著者
日置 久美子 川崎 千穂子 山元 正博 林 国興 屋 宏典
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
日本暖地畜産学会報 (ISSN:2185081X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.45-53, 2015 (Released:2015-07-01)
参考文献数
16

本研究では黒麹および黒麹リキッドフィード(LF) 給与が肥育豚の生産性に与える影響を調べた。実験1 では鹿児島バークシャーを用い、市販配合飼料に黒麹0.05%および0.1%を配合して給与した。その結果、無添加対照区に比べ黒麹0.05%区において増体量は改善傾向にあり飼料要求率(FCR)は有意に低下した。実験2 では三元交雑種(LW・D)去勢雄に乾物として配合飼料の20%および40%をLF(食品残さを黒麹で発酵させた)で代替して与えた。その結果、対照区(配合飼料区)に比べ20%給与区で増体量は改善されFCRは低下した。実験3 では、実験2 に準じ、配合飼料の20%を2 種のLF(黒麹と2 種の乳酸菌で調製した)で代替して与えた。その結果、Lactobacillus casei で調製したLF 給与区において、増体量およびFCR が顕著に改善された。以上のことから、黒麹を利用して栄養価の高いLF を作ることができ、黒麹給与により肥育豚の生産性が向上することが示された。
著者
中尾 信雄 小野寺 良次 稲澤 昭 別納 征欧 長谷川 信美 山内 清 六車 三治男 堀井 洋一郎 藤代 剛 林 国興 森下 敏朗 林 綾子 田原 秀隆 高橋 勝南 竹之山 愼一 上島 良介 目 和典 堤 孝彦 駒谷 謙司 置本 宗康 河野 謙宗 北爪 惣 佐藤 玲史 高橋 信也
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学農学部研究報告 (ISSN:05446066)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-38, 2001-12
被引用文献数
2

本研究では、カンショ焼酎粕(濃縮液+脱水ケーキ)を主原料とし、大豆粕を副原料として製造した焼酎粕ペレット飼料の成長、飼料効率、肉質等に及ぼす影響を検討するため、期待体重60から115kgまでの交雑種(WL×D)による飼養試験を1回(実験1、加茂牧場、中部飼料株式会社)、期待体重60~115kgまで(実験2)、期待体重30から115kgまで(実験3)ならびに期待体重10から115kgまで(実験4<通しの試験>)のバークシャー種によるフィールド試験を計3回(永田種豚場)行った。試験飼料の焼酎粕含量率は、乾物当りで、加茂牧場(実験1)2.26%、永田種豚場(実験2)1.77%、永田種豚場(実験3)3.00%(期待体重30~60kg)、3.00%(期待体重60~115kg)、永田種豚場(実験4)2.90%(期待体重10~30kg)、2.42%(期待体重30~60kg)、2.26%(期待体重60~115kg)であった。対照飼料としては、市販飼料を用いた。得られた結果は以下の通りである。 (1)実験1の加茂牧場における期待体重60~115kg間の飼養試験では、試験区の平均1日増体量は対照区よりも約19%高かったが、平均1日飼料摂取量が対照区より約13%高くなったので、結果として飼料効率は試験区が対照区より約6%高い傾向を示すにとどまった。肉質等には試験区・対照区間に差は認められなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高かった。 (2)実験2の永田種豚場における期待体重60~115kgまでのフィールド試験では、試験区よりも対照区の方が、1日増体量で10%、飼料効率で15%ほど高くなった。これは、この試験に用いた配合飼料の焼酎粕含量が1.77%と他の試験に比べてきわめて低かったことが影響しているのかも知れない。なお、血液成分や健康状態には差は見られなかった。一方、行動面では、試験区において社会的序列の上下差が大きく、それによる耳かじりなどの異常行動が見られた。肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が高い傾向にあった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 (3)実験3の永田種豚場における期待体重30~115kg区間では、平均1日増体量は試験区が対照区よりも約10%高かったが、試験区の平均1日飼料摂取量が対照区よりも約7%高かったので、結果として飼料効率は試験区が対照区より約3%改善されたにとどまった。なお、血液成分や健康状態には差が認められなかった。 この試験の中の60~115kgの部分を抜き出してみると、この場合は、実験2の結果と違って、区内平均1日増体量は対照区よりも試験区が約10%高くなり、飼料効率も試験区で約5%改善された。なお、肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高い傾向にあった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 (4)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重10~30kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約21%も高かった。区内平均1日飼料摂取量は試験区・対照区間に差が認められなかったので、結果として飼料効率は試験区が対照区よりも約21%も改善された。 (5)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重30~60kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約6%低かった。区内平均1日飼料摂取量も試験区が対照区間より約6%低かったので、結果として飼料効率は試験区・対照区間に差は認められなかった。 (6)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重60~115kg区間では、区内平均1日増体量は試験区が対照区よりも約2%低かった。区内平均1日飼料摂取量も試験区が対照区に比べて約4%低かったので、結果として飼料効率は試験区・対照区間に差は認められなかった。 (7)実験4(通しの試験)の永田種豚場における期待体重10~115kg区間では、区内平均1日増体量は試験区・対照区間にほとんど差が認められなかった。区内平均1日飼料摂取量は試験区が対照区よりも約2%低く、結果として飼料効率は試験区が対照区よりも約3%改善された。通しの結果を総合してみると、離乳期子豚に対する焼酎粕ペレット飼料給与の効果が著しいと言える。肉質等に大差はなかったが、肉のビタミンE含量は試験区が有意に高かった。そして、肉の官能検査では、総合的好ましさは、試験区がよいと感ずる人が多かった。 以上、肉用豚肥育期の成長に対する焼酎粕ペレット飼料給与試験の結果を総合すると、焼酎粕ペレット飼料の給与は、市販の対照飼料並みまたはそれ以上の成長促進効果があると考えられる。また、焼酎粕ペレット飼料給与豚の肉のビタミンE含有率は、対照飼料給与豚の肉よりもほぼ有意に高まり、肉の官能検査では、総合的な好ましさが認められた。
著者
富田 裕一郎 林 国興 武元 和郎 荒武 正則
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.28, pp.p199-208, 1978-03

必須アミノ酸混合物を唯一の窒素減とした基礎飼料に, 非蛋白態窒素源としてクエン酸二アンモニウム(DAC)とL-グルタミン酸(Glu)を添加したときの, 白色レグホン雄雛の成育に対する効果について検討するため2回の実験を行なった.実験期間は, 実験-1では15日令から27日令までの12日間, 実験-2では18日令から29日令までの15日間である.その結果は次の通りである.1.実験-1,-2を通じて基礎飼料にDACおよびGluを単独にあるいは両者を混合して添加すると対照の基礎飼料給与区に比して有意に増体量の増加をもたらした.実験-1では, 12.91%DAC(10%粗蛋白質量に相当)単独添加区の増体量が, 他の2.58%DAC(2%C.P.)および3.36%Glu(2%C.P.)の両非蛋白態窒素添加区よりも大であった.実験-2では, 6.46%DAC(5%C.P.)と8.42%Glu(5%C.P.)の混合添加区の増体がDAC6.46%(5%C.P.), 12.91%(10%C.P.), 19.37%(15%C.P.)およびGluの16.81%(10%C.P.)各単独添加区の増体に比して大であり, 19.37%DAC添加区の増体量は他の非蛋白態窒素添加よにる増体量に比べ, 有意に低した.2.飼料摂取量, 飼料効率は非蛋白態窒素の添加により高くなり, また肝臓重, 肝臓中の蛋白質量, RNAおよびDNA量, GOT, GPTおよびXDH活性, さらに血漿尿酸量が増加した.3.血漿中の遊離アミノ酸濃度を測定した結果, 対照の基礎飼料給与区に比して, 12.91%DAC単独添加区ではイソロイミン, スレオニン, リジンの増加, ヒスチジン, チロシンおよびロイシンの低下が顕著であった.16.81%Glu単独添加区では, アスパラギン酸, アラニンの増加, ヒスチジン, チロシン, グリシンの低下が大であった.DACとGlu両者を添加した区ではグルタミン酸の増加, ヒスチジン, チロシン, グリシン, セリンの減少が大であった.