著者
原 巧輔 金澤 芳廣 林 昭次 佐藤 たまき
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.61-79, 2018-03-31

香川県さぬき市多和兼割の上部白亜系・和泉層群引田累層から発掘され,大阪市立自然史博物館に寄贈された爬虫類11点,板鰓類12点の化石の記載を行った.大型のカメの縁板骨5点には,鱗板溝が存在しない,内縁が著しく発達する,内縁が波打つ,という形質が認められることから,原始的なオサガメ類Mesodermochelys undulatusと同定された.また板鰓類には2目4科4属( Chlamydoselachus sp., Hexanchus microdon, Paranomotodon angustidens, Protolamna sp.) のサメが含まれている.このうちP. angustidens は和泉層群では初記録となり,更に日本産の本属の中では歯牙高が最大であった.
著者
林 昭次 佐藤 たまき 中島 保寿 サンダー マーティン フサイヤ アレクサンドラ ウィンリッチ タンニャ
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

首長竜類は中生代の海生爬虫類の中で最も多様化した仲間である。これまでは、他の海生脊椎動物のように首長竜類の骨組織が海綿化することで、高速遊泳に適応していたと考えられていた。しかし、系統進化に伴って首長竜類の骨組織を観察した本研究で、その進化はより複雑なものであることが明らかになった。また、四肢骨内部に見られる成長停止線を観察すると、生後一年で成体の70%ほどの大きさになり、成体まで4~6年で急成長することが明らかになった。このような急激な成長は内温動物でしか観察されないため、首長竜類も内温動物であった可能性が高く、内温性への進化は外洋域への適応と関連していた可能性が本研究によって指摘できた。