著者
大桃 敏行 宮腰 英一 小川 佳万 藤田 晃之 柳田 雅明 背戸 博史 荒井 克弘 藤井 佐知子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、生涯学習の推進に伴っていち早く学習機会の供給主体の多様化が進んだ成人学習の領域を対象とし、国内外の調査を通じて公共管理システムの転換の動態と課題を明らかにすることであった。おもな成果は次の通りである。1.指定管理者制度の導入は、行政と地方公共団体の出資財団との関係、行政と住民やNPOとの関係、そして財団と住民やNPOとの関係に変化をもたらしていること。この変化は、行政に対して、その守備範囲の再検討とともに、供給主体間の新たな関係設定の構築を求めるものとなっていること。2.住民ボランティアの主導で行政が支援する活気ある生涯学習事業が生まれる一方で、住民主導の事業は、事業拡大に伴い、異なるセクター間のコーディネート機能をどう確保するのかが課題となっていること。3.イギリスにおいては、伝統的に私的イニシアチブを国が追認する方式がとられてきたが、サッチャー政権以降、アウトプット評価に基づく管理が進められてきていること。4.アメリカにおいては、リテラシー教育や職業技能訓練など公的機関の責務とされているが、この領域でも民間の営利・非営利組織が参入し、契約と成果の評価に基づく管理システムが組み立てられてきていること。5.一方、日本の地方公共団体の生涯学習施策においては、学習成果の評価について問題が指摘される一方で、学習者の組織化による共同性の創出が進められていること(学会誌掲載論文)。