著者
松尾 量子 武永 佳奈
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>ビジネス・シーンにおいて着用することを前提としたマタニティウエアを開発することを目的とする。 <br> <b>方法 </b>マタニティウエアについての現状リサーチをもとに検討を行い、体型が大きく変化する妊娠中期から後期にビジネス・シーンにおいて着用することができるパンツ・スーツについてプロトタイプを制作した。制作用のボディは、妊娠6ヶ月のサイズで作られたものを選定し、シーチングと詰め物を使用して制作したベストを着用させることで妊娠後期の体型に対応した。ジャケットは、胸ポケットを左右につけることで、視線を上部に集め、ダブルの打ち合いと前端の斜めのラインによって、腹部のふくらみが目立たない工夫をした。パンツは、体型変化に対応するためにウエストサイズの調節が必須であること、着脱のしやすさを考慮して、後ろウエストにゴムを入れ、前部は面ファスナーを使用している。シーチングによる試作を繰り返した後に、細かなストライプの入ったダークグレーの布地を用いてプロトタイプを制作し、インタビュー形式によるモニタリングにより、インターネット・ショップにおける販売を前提とした商品化に向けての検討を行った。 <br> <b>結果 </b>マタニティウエアは限られた期間のみの着用であるため、着用者側には価格帯や産後も着用できるかなどを意識する傾向がある。今後はよりユニバーサルな視野から開発を進めることで商品化への糸口を探る必要がある。
著者
松尾 量子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b>&nbsp; 現在、日本各地で観光や地域の活性化を目的としてマスコット・キャラクターが活用されている。今回、山口県のマスコット・キャラクターである「ちょるる」のためのボーイスカウト衣装を制作する機会を得たことから、「スカウトちょるる」の衣装制作を通して、マスコット・キャラクターが着用する服飾の意味や役割をさぐることを目的とする。 <br> <b>方法</b>&nbsp; 本研究は、2013年の日本ジャンボリー開催に伴って、山口県の世界ジャンボリー開催支援室から山口県のマスコット・キャラクター「ちょるる」のための衣装制作の依頼を受けて実施したものである。「スカウトちょるる」のヴィジュアル・イメージをもとに着脱が容易で動きやすいことを重視して制服は上下一体型のつなぎとし、ワッペンには、県花である夏みかんの花をモティーフとしたデザインを考えた。帽子は「ちょるる」の頭部の形状と全体のバランスを考慮したデザインである。<br> <b>結果 </b>最初に制服のみを制作して、日本ジャンボリー開催の100日前イベント(2013年4月21日)において「スカウトちょるる」をお披露目した。その後7月までの間に装飾品や帽子の制作を行い、7月12日に「スカウトちょるる」としての完成形を披露した。今回の衣装制作を通して、マスコット・キャラクターにおける服飾の意味とキャラクターらしさの関わりについての検証を行うことができた。<br>
著者
佐々井 啓 徳井 淑子 横川 公子 柴田 美恵 森 理恵 松尾 量子 村田 仁代
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

各自研究を推進しつつ各年とも3〜4回の研究会で意見の交換を行い報告書にとりまとめた。研究および意見交換は主に西洋と日本のグループに分かれてすすめた。西洋においては19世紀後半のアメリカ、イギリス、日本における「New Women=新しい女」に焦点をあて、New Womenの服飾からジェンダー意識について検討を行った。New Womenの衣服改良運動や、New Womenを扱った演劇・小説に表された服飾表現から、ファッションにあらわれた女性解放について明らかにし、新しい衣装と行動とによって「新しい女」が確立していったことを明らかにした。また、同時代のイギリスの女性のスポーツ服や合理服といった、新たな服飾についての調査を通して、この時代に新たな価値観が提示され、20世紀のジェンダー観に影響を与えていたことが分かった。また、異装については、17世紀前半の英国の女性の異性装、近代フランス文学における男装を取り上げ検討し、17世紀の異装は少年の服飾との相似点から不完全な男装であったことに注目し、当時のジェンダー意識を明らかにした。日本においては、異装については鎌倉期の『とりかえばや』と近世初期の阿国歌舞伎の装いについて中心に検討し、ジェンダーとセクシュアリティーの明証性について考察を進め、装いのジェンダー的な意味を多面的に示すものとの示唆を得、さらに著者である女性の目を通した男女に共通する価値意識についても明らかにした。また、阿国の男装と風流としての男子の女装の検討からは、服飾における両性の接近について明らかにした。また、17世紀初期の風俗について「歌舞伎図巻」から、男性の髪型と服装の関連を明らかにし、流行をリードする社会集団を特定することによって服飾におけるジェンダー観を明らかにした。またその結果をふまえ、近世日本の服装におけるジェンダー観と近代日本の「キモノ」観との関連を明らかにした。