著者
柴田 美恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.291-305, 1974-12

今日的概念におけるボタンは, 本来西欧服飾に備わった留め具であって, 深い打ち合わせを持ち, 帯を締めて着付けるタイプの多い東洋服には, さほど目立ったあらわれをしていない.ボタンの西欧服への採用については, 東洋からの導入であると言われているが, しかしボタンが衣服自体と密接に関わり, その変遷と共に, その表現も, その働きも変容を重ねたのは, 西欧服においてであった.ボタンの定義は, 「機能性と装飾性とを兼ねた, 手近かで不可欠の留め具」とされ, その使い方1つが, 服の印象を左右するという.このことは, 我々が衣服をデザインする際, また選択する際に, 念頭においておかねばならないことであろう.では一体, ボタンの装飾性とはどのようなものであるのか.1個のボタンは, どのようにして衣服の性格を決定し得るのか.この澗題について, 以下では, 過去の服飾の中で, 衣服とボタンとの関わりが, いかに現われているかを観察し, 現代モ-ドにおけるボタンについても, 若干の考察を試みた.

1 0 0 0 肩衣の系譜

著者
柴田美恵
雑誌
服飾美学
巻号頁・発行日
vol.1, pp.104-117, 1971
被引用文献数
1
著者
佐々井 啓 徳井 淑子 横川 公子 柴田 美恵 森 理恵 松尾 量子 村田 仁代
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

各自研究を推進しつつ各年とも3〜4回の研究会で意見の交換を行い報告書にとりまとめた。研究および意見交換は主に西洋と日本のグループに分かれてすすめた。西洋においては19世紀後半のアメリカ、イギリス、日本における「New Women=新しい女」に焦点をあて、New Womenの服飾からジェンダー意識について検討を行った。New Womenの衣服改良運動や、New Womenを扱った演劇・小説に表された服飾表現から、ファッションにあらわれた女性解放について明らかにし、新しい衣装と行動とによって「新しい女」が確立していったことを明らかにした。また、同時代のイギリスの女性のスポーツ服や合理服といった、新たな服飾についての調査を通して、この時代に新たな価値観が提示され、20世紀のジェンダー観に影響を与えていたことが分かった。また、異装については、17世紀前半の英国の女性の異性装、近代フランス文学における男装を取り上げ検討し、17世紀の異装は少年の服飾との相似点から不完全な男装であったことに注目し、当時のジェンダー意識を明らかにした。日本においては、異装については鎌倉期の『とりかえばや』と近世初期の阿国歌舞伎の装いについて中心に検討し、ジェンダーとセクシュアリティーの明証性について考察を進め、装いのジェンダー的な意味を多面的に示すものとの示唆を得、さらに著者である女性の目を通した男女に共通する価値意識についても明らかにした。また、阿国の男装と風流としての男子の女装の検討からは、服飾における両性の接近について明らかにした。また、17世紀初期の風俗について「歌舞伎図巻」から、男性の髪型と服装の関連を明らかにし、流行をリードする社会集団を特定することによって服飾におけるジェンダー観を明らかにした。またその結果をふまえ、近世日本の服装におけるジェンダー観と近代日本の「キモノ」観との関連を明らかにした。