯, 外来手術の処置別に, 現在の同意書の使用状況同意書を用いる必要性, 同意書を用いる予定があるか, 調査した. そして, 最後に患者とのトラブルを防止する工夫を記載してもらった. 75施設 (回収率66.4%) より回答が得られ, 結果は以下の通りであった. 現在同意書は, 普通抜歯で26%, 埋伏抜歯・外来手術で約半数の施設で活用されていた. 同意書の必要性は, 普通抜歯で約半分, 埋伏抜歯, 外来手術で約8割の施設で感じていた. また, 約9割の施設が今後同意書を活用する予定, あるいは検討中と解答した.
著者
二村 昌樹 伊藤 浩明 尾辻 健太 平山 美香 林 啓一 大矢 幸弘 益子 育代
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1610-1618, 2009-12-31 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【背景】小児アトピー性皮膚炎に対する治療教育を目的として,我々は1泊2日教育入院プログラム「スキンケアスクール」を実施している.これは6歳未満で中等症以上を対象にし,正しい洗い方と軟膏塗布の実習指導および講義で構成している.【方法】本プログラムの効果を評価する目的で,参加した56組の養育者に対して参加前,直後,1ヵ月,6ヵ月後にアンケート調査を実施した.【結果】プログラム参加により,医師の指導歴があっても参加前の軟膏量や塗布の方法は不十分であったと認識した.皮疹の状態の改善とともにかゆみや睡眠障害といった症状も1ヵ月後には改善したと養育者は回答しており,その改善度は6ヵ月後まで維持された.一方,ステロイド使用量は参加前と比較して1ヵ月後には減少し,6ヵ月後にはさらに減少したと評価された.【結語】本プログラムは,養育者のスキンケアに対する理解と実践を達成する上で有効であった.皮膚洗浄と十分な軟膏使用を柱とする正しいスキンケアは,湿疹の改善効果をもたらし,結果的にステロイド減量も可能にする事が示唆された.
著者
林 啓一
出版者
南山堂
雑誌
治療 (ISSN:00225207)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.702-707, 2011-04