著者
柳清 洋佑 馬渡 徹 黒田 陽介 桑木 賢次 森下 清文 渡辺 敦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.2659-2662, 2009 (Released:2010-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1 1

片肺換気が困難な気胸症例に対し,体外循環補助下に手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は34歳,女性.32歳時に肺気腫を指摘された.右気胸を繰り返し,3回の外科的処置を施行されたが右肺の拡張不全が残存した状態であった.34歳時に左側気胸を発症し,気瘻および肺虚脱が持続する為に外科的治療を行うこととした.術前から呼吸状態不良であり,術中片肺換気では酸素化を維持できないと予想されたため,静脈─静脈バイパスによるExtra-Corporeal Lung Assistを用いて手術を行うこととした.右大腿静脈および右頸静脈にカニューレを挿入し体外循環下に片肺換気とし,左側のbulla切除を行った.術後経過は良好であり在宅酸素療法指導後,第21日病日に自宅退院した.低肺機能の患者でも肺手術を行わざるを得ないことも少なくは無く,本症例を通じて体外循環補助下の気胸手術に関して考察を加える.
著者
柳清 洋佑 小柳 哲也 伊藤 寿朗 栗本 義彦 川原田 修義 樋上 哲哉
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.745-748, 2012

要 旨:症例は63歳女性.突然の吐血にて近医へ搬送され内視鏡検査を施行された.胸部中部食道に粘膜剥離所見と狭窄を認めるのみであり,狭窄部は通過できなかったため精査目的に入院した.翌日CT撮影を行ったところ最大径40 mmの胸部下行大動脈瘤および瘤の食道穿破を認めた.胸部中部食道は上行大動脈と下行大動脈に挟まれ圧迫されている所見であった.前医出発直前に大量吐血し,挿管管理,大量輸血された状態で到着した.緊急でステントグラフト内挿術を施行し出血をコントロールした.穿破した食道は感染源となるため,後日胸部食道亜全摘および大網充填術を行った.全身状態が改善した後に大腸を用いて食道再建術を行った.胸部大動脈瘤の食道穿破は死亡率が極めて高く治療法が確立されていないのが現状である.今回ステントグラフト内挿術による出血のコントロールを行い,食道切除術による病巣切除を併せて行うことで救命し得た1症例を経験したため報告する.