著者
馬渡 徹 越野 督央 森下 清文 渡辺 敦 一宮 康乗 安倍 十三夫 村上 弦
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.591-601, 2000-07-15
参考文献数
17
被引用文献数
2

しばしば認められる異常分葉肺の血管・気管支を詳細に観察し, 肺切除に有用と思われる知見を得た.対象は正常解剖体の肺右202体, 左211体から見出した右35体 (17 .3%) および左27体 (12.8%) の異常分葉肺である.頻度の高い異常裂は, 右下葉上部にほぼ水平に走行する右副後葉型 (右PPL型: 25体)と, 左上葉の前方縦隔側から後上方に走行する左上前型 (LUAF型: 22体) の2型であった.右PPL型の異常裂がS<SUP>6</SUP>の下縁に, またLUAF型の異常裂が上大区と舌区の境界に一致するのは, それぞれ約90%, 60%だった.右PPL型では一般肺に比してB<SUP>7</SUP>とB<SUP>8</SUP>, B<SUP>*</SUP>との共同幹形成が多く, A<SUP>6</SUP>は1本で分岐しやすく, V<SUP>6</SUP>は2本で還流するものが多かった.また, 上葉とS<SUP>6</SUP>の間に異常血管を高頻度に認めた.LUAF型では一般肺に比して舌区動脈が葉間より一本で分岐するものが多く, 舌区静脈ではV<SUP>5</SUP>が下肺静脈に注ぐものを多く認めた.異常分葉肺の肺切除では, 上記のような一般肺と異なる所見を考慮し, 周到な気管支と血管の観察, 処置を要する.
著者
柳清 洋佑 馬渡 徹 黒田 陽介 桑木 賢次 森下 清文 渡辺 敦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.2659-2662, 2009 (Released:2010-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1 1

片肺換気が困難な気胸症例に対し,体外循環補助下に手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は34歳,女性.32歳時に肺気腫を指摘された.右気胸を繰り返し,3回の外科的処置を施行されたが右肺の拡張不全が残存した状態であった.34歳時に左側気胸を発症し,気瘻および肺虚脱が持続する為に外科的治療を行うこととした.術前から呼吸状態不良であり,術中片肺換気では酸素化を維持できないと予想されたため,静脈─静脈バイパスによるExtra-Corporeal Lung Assistを用いて手術を行うこととした.右大腿静脈および右頸静脈にカニューレを挿入し体外循環下に片肺換気とし,左側のbulla切除を行った.術後経過は良好であり在宅酸素療法指導後,第21日病日に自宅退院した.低肺機能の患者でも肺手術を行わざるを得ないことも少なくは無く,本症例を通じて体外循環補助下の気胸手術に関して考察を加える.
著者
中村 桂子 濱村 美恵子 野邊 由美子 澤 ふみ子 菅澤 淳 森下 清文 内海 隆
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.154-159, 1991

中途視覚障害者に弱視用テレビ式拡大読書器Closed Circuit Television(以下CCTVと略す)を導入し,実際の活用状況について検討を行ったので報告する.対象の視力は0.04~0.35の5症例で,その中の3例は視野異常を有している.使用機種としてミカミのTOP-01とナイツのビジョンスキャナを使用した.<br>その結果,ルーペが役に立たない症例においても文字使用が可能となり,羞明感が強かった症例には白黒反転が有効であった.しかし現実には『見やすさ』は評価しながらも疲労感が強く使用頻度は一週間に10~30分程度と十分活用ができていない状況であった.それでも患者自身にとっては精神面での支えとなり,本人の満足度が高かった.導入に際しては慎重な対応が必要で,1ヶ月程度の試用期間を設けることが理想である.<br>また,経済的な面を考慮して家庭にあるビデオカメラを利用して簡易CCTVを作ることも可能なので,その具体例なども提示する.