著者
林 正久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.26-46, 1991-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
48
被引用文献数
3 4

テフラ,鉄津を指標とした沖積層の分析や微地形分類,風土記など歴史的資料の検討によって出雲平野の地形発達を考察した.完新世の海面高頂期は6,000~5,000y. B.P. で現海面上3~4m,水道状の内湾が形成され,島根半島が切り離された.3,600y.B.P.頃から2,700y. B. P. にかけての時期に,小海退がみられ,海面は-2m以下にあった.3,600y. B. P. に噴出した三瓶山の火砕流が大量の砂礫を供給し,海退期の内湾を急速に埋積し,その結果,半島は再び陸続きとなり,内湾は東西2つの潟湖に分離した.その後,海面は現在とほぼ等しくなり潟湖の埋積が続く.『出雲国風土記』の記す時代は潟湖埋積の一時期にあたる.当時は斐伊川が西流していたため,西の潟湖の方が速く埋積された.近世以降は鉄穴流しによる大量の土砂が宍道湖を急速に埋積するとともに,古い三角州面も埋積した,出雲平野はその形成に海面変動のほか,火砕流と鉄穴流しが大きな影響を与えている点に特異性がある.
著者
林 正久
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.28-37, 1977-11

第16次南極観測隊員として,1975年12月12日から1976年2月15日まで,昭和基地南東部の一流域を選び,雪渓の融水流の測定を行った.この流域は,雪渓の融水によって涵養されている.調査期間中に,4.8×10^3 tonの雪が消失し,そのうち3.1×10^3 tonが融水流として観測された.このことは,極地露岩地域の雪渓の消耗は,主として融水流の形をとるということができる.気候要素との関係をみてみると,気温が氷点以上になることが多かった1月上・中旬は,雪渓の消耗量は気温に影響され,氷点を越えることの少ない1月下旬以降は,日射量の変化が流出量を左右しているといえる.