著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
大桃 敏行
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.47-63, 2013-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
54
被引用文献数
1

教育行政学は領域的な学問であり,日本教育行政学会の機関誌に掲載された高等教育関係の論文でも多様な研究方法が用いられてきた.また,領域についても機関誌掲載論文の対象はかなり広範囲に及んでいる.この方法の多様性と対象の広がりの一方で,教育行政学は高等教育を主対象としてこなかった.そのため,高等教育行政研究の各領域で一層の研究の蓄積が必要となるが,本稿では3つの課題を示した.第一に高等教育の政策過程の研究であり,多様なアクターの活動分析とともに行政機関内のよりミクロな分析が必要なこと,第二に高等教育のガバナンス改革の研究であり,諸外国の改革動向をふまえた分析が必要なこと,第三に高等教育制度や行政に関する規範的研究であり,規範に関わる理論構築が必要なことである.
著者
大桃 敏行
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.291-301, 2000-09-30

地方分権の推進が今日の大きな改革課題の一つになっている。小論の目的は行政の地方分権化と公教育概念の変容について次の三つの視点から考察することにある。第一は、今次の地方分権に向けた改革が中央から地方への権限の移動だけでなく、行政のあり方の変革を迫っていることである。現代国家において、行政は立法府の政策を忠実に実施するだけの機関ではない。むしろ、政策形成において重要な役割を担うとともに、その執行においては広範な裁量権を有している。このことは行政自体が政策のための価値の選択・序列化に深く関わっていることを意味し、今次の改革は地方段階における行政のより開かれた制度の設立を求めるものである。このことは官僚制の緩衝装置の弱体化をもたらし、親や住民への説明責任、彼(女)らへの応答責任を高めることを教職に求めることになろう。第二は、地方分権が規制緩和や公共サービスの民営化といった政府機能の縮小に向けた潮流と密接に関わって進められていることである。教育の領域において、規制緩和や民営化はまず生涯学習において進められ、次に学校教育にも導入されてきた。このような変革は、主に国家に依拠した公教育概念から、国家、私企業、ボランティア団体など多様なセクターが教育機会の供給に関わる「公教育」概念への変容をもたらすことになろう。この地方分権化と政府機能の縮小という二つの大きな改革潮流が交差するとき、公共セクターが教育においてどのような役割をどの程度までどのように担うべきかを決定する重い責任が、各自治体の住民の手に置かれることになる。第三は、教育の地方分権化を進めていくうえで独自の課題が存在することである。行財政機構の地方分権化が多様性をもたらすことは明らかであるが、別言すれば、それは自治体間の公共サービスの不平等を意味する。この「多様性」を正当化する一つの論拠が、意思決定を行うものがその結果に責任を負うべきであるという自治論である。しかし、教育の場合、公共サービスの意思決定者(大人)とその受給者(子ども)が異なるために、これは妥当な原理とはならない。さらに、大人の間での参加民主主義の実現と将来の民主的シチズンシップの育成とは同義でない。学校の主要な目的が将来の市民の育成にあるのなら、地方分権化自体は教育改革の目的にはなり得ない。地方レベルでの参加型の意思決定システムに向けた改革が学びの場の変革に実際にいかなる影響を持ちうるのかが問われなければならない。この点の考察を欠いた参加賛美論は危うい。歴史的に見れば、教育行政の専門化と等しい教育機会の保障のための国家関与は、参加と自助の地方自治の制限に依拠して求められた。
著者
宮腰 英一 森田 朗 大桃 敏行 高橋 寛人 若林 直樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、公財政支出の削減が推し進められる中で、わが国及びイギリスが「子ども・青少年」施策の効率化を図り、かつその意思決定と実施過程において責任体制を支える「ネットワーク型ガバナンス」を構築し、教育運営システムの改善を進めている実態を現地調査により明らかにした。(1) 英国バーミンガム市の「子ども・青少年」行政について市当局及び「子どもセンター」への訪問調査と職員へのインタビューを実施した。その結果、教育行政に隣接する福祉・医療・労働の分野を「子ども・青少年」行政として統合している実態がわかった。(2) 国内調査 : 太田市、佐賀市、出雲市、豊田市、駒ヶ根市、大分市等の「子ども行政」に見られる教育委員会の部局再編の経緯について情報を収集し、成果を関連学会において発表した。
著者
大桃 敏行 宮腰 英一 小川 佳万 藤田 晃之 柳田 雅明 背戸 博史 荒井 克弘 藤井 佐知子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、生涯学習の推進に伴っていち早く学習機会の供給主体の多様化が進んだ成人学習の領域を対象とし、国内外の調査を通じて公共管理システムの転換の動態と課題を明らかにすることであった。おもな成果は次の通りである。1.指定管理者制度の導入は、行政と地方公共団体の出資財団との関係、行政と住民やNPOとの関係、そして財団と住民やNPOとの関係に変化をもたらしていること。この変化は、行政に対して、その守備範囲の再検討とともに、供給主体間の新たな関係設定の構築を求めるものとなっていること。2.住民ボランティアの主導で行政が支援する活気ある生涯学習事業が生まれる一方で、住民主導の事業は、事業拡大に伴い、異なるセクター間のコーディネート機能をどう確保するのかが課題となっていること。3.イギリスにおいては、伝統的に私的イニシアチブを国が追認する方式がとられてきたが、サッチャー政権以降、アウトプット評価に基づく管理が進められてきていること。4.アメリカにおいては、リテラシー教育や職業技能訓練など公的機関の責務とされているが、この領域でも民間の営利・非営利組織が参入し、契約と成果の評価に基づく管理システムが組み立てられてきていること。5.一方、日本の地方公共団体の生涯学習施策においては、学習成果の評価について問題が指摘される一方で、学習者の組織化による共同性の創出が進められていること(学会誌掲載論文)。
著者
荒井 克弘 大桃 敏行 宮腰 英一 橋本 鉱市 小川 佳万
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究の平成17年度の研究実績としては、昨年度から収集してきた内外の高等教育に関する文献・論文のほか、研究体制の組織・風土・制度化に関する基本的文献、東北大学の理工系学部ならびに附置研究所における研究者らの自伝・評伝・史資料などの文献・資料を、毎月1回程度のペースで研究会を開いて読み進めていった。また昨年度に行った東北大学の工学研究科、金属材料研究所、電気通信研究所など理工系の研究科・研究所における著名な研究者に対するインタビューを、中間報告の形で公表した。こうした基礎的な作業と並行して、東北大学の理工系ならびに文科系の研究科・研究所の教授・助教授を対象とした研究室体制に関する大規模なアンケート(『東北大学の研究と教育』)の集計と分析を進めた。これらの分析結果は、本研究科の年報に、「学問風土の研究-東北大学の研究と教育-」として公表(継続中)した。また、東北大学に留学して学位を取得し、その後本国に帰国して活躍しているアジア地域の著名な研究者に対して、留学当時の研究室の文化や風土についてインタビュー調査を行い、それぞれの研究室の学統を継承する子弟関係や優秀な人材を育ててきた学問風土について知見を深めた。また彼らの何人かを招聘して国際シンポジウムを開催し、学内外の研究者・大学院生らと活発な意見交換を行った。これらのインタビュー、シンポジウムでの講演ならびに質疑応答に関しては、録音テープを起こして報告書として刊行する予定である。
著者
背戸 博史 大桃 敏行 泉山 靖人 後藤 武俊 柴田 聡史 申 育成 高橋 文平 安住 真紀子 大迫 章史 高橋 望 下村 一彦 岡 敬一郎 高橋 哲 松井 一麿
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、市町村合併や緊縮財政によって行政手法の再考を求められた地方行政機構にあって、その変動の影響を最も強く受けている生涯学習(成人教育)の分野に生じた転換の動態を明らかにした。主な転換は、体制としては首長部局への補助執行や定管理者制度の導入、多様な主体のネットワーク化などである。また、事業目的の転換では自治体による個別化が進み、地域の拠点づくり、地域人材育成、就業支援などが多様化していることを明らかにした。