著者
柳澤 修
出版者
上武大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

【目的】野球の指導現場では,投手の球速を向上させるために,下肢機能の強化を目的としたトレーニングが頻繁に行われている.しかしながら,上肢に比して投手の下肢機能に関する報告は少なく,球速との関連性は十分に明らかにされていないのが現状である.そこで,本研究は投手の下肢機能と球速の関連性を明らかにすることを目的とした.【方法】大学生の上手投げ投手15名を対象とした.投手の下肢体力項目として,等尺性股関節筋力(内転・外転・内旋・外旋),他動的股関節可動域(内転・外転・内旋・外旋),ジャンプ能力(腕振りなしスクワットジャンプ;跳躍高,ピークパワー),そして片脚バランス能力(Y-バランステスト)を測定した.加えて,スピードガンを用いて,直球の最高球速を計測した.ピアソンの相関係数を用いて,上記の体力要素と球速の関連性を評価した.なお,有意水準は5%未満とした.【結果】最高球速(136.1±4. 5 km/h)は,軸脚の股関節外転(r = .60,p<0.05),内転(r = .59,p<0.05)筋力と踏み込み脚の股関節外転(r = .68,p<0.01),内転(r = .63,p<0.05),外旋(r = .58,p<0.05)筋力と有意な正の相関関係を示した.しかしその一方で,軸脚および踏み込み脚の股関節可動域と片脚バランス能力は,最高球速と有意な相関関係を示さなかった.また,ジャンプ能力(跳躍高とピークパワー)と最高球速の間にも有意な関連性は認められなかった.【結論】本研究の結果から,投手の両脚の股関節筋力が球速と密接な関係にあることが示唆された.
著者
柳澤 修 金岡 恒治 松永 直人 安達 玄 押川 智貴
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.113-121, 2022-06-20 (Released:2023-04-09)
参考文献数
37

研究は,MRIを用いて高負荷スクワット運動が腰椎椎間板に与える力学的ストレスを評価するとともに,そのストレスの程度が個人の腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と関連を示すのかを検証することを目的とした.男女13名を対象に,スクワット (最大挙上重量の80%の重り,8回5セット) 前後で,腰椎のMRI拡散強調像を取得し,各椎間板のapparent diffusion coefficient値 (ADC;髄核内の水の動きを評価) を算出した.加えて,MRIを用いて腰椎前弯角と体幹筋の横断面積を算出するとともに,股関節屈曲と足関節背屈の関節可動域を計測した.スクワット運動後にL4/5ならびにL5/S1の椎間板は有意なADC値の低下を示したが,それらの変化は腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と有意な相関を示さなかった.高負荷スクワット運動は下位の腰椎椎間板に力学的なストレスを与えやすいが,そのストレスは個人の腰椎前弯角,体幹筋の横断面積および下肢柔軟性と関連性をもたなかった.
著者
柳澤 修
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

レジスタンス運動後のクライオセラピーが、筋の疲労軽減および損傷軽減に効果的であるのかを検討した。短縮性のレジスタンス運動間に行った筋冷却は、冷却後の運動における筋エネルギー代謝に作用し、筋持久力の維持に効果的である可能性を示したが、主観的疲労度の軽減に関しては有効な介入手段にならなかった。一方、伸張性のレジスタンス運動後に実施した筋冷却は、筋痛を軽減させる傾向は示したが、筋痛時の筋機能(筋エネルギー代謝能力、力発揮能力)に対して有効な介入効果を示さなかった。