著者
佐々木 みのり 佐々木 巖 増田 芳夫
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.303-311, 2005 (Released:2009-06-05)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

肛門〓痒症は皮膚科学的には次のように定義される.「肛囲に皮疹がなく〓痒感があるもの. ただし, 掻破により二次的な続発疹をみる, 明らかな原疾患が存在するものはこれに含まれない」.肛門〓痒症は引き金となる〓痒感に対し患者自身が掻破することによって〓痒感の悪化と続発疹の発生をみるので, 〓痒を強力に抑えるステロイド外用治療と掻破を防ぐ生活指導の併用が適切な治療方針と考えられた. ステロイド外用剤はリバウンドと長期連用による副作用が問題になるが, 我々は使用するステロイドの量を3週間にわたって漸減する方法を試みたところ副作用を効果的に避けることが可能であった. 2003年1月から12月までの1年間に肛門〓痒症の診断で治療した追跡可能な94例中全例 (100%) で症状の改善を確認, 17例で再発を認めたが同様の治療で軽快した. 副作用は認めなかった. 本法は肛門〓痒症の有効な治療法であると考えられた.
著者
小川 仁 福島 浩平 佐々木 巖
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.996-1002, 2009 (Released:2009-07-06)
参考文献数
35

回腸嚢炎(pouchitis)は,潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘·回腸嚢肛門(管)吻合術後に発症する回腸嚢粘膜の非特異的炎症である.発症頻度は欧米では60%に上るとされているが本邦では20%前後と考えられ,潰瘍性大腸炎術後の合併症のなかで最も頻度の高い長期合併症である.半数以上は術後2年以内に発症する.診断には問診と内視鏡検査が必須であり,可能なかぎり病理組織検査も加えるべきである.治療は抗菌剤内服が第一選択であり,大部分の症例に対して有効である.しかし一部の症例は短期間に再燃し,また抗菌剤治療に抵抗するものもある.これら難治性回腸嚢炎に対する治療法は確立しておらず,今後の研究課題である.
著者
小川 仁 柴田 近 佐々木 巖
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

臨床研究においては当科での回腸嚢炎の発症頻度を明らかにするとともに、従来明らかではなかった発症後の長期経過とくに抗菌薬治療に対する感受性の変化を明らかにした。基礎研究においてIL-23が腸管上皮細胞に対して細胞内シグナル伝達機構を活性化させるとともにサイトカインの放出を促すことを明らかにし、また大腸癌の一部においてもIL-23Rの発現を認めIL-23が増殖・浸潤を刺激する事を明らかにした。