著者
林 康成 島田 英昭 三崎 隆 西川 純
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.537-545, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
21

本研究は,小学校理科において成績下位層の学習者が全体的協働の授業を経験したこと(以下,全体的協働経験とする)による能動的な関わり合いと成績向上の持続性を明らかにすることを目的とした。各30人の学習者からなる第4学年の2クラスで,全体的協働授業を経験したクラスと小規模協働授業を経験し全体的協働授業を経験しなかったクラスを設定し,協働授業経験の1ヶ月後,同一教諭が両クラスに小規模協働授業を実施した。事前・事後テストの得点,授業中の立ち歩き回数,会話内容と回数を分析した結果,全体的協働を経験をした成績下位層の学習者は,全体的協働を経験していない成績下位層の学習者よりテスト得点が上昇し,授業中の立ち歩き回数が多く成績向上に有効な会話が多く現れることが明らかになった。さらに,会話内容の質的な分析と事後インタビューの分析を行った。これらの結果から,全体的協働経験による能動的な関わり合いが持続し,成績が向上することが示唆された。