著者
三崎 隆
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.59-64, 2001-03-31 (Released:2018-05-08)
被引用文献数
2

本研究では,場依存型の認知型の生徒の計算能力が理科の文脈に依存することを調査した。まず,EFT,数学の調査,理科の調査を実施した。数学の調査問題は1次関数の計算である。理科の調査問題はボイルの法則に関する1次関数の計算である。理科の調査問題と数学の調査問題はそれぞれ2問ずつあり,同じ数値を使った。EFTの結果から,2つのタイプに分けた。得点の高い生徒を場独立型の認知型の生徒,得点の低い生徒を場依存型の認知型の生徒とした。EFTの結果と数学及び理科の調査問題の結果とを比較した。その結果,場独立型の認知型の生徒は両教科の調査問題が解けた。一方,場依存型の認知型の生徒は,数学の調査問題は解けたが,理科の調査問題は解けなかった。この結果から,場依存型の認知型の生徒には教科の文脈に依存する傾向のあることが実証された。
著者
林 康成 島田 英昭 三崎 隆 西川 純
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.537-545, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
21

本研究は,小学校理科において成績下位層の学習者が全体的協働の授業を経験したこと(以下,全体的協働経験とする)による能動的な関わり合いと成績向上の持続性を明らかにすることを目的とした。各30人の学習者からなる第4学年の2クラスで,全体的協働授業を経験したクラスと小規模協働授業を経験し全体的協働授業を経験しなかったクラスを設定し,協働授業経験の1ヶ月後,同一教諭が両クラスに小規模協働授業を実施した。事前・事後テストの得点,授業中の立ち歩き回数,会話内容と回数を分析した結果,全体的協働を経験をした成績下位層の学習者は,全体的協働を経験していない成績下位層の学習者よりテスト得点が上昇し,授業中の立ち歩き回数が多く成績向上に有効な会話が多く現れることが明らかになった。さらに,会話内容の質的な分析と事後インタビューの分析を行った。これらの結果から,全体的協働経験による能動的な関わり合いが持続し,成績が向上することが示唆された。
著者
三崎 隆
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.102-107, 1993-06-10 (Released:2017-06-30)

In this study, the relationship between cognitive development and strata observation is discussed. The author investigated the cognitive development using GALT and observation skills using photographs of strata on 295 students. It is sure that, strata observation are influenced by cognitive development. The influence is shown as changes into a qualitative, quantitative, and classifiable observations from a simple observation, according to developing of their cognitive abilities.
著者
三崎 隆 西川 純 桐生 徹 川上 早苗 水落 芳明
出版者
臨床教科教育学会
雑誌
臨床教科教育学会誌 (ISSN:1883180X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.111-119, 2013

本研究では,小学校第2学年から第3学年にかけてクラス替えが行われて『学び合い』の考え方による授業が始まった第3学年の新しい学級集団において,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童と前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童の学びの様態について調査を行った。その結果,次の点が明らかになった。教科に依らずいずれの授業においても,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童の方が,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童よりも,一番分かりやすく教えてくれた人と回答される児童の割合が多い。教科に依らずいずれの授業においても,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童の方が,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童よりも,相手の理解の状況に合わせて理解を促すようにして教える姿勢が読み取れる。