著者
柴田 みどり
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,比喩やアイロニーといった修辞表現の理解過程が,字義的な理解と比較してどのような神経基盤によって支えられているのかをfMRIを用いて明らかにした.その結果,比喩理解では,左下前頭回(BA45)と内側前頭回(BA9/10)により大きな賦活が見られた.またアイロニー理解では,内側前頭回(BA9/10),上側頭溝により大きな賦活が見られた.これらの結果より,比喩やアイロニー理解では,矛盾した発話から意味関係や発話意図を推論するという高次認知過程の関与が示された.
著者
伊藤 友一 田仲 祐登 辻 幸樹 品川 和志 柴田 みどり 寺澤 悠理 梅田 聡
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第18回大会
巻号頁・発行日
pp.41, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)

人の思考には時間(過去/未来),感情(ネガティブ/ポジティブ),自己/他者など様々な方向性があり,特に未来に関する思考のポジティブバイアスが多くの先行研究で示されている。しかしながら,それらは個人的な未来の想像を主な対象としており,他者の未来の想像でも同様のバイアスが生じるのかは明らかでない。本研究では,「私(彼)は/将来/試験に…」のように文手がかりを,主語,時間,内容の順に呈示し,自己または他者の未来について思考するよう参加者に求めた。このとき思考の感情価は参加者が任意に決定した。ポジティブ思考数がネガティブ思考数より多いことを以てポジティブバイアスとし,その傾向が自己に関する思考と他者に関する思考との間で異なるかどうか検討した。その結果,他者の遠い未来を想像するときにより強いポジティブバイアスが生じており,自己-他者間で異なる感情処理がなされていることが示唆された。