著者
柴田 真希都
出版者
千葉大学公共学会
雑誌
公共研究 (ISSN:18814859)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.130-179, 2014-03

近代日本における共和主義といえば、中江兆民の「レスピユブリカー」(respublica)論が良く知られている。中江における「君民共治」型の共和主義思想については、彼のルソー理解の特徴とともに、明治10、20年代にわたる自由民権運動との関わりの中で、同時代の植木枝盛などの事例と比較されながら、着実に研究されてきたといってよい。 それでは内村鑑三と共和主義との関連についてはどうだろうか。内村と共和主義との結びつきなど聞いたことはない、という人は思想史研究者の中でも少なくないかもしれない。日本の共和主義に関する代表的論考といえる家永三郎の論文にも、内村のそれについては言及されていない。実際、内村における共和主義--ここではひとまず英語のrepublicanismの適用範囲を想定されたい--の輪郭や内実についてのまとまった論稿というのは未だ確認されていない。本研究発表の目的の一つは、この内村における共和主義をめぐる諸表象を整理し、その思想史的な意味を問うための素地を準備することにある。
著者
柴田 真希都
出版者
千葉大学公共学会
雑誌
公共研究 (ISSN:18814859)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.130-179, 2014-03

近代日本における共和主義といえば、中江兆民の「レスピユブリカー」(respublica)論が良く知られている。中江における「君民共治」型の共和主義思想については、彼のルソー理解の特徴とともに、明治10、20年代にわたる自由民権運動との関わりの中で、同時代の植木枝盛などの事例と比較されながら、着実に研究されてきたといってよい。 それでは内村鑑三と共和主義との関連についてはどうだろうか。内村と共和主義との結びつきなど聞いたことはない、という人は思想史研究者の中でも少なくないかもしれない。日本の共和主義に関する代表的論考といえる家永三郎の論文にも、内村のそれについては言及されていない。実際、内村における共和主義--ここではひとまず英語のrepublicanismの適用範囲を想定されたい--の輪郭や内実についてのまとまった論稿というのは未だ確認されていない。本研究発表の目的の一つは、この内村における共和主義をめぐる諸表象を整理し、その思想史的な意味を問うための素地を準備することにある。
著者
松村 実美子 今井 恵理 多田 真奈美 加藤 麻美 濱野 直人 佐々木 絵美 勝木 俊 勝馬 愛 柴田 真希 日ノ下 文彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.387-393, 2014 (Released:2014-06-28)
参考文献数
29

症例は73歳女性. 69歳のとき腎硬化症による慢性腎不全のため, 腹膜透析を導入した. 73歳のときランソプラゾールの内服を開始し, 3か月後, 3回目の腹膜炎で入院となった. セファゾリンとセフタジジムを経静脈, その後腹腔内投与に切り替え計2週間投与し, 軽快退院した. 入院中に軟便であったが便Clostridium difficile抗原は陰性であった. 退院後から水様~泥状便が持続し, 外来にて便Clostridium difficile抗原陽性となり, 偽膜性腸炎の診断でメトロニダゾールを14日間内服した. その後も下痢は持続し, 食思不振, 炎症反応高値を認めたため, 精査加療目的に当科入院となった. 絶食・中心静脈栄養を開始した. 大腸内視鏡検査を施行し, 肉眼で上行結腸に炎症瘢痕を認めた以外は異常所見を認めなかったが, 直腸, 盲腸, および結腸の粘膜生検で粘膜表層上皮下にリンパ球浸潤を認め, Masson Trichrome染色で特徴的なcollagen bandの形成を認めたため, collagenous colitis (CC) と診断した. CCは慢性水様性下痢の原因として知られ, 本邦での報告数はまだ少ないが, 年々増加傾向にある. 原因は不明だが, 薬剤や自己免疫の関与などが考えられている. 本例では被疑薬であるランソプラゾールを休薬し下痢が消失したことから, その関与が考えられた. 透析患者は消化管出血のリスクが高いためプロトンポンプインヒビター (proton pump inhibitor : PPI) を内服していることが多いが, 文献上, 国内外において腹膜透析患者におけるCCの報告はなく, 慢性下痢の鑑別疾患の一つとして念頭におくことが重要であると考え, 報告した.