著者
黒川 信重 染川 睦郎 水本 信一郎 盛田 健彦 加藤 和也
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

各研究分担者は次のような研究を行った。黒川はゼータ関数の行列式表示しを研究し、絶対数論の見地に達した。加藤はモチーフの数論的ゼータ関数の特殊値の研究を行い普遍行列式の考えに至った。盛田はセルバーグ型ゼータ関数の研究を行った。水本はゼータ関数の中心零点の研究を行った。染川は数論的代数幾何学の研究を行った。これらを総合するとゼータ関数の全体像がより一層はっきりしてきた。とくに、すべてのゼータ関数の統一理論の鍵となる絶対数字の考え方を注意しておきたい。これはセルバーグ型ゼータ関数はもちろん,数論的ゼータ関数の研究において絶対なる力を発揮する。理論ができつつある段階であるが,たとえば,加藤による対数スキームの理論やトーリック多様体論はその例と見なすことができる。零点の絶対テンソル構造を経由するとリーマン予想にも到達する。このようにして,ゼータ関数が実体に一歩近づいた。