著者
栁瀨 幸紀 石川 雄一 酒井 潤一
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.329-332, 2014-05-15 (Released:2014-12-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究は保温材下模擬環境における炭素鋼の腐食に及ぼす金属表面温度と濡れ時間の影響を明らかにすることを目的として行った.試料には炭素鋼SS400を用いた.保温材下模擬腐食試験は40℃~200℃の種々の温度に加熱したプレートヒーター上に試料を乗せ,その上にケイ酸カルシウム保温材を乗せ,その保温材に水分を注水することで行った.また,ACMセンサーを用いて保温材下模擬環境における金属表面の濡れ時間の推定を行った.試験の結果,金属表面温度が100℃以上では発錆が認められなかった.また,40℃~90℃では局所的に発錆が見られ,その侵食深さは温度の低下に伴い深くなった.これは,ACMセンサーによる保温材下金属表面の濡れ時間測定結果およびアレニウスの式による温度と腐食速度の関係より,温度の増大に比して濡れ時間の影響が大きいためであることが明らかになった.