著者
大熊 智子 梅基 宏 三浦 康秀 増市 博
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.3_51-3_80, 2009 (Released:2011-09-01)
参考文献数
31

事物の数量的側面を表現するとき,数詞の後に連接する語を一般に助数詞と呼ぶ.英語などでは名詞に直接数詞が係って名詞の数が表現されるが,日本語では数詞だけでなく助数詞も併せて用いなければならない.名詞と助数詞の関係を正しく解析するためには,助数詞が本来持つ語彙としての性質と構文中に現れる際の文法的な性質について考慮する必要がある.本稿では,数詞と助数詞の構文を解析するための Lexical-Functional Grammar (LFG) の語彙規則と文法規則を提案し,その規則の妥当性と解析能力について検証した.提案した規則によって導出される解析結果 (f-structure) と英語,中国語の f-structure をそれぞれ比較することによって,日本語内での整合性と多言語間との整合性を有していることが確認できた.また,精度評価実験の結果,従来の LFG 規則に比べて通貨・単位に関する表現では 25%,数量に関する表現では 5%,順序に関する表現では 21% の F 値の向上が認められた.
著者
三浦 康晶
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.186-189, 2002-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

現在のカメラは高度に自動化された機種が主流であり, いわゆるマニュアルカメラの入り込むスペースはほとんどないかに見える. しかしながら, 写真撮影の多様化に伴い, 自動化によって忘れ去られたものを見直そうとする気運もある. 本報では, 自動化時代におけるマニュアルカメラの存在意義について考察するとともに, ニコンFM3Aを開発した過程を振り返り, その企画化された背景と技術開発の詳細について報告する.
著者
三浦 康秀 増市 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.158, pp.139-144, 2007-07-17
被引用文献数
1

本稿では,専門分野コーパス内に出現頻度の低い専門用語の候補文字列があるときに,その文字列を構成する部分文字列および専門分野コーパス内での周辺文字列のパープレキシティ用いて,専門用語としてのスコア付けを行う手法を提案する.文字列が与えられたときに,文字列を構成するn-gramの部分文字列を抽出しレそれらの専門分野コーパスでのパープレキシティを計算する.また同時に,専門分野コーパス内で文字列の周囲に現れるn-gramの周辺文字列のパープレキシティを計算し,これらの比を文字列のスコアとして設定する.本手法の評価実験として,インターネット上で公開されている病名辞書および解剖学用語辞書の見出し語を構成する文字列で,約6,7000件の医療テキスト内での出現回数が5回以下の文字列についてスコア付けを行い,上位200文字列の用語としての成立の可否を医師が確認した.また,比較のため名詞の出現頻度および連接頻度を用いるTerm Extractでも同様の実験を行った.結果として平均で,1-gramでは正解率70.4%,2-gramでは正解率83.5%が得られ,Term Extractによる正解率,70.6%と比較して良好な結果が得られた.
著者
清水 実嗣 山田 俊治 村上 洋介 両角 徹雄 小林 秀樹 三谷 賢治 伊東 伸宜 久保 正法 木村 久美子 小林 勝 山本 孝史 三浦 康男 山本 輝次 渡辺 一夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.389-391, 1994-04-15
被引用文献数
31

ヘコヘコ病発病豚の病原学的検索を行った.その結果,血清と肺よりPRRS ウイルスが,また肺よりMycoplasma hyorhinis(Mhr)が高率に分離された.無菌豚に分離ウイルスChiba92-1株を接種したところ,全葉性の増殖性間質性肺炎が再現され,ウイルスが長期間回収された.肺炎はMhrとの重感染例において重度化する傾向にあった.以上の成績から,わが国にPRRSウイルスが存在し,本病の発生に同ウイルスが関与することが明らかとなった.
著者
三浦 康秀 狩野 竜示 谷口 元樹 谷口 友紀 三沢 翔太郎 大熊 智子
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.59-81, 2019-03-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
42

本稿ではオンライン議論における談話行為を分類するモデルを提案する.提案モデルでは談話行為を分類するために,ニューラルネットワークを用いて議論のパターンを学習する.談話行為の分類において議論のパターンを取り入れる重要性は既存の研究においても確認されているが,対象としている議論に併せたパターン素性を設計する必要があった.提案モデルではパターン素性を用いずに,木構造およびグラフ構造を学習する層を用いて議論のパターンを学習する.提案モデルを Reddit の談話行為を分類するタスクで評価したところ,従来手法と比較して Accuracy で 1.5%,F1 値で 2.2 ポイントの性能向上を確認した.また,提案モデル内の木構造学習層およびグラフ構造学習層間の相互作用を確認するため,提案手法の中間層を注意機構を通じて分析した.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。
著者
矢野 正雄 後藤 哲宏 北村 陽平 西尾 乾司 三浦 康誠 松井 聡
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.636-639, 2020 (Released:2020-10-31)
参考文献数
7

肝障害は薬物治療に際して普遍的に認められる副作用の一つである.従来,脂肪肝は良性可逆性肝疾患の病態とみなされ,有害な疾病としての認識に乏しかった.非アルコール性脂肪肝変性(NAFLD)もその一つであり,今回われわれはタモキシフェン(TAM)におけるNAFLDの発現頻度をレトロスペクティブに検討した.結果29.1%と高率にNAFLDが発現していた.そのうちの68%は可逆性であったが,TAMによるNAFLD発症頻度は高く,改善しない症例もあり,医療者はそのことに関して注意しなければならない.
著者
三浦 康次郎 木野 孔司 渋谷 寿久 平田 康 渋谷 智明 佐々木 英一郎 小宮山 高之 吉増 秀實 天笠 光雄
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-5, 1998-03-31 (Released:2010-10-08)
参考文献数
18
被引用文献数
10 8

This paper described the incidence of inferior alveolar nerve paralysis following surgical removal of impacted third molars. The investigated cases were 789 patients with 1, 299 teeth that were surgically extracted. Eight (0.6%) patients had the inferior alveolar nerve paralysis and one (0.08%) had lingual nerve paralysis. As for the patients with inferior alveolar nerve paralysis, the incidence was 0.4% in those aged 20 to 29 years, 0.6% in those aged 30 to 39 years, and 3.5% in those aged over 40 years. This study showed that the incidence of inferior alveolar nerve paralysis occurred more frequently in older age cases and in the cases in which the root splitting or the removing the surrounding bone was needed.
著者
佐藤 豪 伊藤 琢也 庄司 洋子 三浦 康男 見上 彪 伊藤 美佳子 倉根 一郎 SAMARA Samir I. CARVALHO Adolorata A. B. NOCITI Darci P. ITO Fumio H. 酒井 健夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.747-753, s-ix-s-x, 2004-07-25
被引用文献数
2 37

ブラジルで採取された狂犬病ウイルス株14検体を用いて,病原性および抗原性状に関連するG蛋白遺伝子およびG-L間領域(シュートジーン)について遺伝子および系統学的解析を行った.分離株は,ヌクレオ(N)蛋白の解析によって犬型狂犬病ウイルス(DRRV)または吸血コウモリ型狂犬病ウイルス(VRRV)の2系統に分類された.これらのG蛋白コード領域とジュードジーンの塩基相同性およびアミノ酸(AA)相同性は総じてエクトドメインのものよりも低かった.両領域において,VRRVの塩基およびAA相同性はDRRVに比べて低かった.また,DRRVとVRRVの推定AA配列においては,3箇所の抗原認識部位およびエピトープ(サイトIla,サイトWB+およびサイトIII)に相違があり,両系統が抗原性状により区別できることが示唆された.シュードジーンおよびG蛋白コード領域の系統樹とエクトドメインの系統樹を比較すると,翼手類および肉食類由来株グループの分岐は異なっていた.一方,DRRVまたはVRRVのグループ内において分岐は明らかに類似していた.また,VRRV分離株はブラジルのDRRVよりも近隣中南米諸国の翼手類分離株により近縁であった.これらの結果は,N遺伝子と同様,G遺伝子およびG-L間領域の解析においても,ブラジルの狂犬病分離株がDRRVまたはVRRVに分類できることを示した.
著者
壁矢 健司 佐藤 宏樹 堀 里子 三木 晶子 三浦 康正 澤田 康文
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.49-56, 2019-08-31 (Released:2019-10-10)
参考文献数
12

Objective:Marketing specialists (MSs) from pharmaceutical wholesalers might shore up post-marketing surveillance (PMS) by pharmaceutical manufacturers. The purposes of this study were as follows: to research problems in PMS found by market specialists, to find solutions for these problems, and motivating MSs to work on PMS. Methods: We conducted a workshop with 12 MSs, who were already working on PMS operations. Participants were divided into three groups. Each group discussed problems with their PMS operations using the KJ method, discussed the potential solutions for the problems, and finally presented them in a plenary debate session. Questionnaire surveys were conducted for the participants before, immediately after, and 6 months after the workshop. Results: This workshop revealed two crucial and urgent problems on PMS faced by MSs: lack of feedbacks to clinical site and lack of publicity of the significance of PMS by MSs. Several solutions were suggested: browsing system of collected information, publication of the stages of improvement in pharmaceutical preparations and packaging, and distributing leaflets about PMS by MSs. In addition, this workshop conferred a positive influence on the participants: in the post-workshop questionnaires, most of the participants answered that they could well understand the problems (92%) and the solutions (75%) on PMS, and that they could improve their attitudes toward PMS operations (83%). . Conclusion: This workshop was quite effective for most of the participants in searching the problems, considering the solutions, and improving their attitudes. Organization of several such workshops might result in better PMS by MSs.
著者
三浦 康之
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 = Memoirs of Shonan Institute of Technology (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.43-52, 2012-03-31

Non-photographed images such as cartoon image or illustration are often handled in PC. To reducethe number of bits of their compressed images, subtractive color are processed.However, because the conventional error diff usion method causes some error diff usion in fl at partsof image, it is not suitable for the combination with lossless compression. In this paper, we propose amethod of subtractive color process for non-photographed images and the performance of them are evaluated.
著者
村上 洋介 加藤 あずさ 津田 知幸 両角 徹雄 三浦 康男 杉村 崇明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.891-894, 1994-10-15
被引用文献数
37

わが国で発生した肥育豚の慢性肺炎と繁殖豚の異常産の各症例から, 豚の肺胞マクロファージ細胞を用いて合計3株の豚生殖器・呼吸器症候群(PRRS)ウイルスを分離した. これらの国内分離株は, 間接蛍光抗体法(IIF)とIndirect immunoperoxidase mono-layer assayのいずれにおいてもアメリカで分離されたPRRSウイルスの46448株(米国株)とは強い交差反応を示すが, オランダで分離されたLelystad virus (欧州株)とは弱い交差反応しか示さなかった. さらに, 自然感染豚の血清を用いて, 上記の米国株, 欧州株および国内分離株に対するIIF抗体の検出率と抗体価の変動を比較したところ, 国内分離株と米国株を抗原とした場合にはそれらの抗体検出率と抗体価の変動がほほ一致するのに対して, 欧州株を抗原とした場合には抗体検出率が低く, また抗体変動もほとんど認められなかった. 以上のことから, わが国でPRRSウイルスを分離し国内にPRRSの発生があることを明らかにするとともに, 国内流行株が米国株に近縁であることが示唆された.